夕学レポート
2010年04月02日
7/27(火)松本健一さん 「日本の青春時代とは、何か ~『坂の上の雲』にふれて~」
第23回 7/27(火)の講師は、評論家で、麗澤大学比較文明文化研究センター所長の松本健一先生です。
松本さんは、半藤一利氏、保阪正康氏と並び、幕末から昭和を専門とする在野の三大歴史家と言われる存在です。
半藤さん、保阪さんともに夕学に登壇され、素晴らしいお話をしていただきましたが、三人のトリを飾る形で、松本さんに登壇いただきます。
今回は、昨秋放映されたNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』に触れながら、日本の青春時代をテーマにお話いただきます。
司馬遼太郎賞を受賞され、『司馬遼太郎を読む』という著作もある松本さんならではのテーマ設定かと思います。
『坂の上の雲』は、秋山好古・真之兄弟、正岡子規という伊予松山出身の三人の偉人の青春時代と、近代国家草創期にあった日本という国の青春時代を重ね合わせた「明治の青春物語」です。
松本さんが定義する日本の青春時代は、明治23年の憲法施行・議会開設・民主選挙から14年後の日露戦争までだそうです。
本やドラマでは、秋山兄弟が、それぞれ陸軍大学校、海軍士官学校での研鑽の日々を経て二つの戦争を戦った時期にあたります。正岡子規は、結核と戦いながら、俳句・短歌の革新運動に、文字通り命を捧げました。
三人が、坂の上に漂う大きな雲を目指して、ひたすら坂道を上り続けていたこの時代は、実は、昭和の悲劇につながる「日本の失敗」が埋め込まれた時代でもありました。
教育勅語が発布され、元老制度がはじまり、軍備の増強と藩閥政治が確立したのもこの時代です。
坂道を登るためのハーケンとして打ち込まれた制度や仕組みが、自己増殖して、自らの身体を侵食することになることを、この時点でいったん何人の人が想定できたのでしょうか。
そんな歴史のパラドクスをお話いただけるものと思います。
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