KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

私をつくった一冊

2025年12月09日

五味 太郎(絵本作家)

慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。


1.私をつくった一冊をご紹介ください


一分間に一万語
ノーマン・メイラー著・山西 英一 翻訳
河出書房新社・河出ペーパーバックス、1964年

2.その本には、いつ、どのように出会いましたか?

先輩のAさんが貸してくれたんじゃないかと思うが、今も僕の手元にあると言うことは、返してないんだな、どうやら。

3.どのような内容ですか?

1962年9月25日、シカゴで行われたパターソン対リストンのヘビー級タイトル争奪戦の全貌を素材に、メイラーがドキュメンタリー風に仕上げた、ま、新実存主義的哲学書。

4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?

その試合、パターソンは呆気なくノックアウトされリストンが勝ったのだが、それが第一ラウンドわずか2分6秒、そのためにメイラーが費やした語彙が2万語、割り算すれば1分間1万語と言うわけ。その馬鹿バカしいこじつけがけっこう気に入った。カテゴリーは全く違うが、創作における視点、解釈、多面性なんて言うことを、なんとなく学んだような気がする。つまり、なんでも本になるんだよなあ、って言う気合いのような感覚をね。

5.この作品をおすすめするとしたら?

その気になって読むと、ま、面白いよと言うしかないな。

 

五味 太郎(ごみ・たろう)
  • 絵本作家

1945年東京都生まれ。桑沢デザイン研究所ID科修了。工業デザインの世界から絵本を中心とした創作活動に入り、約400タイトルの作品を発表。海外でも50数種類の本が翻訳され、20カ国以上で出版されている。絵本『たべたのだあれ』『かくしたのだあれ』(サンケイ児童出版文化賞)、『きんぎょがにげた』、『みんなうんち』、『さる・るるる』、『仔牛の春』(ボローニャ国際絵本原画展賞)、『言葉図鑑』(世界でもっとも美しい本展銅賞)、『ことわざ絵本』、『らくがき絵本』、エッセイ『大人問題』、『ときどきの少年』(路傍の石文学賞受賞)など。2015年、全作品集『五味太郎絵本図録』(青幻舎)を出版。近著は『りょこうにいこう!』(偕成社)、『ならんでいる』『ならしている』(絵本館)、『ぼくは ふね』(福音館)、『五味太郎 絵本クロニクル-1973-2025 完全版』(アノニマ・スタジオ)。

五味太郎 絵本出版年代記展 「ON THE TABLE」
https://lurfgallery.com/blogs/next-exhibitions/gomi-taro
会期|2025年12月12日(金) ~ 2026年2月2日(月) ※12月30日(火)~1月6日(火) 休館
時間|11:00 – 19:00
会場|LURF GALLERY 1・2F

メルマガ
登録

メルマガ
登録