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世界は陽キャでまわっていたが

2020年05月12日

ほり屋飯盛

コロナ禍で大学界隈にもさまざまな変化が起きた。まず、大学の卒業式と入学式のほとんどが感染拡大防止のために中止になった。ある大学の卒業生総代の謝辞が話題になり、それは立命館大学アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明先生の著書『教えるということ 日本を救う、尖った人を増やすには』にも掲載されていた。私は大学が大好きであるし、教職員の方々には大変お世話になっているので感謝してもしきれない。大人になればなるほど感謝って大事だなと思う、てへへ。しかし、ぼんやりとした「皆さま」への感謝ってよくわからないよね。そういう気持ちがあったと推察されるのと、何か特定の人にしかわからないように書かれている文章のようなので、「語り得ぬものについては、沈黙しなければならない」というヴィトゲンシュタインの言葉の通り、これ以上は言及しない。

次に、これまでの大学はいわゆる対面授業を行ってきたが、ここにきてオンライン授業を実施せざるを得なくなった。大学教員の多くはオンライン授業を行ったことはなく、色々と試行錯誤をしていると聞く。オンライン授業に反対の声もあるが私は賛成だ。なぜなら、オンライン授業だったらまわりの学生の年齢を気にして、大学に若づくりして行く必要がない。Zoomなどを使用した双方向の講義やグループワークだってレフ板を使用すればしわもシミも飛ばせるだろう(きっと)。さば読み大学生にとって授業のオンライン化は願ってもない出来事だ。さらには、歳をとればとるほど記憶力は衰える。先生が5秒前に喋った内容すら覚えていない。1回授業を聞いたところで内容はほぼ頭に入っていないのだ。そんな状態なので何回も巻き戻して視聴可能な録画授業などは願ったり叶ったりだ。

そして企業でもリモートワークやオンラインミーティングなどが導入されてきており、このような状態はニューノーマルなどと呼ばれている。コロナ収束後の世界をアフターコロナと呼び、さまざまな有識者たちが未来予測をしている。よく耳にするのは、出勤日が減ることや独りが好きな人々の時代になること、結婚式などさまざまなイベントがオンラインになるなどの予測だ。結局は未来にならないとわからないのだが、電車が嫌いなので通勤や通学する回数が減るのは嬉しい。また、以前にも書いたが式典にもなるべく参加したくないので、オンラインで開催してくれると嬉しい(ただしオンラインでも結婚式は参列しないよ)。

この1カ月間の自粛生活で、私は世界がわりと“陽キャ”の人たち中心でまわっていることに気がついた。“STAY HOME”や“Social Distance”、三密という言葉たちは外で遊ぶのが大好きで飲み会とかカラオケに頻繁に行く人々に向けたものであろう。私のような“陰キャ”は何を言われなくても不要不急の用事以外は家にいるし、夜も土日も祝日も遊びに行かない。三密とは無縁の世界で生きている。家で踊ろうと歌われる前に踊っていた人種だ。陰キャは孤独耐性が高いのだ。

孤独耐性といえば、最近話題の自粛ポリスと呼ばれる人たちは、実は孤独耐性が低いのではないかと睨んでいる。彼らが書いた嫌がらせの張り紙などを見ていると、やっていることは昔話題になった引っ越せおばさんに酷似している。私が覚えている限り、彼女は他人から白い目で見られて、嫌がられているのに楽しそうに生き生きと布団を叩いていた。嫌われることで社会と繋がるのが嬉しいのかなと思ったのだが、自粛ポリスたちも実はさみしがり屋で、自分が書いた張り紙が報道されると社会と繋がった気がして喜んでいるのではないか。まさにコロナ時代に現れた引っ越せおばさんの化身だ。

話が逸れたが、そんな個人特性からアフターコロナには期待している。最も恐れているのは、アフターコロナが「あの頃は良かったね」というwithコロナへの郷愁とともに生きる時代になることだ。はたして現在のニューノーマルは、コロナ収束後も私たちの生活に浸透するのだろうか。

人の生活とは過去の積み重ねであり、その過去が長ければ長いほど変化するのは難しい。わかりやすく言えば、年齢が上がるほど新しいものへの適応が難しい(自戒を込めて)。陽キャのおじさまやおばさまの中にはリアルに人と繋がったり、コミュニケーションをとってなんぼと考えている人もいるかもしれない。陽キャ多め+高齢化会だからこそ、ビフォアコロナに逆戻りすることも考えられる。「やっぱミーティングはF2Fだな」とか、「日本人は空気が大切だからやっぱ仕事は職場で皆でやらないと」とか、「さー、仕事終わったから飲みに行こう!」とかありそう。アフターコロナは何処へ。

しかし、考えてみれば歳をとればとるほど残された時間は短いのだ。ということは、残された人生そんなに陽キャにならなくてもよくないですか。とりあえず新しいことに対応する努力をしてみてはいかがでしょう。満員電車に揺られて通勤なんてもう嫌でしょ。外飲みもたまにでいいじゃん。これまで光が当たらなかった私たち陰キャのために、孤独耐性を身につけてくれたら嬉しいのである。家も楽しいよ。

ほり屋飯盛(ほりやめしもり)
  • 3月に大学を卒業しました
36歳で大学に入学。まわりの学生には19歳と偽り、はじめはオープンキャンパスの学生トークショーに出演したり上手くやっていて、来年こそはミスキャンパスもいけるかもと思っていたが、「プラザ」を「ソニプラ」、「プリント」を「わら半紙」と言ってしまったことから実年齢を怪しまれはじめる。最近では「ほり屋さんの年齢を探ると社会から消される」と噂が流れ、ミスキャンパスへの道が閉ざされ気味。社会科学専攻。38歳の目には最近の大学生や大学はどのように見えるのかなど書いてます。

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