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大学生と友達になる方法

2019年09月10日

ほり屋飯盛

学外の友人たち(30代後半)に会うと、「大学生の子たちと何話すの?」とよく聞かれる。

だいたいは授業の話や、○○ちゃんがホストにはまって休学しているとか、○○ちゃんは有名企業の社長の娘で相当金持ちらしいとかいう同級生の噂話や、タピオカやUber Eatsの流行系の話をしている。大学に入学する前は、20歳前後の学生の中で完全に浮いた存在になると思っていたが、入学して講義や空きコマで一緒に過ごすうちに同じ学科の学生たちと仲良くなれた。

しかし、まわりの大学生たちと仲良くするのは、職員さん曰く特異らしい。社会人から大学生になった人たちは、まわりの大学生と馴染まずに淡々と授業を受けているそうだ。まあ、勉強が目的で大学に通っているのだから、友達を作る必要もない。しかし、電車の遅延や体調が悪くて休む時にはノートを見せてもらう必要があるし、過去問などの情報も手に入るので、友だちがいると大学生活が過ごしやすくなる。

どのように20歳も年の離れた学生たちと仲良くやっているかは、教員やその研究者仲間の人たちにもよく聞かれる。私自身がこれまで人間関係を築く上でやってきたことが大学での友人作りで活きているので、今回はそこのところを書いてみたいと思う。

私は生まれ持った性格からして、自分から初対面の人に話かけるのが苦手である。初対面でなくても人と喋るのがけっこう苦手である。歩いていて向こうから知り合いが歩いてきたりすると喋るのが面倒なので急に方向転換したり、目の前を知り合いが歩いていることに気付くと超絶ゆっくり歩いてなんとか避けるタイプだ。なるべくなら毎日誰にも関わらず、一人で穏やかに過ごしていきたいと日々願っている。だから、友達作りには小学生の頃から工夫を強いられてきた。そして、かなりの戦略家であった。

ことのはじめは小学2年生になりたての頃だった。1年生から仲良くしていた唯一の友達が、お父さんの仕事の都合でシンガポールへと引っ越してしまったのだ。他に友達がいなかった私は、休んだときとか宿題わからない時に困るのでまずいと思い、どうにか友達を作ろうとした。しかし、自分から輪に入っていくのは癪だったので(プライド高い小学生)、クラスメートの女子たちに話しかけて貰えるように戦略を立てた。

その頃はサンリオが毎月発行する『いちご新聞』を購読していた。キキララやけろけろけろっぴ、POCHACCOなど時代を感じるキャラクターたちのどうでも良い情報が満載の新聞だった。私は捨てる寸前の『いちご新聞』を学校に持ってきて、キャラクターたちの絵をひたすらハサミで切り取るという作業をはじめた。

人間は止まっているものより、動いているものに目が行く。クラスの一人の女子が「何やってるの?」「可愛い-」などと私のまわりに集ってきた(しめしめ)。さらに「これちょうだい」とお願いされ、単なる新聞の切り抜きであるキャラクターをさも貴重そうに「1枚だけね」とあげることで同時にイニシアチブをとっていき、自分から話しかけることなく少しずつ友達を作っていった。こう書くと自分でもすごい嫌な子どもだったなと思うが、そういう風に生き延びてきたので仕方ないなとも思う。

大人になってからはさすがに切り絵など誰も欲しがらないので、自分から話しかけて人間関係を築くようになり、さまざまなことを学んだ。一番頑張ったのは、女性が多い会社に中途で入社した時であった。ある程度人間関係が出来ている中に入るのはけっこう大変なのである。そんな時は中心人物よりも、地味だけど優しそうな人物にわからないことを聞くようにして、少しずつ関係をつくった。

最初は異質物でも、一人と仲良くしているのを見て、他の人も安心して話しかけてくれるようになり、自分の人間関係を拡大することで中心人物も話しかけてくれるようになった。この少人数ながらも味方を見つけて、自分の勢力を拡大していくという方法はどんな場所でも役に立つと思う。よく漫画やドラマでは中心人物にいきなりズカズカと行って、「威勢が良い」とかなんとか言って早速気に入られる物語が多いが、それは結局は物語であって実生活ではそんなシチュエーションはほぼないであろう。

そんな人間関係を築く経験をしてきて、今度は20も歳下の学生たちである。今の大学生が友達になるきっかけはSNSである。前回の記事でも書いたが、最近の若者は大学に合格するやいなやTwitterであらかじめ友達になり、LINEで親交を深める。そして入学式は駅で待ち合わせて、初めて会った友達と一緒に参加する。私が中学から高校に上がる時にも進研ゼミの読み物で、友達作りのためには「最初の一言」は何を話したらよいかという特集があったので、いつの時代も友達を作ることに必死なのである。

そんなSNS世代にも、「Twitterで友達とかないわー」という子はいる。あとは地方から上京してきて36歳(当時)を見抜けない子たちが、ガイダンス等で私を19歳だと思って「高校は制服だった?」とか「高校はどこ?」とか純粋無垢に話かけてくれた。そうやって一人の子と仲良く話していると、少しずつ他の子たちも話しかけてくれるようになり(「超大人っぽくない?」とか)、オープンキャンパスでトークショーに参加したり、みんなでご飯を食べに行ったりとそれなりに楽しい学生生活を過ごすことができた。

今は実年齢こそばれてはいないが(ばれていないと願う)、私がみんなより年上だということは気付いているようだ。人間関係では色々頑張ってきたほうだが、結局は媚びを売って皆の輪の中に入ろうとするのではなく、最初の一人を見つけて仲良くなるというのが、大学生だろうが、大人だろうが大事なのではないかと思う。そして、仲良くなってしまえば年齢は関係ないように思える。人間が仲良くなるかならないかは、年齢差よりも個体差のほうが重要なのである。

ほり屋飯盛(ほりやめしもり)
  • 大学生
36歳で大学に入学。まわりの学生には19歳と偽り、はじめはオープンキャンパスの学生トークショーに出演したり上手くやっていて、来年こそはミスキャンパスもいけるかもと思っていたが、「プラザ」を「ソニプラ」、「プリント」を「わら半紙」と言ってしまったことから実年齢を怪しまれはじめる。最近では「ほり屋さんの年齢を探ると社会から消される」と噂が流れ、ミスキャンパスへの道が閉ざされ気味。社会科学専攻。38歳の目には最近の大学生や大学やはどのように見えるのかなど書いてます。

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