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マンハッタンで学校を探す

2014年10月14日

寺尾美香

9月、ニューヨークでも新学期がはじまりました。
今週うちの娘も3歳になりますが、そろそろ幼稚園のこと考えなきゃ、と言うと、
「ちょっと、ちょっと、あなた今ごろ何言ってるの? It’s too LATE !」
と、どこから檄が飛んできそうです。
というのも、娘と同学年の今年3歳になった(or なる)子の多くが今週から一斉にプリスクール(私立幼稚園)に通い始めるのです。
周りのお母さんたちは、ちょうど1年前の今頃からリサーチをはじめ、極寒の真冬にいくつもの受験や面接に奮闘し、春には合格通知を手にしていたという衝撃の事実が。
がーん、、、娘よ、ごめん。
4月にここに来た母さんにその芸当は無理だったよ・・・。


と、娘には申し訳ないと思いつつもマンハッタンのプリスクールの授業料は平均約年間2万ドル(約200万円)、パリス・ヒルトンが通ったというアッパーイーストの超名門私立女子校に至っては、3万ドル(約300万)というからもう・・・言葉がありません。
夏休みやクリスマスなどなんだかんだお休みを考えると、ざっと見積もっても月々約2,000ドル(約20万円)以上の出費。
しかも、これだけ払っても半日プログラムだったり、週2−3回という学校も多くCPを考えると頭が痛い。
うーん、・・・・例え去年からここにいたとしても、果たして我が家は娘をプリスクールにやれたかどうか、、、
それにしてもこの破格の授業料はなに?
なんでみんな、そんなにぽーんと行かせられるの?
と、来たばかりの頃はひたすら????だらけだった頭の中もようやく最近、少しずつ整理されてきました。
まず、日本人、他、海外からの駐在員のご家庭は会社から教育費が出ますので問題ありません。うん、クリア。
それから、ヒルトンのような超セレブが実在するのがマンハッタン。
世界中から桁外れのお金持ちが集まってくるわけでうちにとっての300万円は彼らにとって300円、いや30円?という世界。
うん、これもわかりやすい。
高校まで一貫教育の超名門幼稚園は、幼稚園入学がアイビーリーグに直結するらしい。このようなお受験組も相当数いる模様です。
これまた、わかりやすい。
そしてこれは全く勝手な推測ですが、おそらく多くが該当すると思われる一般的な共働き家庭。
夫婦協力して、ある程度世帯収入があれば、まあなんとかやれないことはないから、1−2年がんばろう。
でも小学校からは何が何でも公立行かせるぞ、というプランを立てる。
こういうお父さん、お母さんの親心はなんとなく理解できる。
ファイナンシャルエイドという補助制度を使う手もある。
でも・・・・駐在でもなく、お金持ちでもなく、今のところ共働きでもない。ファイナンシャルエイド対象外の、我が家は一体どうすれば・・。
途方にくれながら子供が寝た後、夜な夜なリサーチする日が続きました。
New York Education Department (DOE)のホームページ、スペイン語はもちろん仏、印、中、韓、その他10カ国語の翻訳ページが用意されているのに日本語はない、、、、
英語の読解力と忍耐力を試される中、ふらふら彷徨ううちに、4歳から行ける公立幼稚園があるという情報を発見しました!!
DOE_Top.png
しかも、え?ホント?無料なの?!
やったーー!

ん?でも、待てよ。
かたや200万、300万。かたや “タダ”。
って、どういうこと、これ?
じゃあなんで、みんな公立に行かせないの?

