KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2014年11月11日

秋の楽しみとハロウィン

寺尾美香

ニューヨークでいちばん良い季節。それはなぜか秋と思っていました。
春でも夏でも冬でもなく、秋がいい。
木々の色が変わりはじめたセントラルパークをホットチョコレート片手に、マフラーに顔をうずめながらゆったり闊歩するニューヨーカー。
かっこいいーわー。
これこそ思い描いてたTHE New Yorkerの絵!
あたまのどこかに残っていた映画やドラマの憧れシーンをリアルに目にすると嬉しくなります。
ちょっと肌寒い風、でもあたたかい陽射しを感じる真冬が来る前の束の間の1ー2ヶ月。
この季節が楽しいと感じるのは、陽気のせいだけではないかもしれません。


20141111_01.jpg10月にハロウィン、11月にサンクスギビング、そしてハイライトのクリスマスに向けて
街中ソワソワ、ウキウキしているような雰囲気です。
みんな冬は寒くて嫌だ、嫌だと言いながらも、どこかで冬が来るのを楽しみにしているような気さえしてきます。
特に、親戚や家族が集まるサンクスギビングやクリスマスというイベントは、やはり一大事のようで、アメリカ人主婦達は忙しそう。
インテリアショップやキッチングッズのお店等はこぞって連日大セールで、「素敵なおうちづくり」のための様々な提案とそれを叶えてくれそうなきらびやかなモノたちがあっちでもこっちでも大安売りです。
20141111_02.jpg日本ではどうだったかな?
年末年始、お正月を迎えるにあたって、おせち料理や大掃除のために細々したものを買ったりはするけど、インテリアショップが家具の買い替えの提案までしてたかどうか、、、最近は日本でもそうなのかもしれませんが、アメリカ人のファミリーイベントに対する情熱と購買意欲はすごいなぁとヘンなところで感心してしまいます。
サンクスギビングも、クリスマスも今年は様子見でいいか、、と日本主婦の私はターキーもチキンも全く焼く気ゼロでしたが、ハロウィンだけはなにか親らしいことをやってあげた方がいいかとふと思い直しました。
でも、ハロウィンってなんだ?
自分が経験したこともなく、大人になってからもあまり馴染みのなかった行事です。
いつか東京ディズニーランドで見たデコレーションは可愛いカボチャがあちらこちらに吊り下がっていて、収穫祭のような感じ?もしくはなんとなく子供のためのイベントという認識でした。
ところが、ここで実際に経験するハロウィンはなんだか不可解なのです。確かに、カボチャがあちこちで売られていたり、ディスプレイされていたり収穫祭的な感じはあるものの、当日になると、ものすごく恐ろしいゾンビや血だらけのメイクの大人たちが普通に電車に乗ったり、街を歩いていたりして、ちょっと怖い。
日本でいうところのお盆だよ、という人もいたりしてますますよくわからない。。
調べてみると、古代ケルト人によって行われていた死者(聖人)を祭るキリスト教の祭り、ということのようですが、元々アイルランド系移民がアメリカに持ち込んだものなのに、なぜかイギリスではなくアメリカが本場のような感じになっているのも不思議です。
仮装する理由は、悪霊を追い払うために恐ろしい格好をする、ということのようですが、なるほど、、、怖いおばけより、もっと怖い格好をして悪い霊を寄せ付けないという発想。これもおもしろい。
例えば日本で「鬼よりもっと怖い格好をして撃退してやる!」という発想になるかどうか・・・(笑)
アメリカでは既に宗教的な意味は薄れていて、民間行事として子供から大人まで広く楽しまれているイベントのようです。
20141111_03.jpg子供たちはプリンセスやヒーロー、昆虫や着ぐるみなどの仮装で近所の家やお店をまわって、お菓子をもらいに行きます。
お菓子をくれるのは、なんとなくお年寄り夫婦が多いのかと思っていたらマンションで一人暮らしのお兄さんや若いお姉さんたちも、飴やチョコレートをかごいっぱいに用意して待っていてくれたりして、なんともいい感じです。
こういうおうちにこんな人が住んでるんだ〜と付き添いの大人としては色んなお部屋がチラっと見られるのも楽しい。
“地域社会とつながってる感”、みたいなあたたかい関係性がマンハッタンのような大都会でも脈々と続いていることに思わず感動です!
お祭り、というからにはやはり地域の人々をつなぐ、それなりの意味合いもやはりあるのかもしれません。
日頃は家の中ではコスプレ遊びには慣れきっている子供達も、この日はいつもの何倍もの気合いの入れようで、フェイスペイントしたり髪にスプレーしたり、おめかしして、外に出て行きます。
本物さながらの金髪のエルサたちはもちろん、エキゾチックなインド系エルサなどは意外な完成度に驚きです・・・(注:今年はエルサが大量発生)
こんな小さい頃から、ドレスアップして街に出掛けて行く体験が出来る子供達をちょっと羨ましいと思う昭和育ちの母なのでした。
更に大人たちもなんでもあり、の大仮装パーティーで、非日常を楽しんでいる様子です。
飲み会&カラオケでストレス発散もいいけど、コスプレではめを外すというのもありかもしれません。
とってもホラーな大人たちのはめの外し方はこちら、有名なグリニッジヴィレッジのパレードで一部ご覧頂けます(笑)
http://www.halloween-nyc.com/index.php
仮装パーティー、とも言えるハロウィン。
こういうイベントをくだらない、大人げない、と片付けてしまわずに老若男女みんなで楽しむアメリカの人々。
イギリスではなくアメリカで発展し、ここが本場とまで言われる所以も今なら少しわかる気がするのでした。

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