KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

私をつくった一冊

2026年03月10日

永井 玲衣(作家)

慶應MCCにご登壇いただいている先生に、影響を受けた・大切にしている一冊をお伺いします。講師プロフィールとはちょっと違った角度から先生方をご紹介します。


1.私をつくった一冊をご紹介ください

審判
フランツ・カフカ(著)、池内 紀(訳)
白水Uブックス、2006年

カフカにはふしぎと助けられました。こんなにもわけがわからないことがあるのだということ、そしてそれは程度の差こそあれ、自分の人生とも重なるということ、そのことに安堵したものです。世界とはわけがわからないのだと、ここまでしっかりと言い切ってくれた、はじめての他者であったと記憶しています。

2.どのような内容ですか?

罪を犯したわけではないのに、逮捕され、裁判にかけられる一人の男の話です。池内紀さんの訳を好んで読んでいました。

3.その本には、いつ、どのように出会いましたか?

十代のころ、自分の人生をどうあつかっていいのかわからないような中で出会いました。

4.それは先生にとってどんな出会いでしたか?

全くわたしには関係がなく自立した世界でありながら、わたしのいちばん深いところにかかわっている話なのだと思いました。そこから、あらゆる本がそのように思えるようになりました。

5.この作品をおすすめするとしたら?

ここで何が起こっているのかを考えつづけてしまう人におすすめしたいと思います。そのためには、たった一行目を読むだけでも十分なのかもしれません。

永井 玲衣

永井 玲衣(ながい・れい)
  • 作家

慶應MCC担当プログラム

1991年、東京都生まれ。哲学者。作家。学校、企業、自治体など幅広い現場で人びとと考えあい、ききあう場をひらいている。問いを深める「哲学対話」や、政治や社会について語り出してみる「おずおずダイアログ」、せんそうについて表現を通して対話する写真家・八木咲とのユニット「せんそうってプロジェクト」、Gotch主催のムーブメントD2021などでも活動。第17回「わたくし、つまりNobody賞」受賞。詩と植物園と念入りな散歩が好き。
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