謎が深まるばかりなので、先輩ママなどにアドバイスを求めると当然、みんな行かせたい。故にかなりの倍率だそうで、優先枠で入れる兄弟がいる子でほとんど席は埋まってしまうそうです。
テストがあるわけでもなく、ただひたすら運。席が空いているか否か。しかも、全ての地区に公立幼稚園のプログラムがある訳ではない。
となると、ほとんどの子はやっぱり入れなくて渋々私立に行かせている親も少なくないというのが現状のようです。
なるほど、、、でもまだ公立をあきらめたくない。
他に何か手はないものか・・・
人間、本当に必死になると苦手な細かい英語の文字も、一字一句キャッチできるから不思議です。
再びDOEの資料をじーっくり読み込むとダメだった場合の受け皿となる無料プログラムがちゃんとあるではありませんか!
“First Come, First Served”(早いもの勝ち)
ここで母は闘わなければいけないけれど、やってみるだけの価値はありそうです。
それにしても、小中高まで公立なら無料、私立なら数千万という教育費のこの差たるや。。
どこまでも白黒ハッキリはお国柄でしょうか。
当然、公立を目指す家庭が多く、ニューヨークの子育てファミリーにとって学校探しと家探し、この2つは切っても切れない密接な関係であることを痛感する毎日です。
ニューヨーク、そしてマンハッタンでは、住むエリアによって公立学校の学力、生徒の人種、学校のカリキュラムや方針が大きく異なるため公立を目指す場合、自ずと、学校探し→家探し、という順番になるわけです。
良い学校があるエリアには所得の高いファミリーが集まり、家賃が更に高騰する。逆に低所得層の多い地区は悲しいかなやはり学力レベルは比例し、人種構成にも偏りが見られます。
グリニッジ・ヴィレッジなどの超人気学区では、お金のある親でさえ公立を狙い、わざわざワンルームマンションを借りて仮の住所で応募するくらいの事態になっているとか。
これ、都内の保育園の待機児童問題とかなり状況は似ている気がします。
そこまでしても、希望とは違う、隣のあまり治安のよくない学区の学校にアサインされて、泣く泣く私立に行かせる親もいるというのを聞くと、ウェイティングリストが多い地区はリスクが高すぎて危険すぎる賭けになりそうです。
それならいっそ、マンハッタンを出て同じ金額で郊外の庭付き一軒家を買ったらどうか?と考えるファミリーも、もちろん多くいます。
子供が生まれる=マンハッタンを出て行くご家庭が多いのも事実です。
小学校から高校まで公立を前提に考えている家庭にとっては、子供の学校のために郊外に引っ越す、家を買い替える、というのは極めて合理的、というか、そうせざるを得ないお財布事情があるのです。
我が家も5歳から入るキンダーガーデン(幼稚園年長)を見据えて、ここ数ヶ月新しい住まいを探しています。
幼稚園の年長さんにあたるキンダーガーデンは、言わば小学校1年生にあがるための準備クラスとでも言うのでしょうか。アメリカ独特の教育制度のようですが、小学校に直結しているのでどこのキンダーガーデンに行かせるかは、大変重要です。
でも、どうやって小学校を選んだら・・・
まだまだ先のことという感覚で実感がわかない。
またまたDOEのサイトで目を凝らして夜なべ仕事です。。。。
そして調べると、出るわ、出るわ、小学校のありとあらゆるデータが。
その情報量の膨大さには圧倒され、驚くばかり!
生徒の人種構成や科目別の学力レベル、テスト結果、昨年からの伸び率などはもちろん、いじめについて、先生のお給料や父兄からのアンケート結果まで、丸々全てオープンなのです。
1.JPG
なんという透明さ。。
アメリカという国の懐の大きさを感じる、というかなんというか。

DOEからレターが来るわけでもなければ、親が何もしなければ、何もはじまらないのがニューヨークの学校探し。
誰も、何も手伝ってはくれないけれど(有料コンサルタントを雇う親もいます)DOE以外の数多あふれる民間サイトも含め、念入りに情報収集し、分析し、実際に学校の門の前で在校生の父兄にヒアリングし、学校見学のアポを取り、断られても交渉し、、と、親はフルタイムでこの仕事に挑まなければなりません。
情報収集力と分析力、鵜呑みにしない客観性、交渉力、ネットワーキング力、そして最後は忍耐力とセフルモチベートできる力、、などなど。。
親に求められる学校探し能力のコンピテンシー、数え上げたらキリなし・・・
なにからなにまで自己責任
これがアメリカ・・・

予防接種のお知らせまで郵送してくれた日本のお役所が懐かしい。
待ち時間が長いとか、たらい回しにされたとか文句言った自分を今、ここに呼んで土下座させたい、、ごめんなさい。。
日本って本当にいい国です。。
それにしても、”良い学校”って何でしょう?
親にとっての良い学校?
ここまで親の出番が多いとついつい忘れてしまいそうですが、子供が「明日もまた学校に行きたい」と感じることがいちばん大事で、いつだって、子供のための学校、であることを肝に銘じなければ。
そう願いながら今夜も母の夜なべは続くのでした。

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