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マンハッタンで家を買う<2>(物件を見る)

2015年03月10日

寺尾美香

エージェントさんの紹介で2つの対照的な物件を見に行きました。
どちらも築1920年代。
へー、1920年代ですか。
…って、え?もっかい言って?!
と耳を疑うようなこれら”Pre-war(戦前)”と呼ばれる建物は、第二次大戦前1900年から1940年に建てられたそうで、ニューヨークではわりと普通に、かなり現役でバリバリ活躍中です。
しかもとても人気があります。
ということで、本日は楽しみにしていたPre-Warの内覧。


1件目は、名門ホテルのすぐ近く、エージェントさん曰く “超プライムロケーション”にありましたが、なぜか予算を下回る額で紹介されました。
煉瓦造りの外観からは風格が感じられてやっぱりとてもいい感じ。

薄暗く、小さなエントランスホールを見渡すもエレベーターらしきものがない。。まさか階段ですか??と心配顏をしていたら、エージェントさんが目の前にある扉を開けてくれました。
と、そこに古めかしい箱が現れ「わっ、なに?」と心中ザワザワしましたが、鉄格子の中からエレベーターが・・・。ヨーロッパの古いホテルみたいだとダンナが言いましたが、まさかこんな秘密めいた扉はないだろう…。
さて、お部屋に入ると、若干日当たりが悪くリビングの窓からの眺望はほぼゼロ。かなりの期間、修繕された形跡がなく、傷みや古さが目立ちます。この2点がこの物件の弱点のようで価格にダイレクトに反映されてしまっています。
でもまあ、なんといってもこの立地、部屋の広さや間取りは問題なさそうだし、投資物件としては相当お値打ちなのでは?と、ダンナとエージェントさんはひそひそ話。
そしてなーんとなんと意外なことに、洗濯機と乾燥機がついています!
これは、日本から来たばかりの私には到底理解出来ないニューヨークの七不思議(もっとあるかも)の一つですが、新築物件でさえも、洗濯機が部屋に付いていない、または買って付けるのもダメ、というマンションが多いのです。
マンションのフロアや地下にラウンドリールームがあってそこまで行くか、わざわざ数ブロック先のコインランドリーまで行って洗濯するのがニューヨーク流です。
日本なら6畳一間くらいの小さなアパートだって洗濯機くらい置けるようになってます。
なんで?と思いますが、地価の高いマンハッタンでは洗濯機を置くくらいなら収納スペースとして使いたいというニーズが多いそう。
買って付けたくても、そもそも洗濯機を取り付けられるように建物の排水設備が整っていないからダメなんだそうです。
自分で洗濯したことはなく、お手伝いさんに洗濯してもらうのが”普通”の人も結構いるみたいなので、そこはあまり問題にならないのでは、という意見もあり。
庶民の感覚では理解し難い現実です。
それに、共用のラウンドリールームはマンションの住人と仲良くなれるチャンスで社交場としての利用価値もあるとエージェントさんが教えてくれました。
まあでも、この物件はいくら洗濯機付きとはいえ、床は歩く度にギシギシ言うし、バスルームもボロボロだし、生活していくイメージ湧かないなぁ…
普通なら、あっさり「ないわ」と踵を返すところですが、ここはなんといっても”リノベーション”王国、アメリカです。
昔、テレビか何かでヨーロッパでは、古い家でも中を修理して、何代にも渡って長く使い続けるという話を聞いたことがありますが、アメリカでもそれは同じようなのです。
この、ちょっと壊れたところや、傷みのはげしいところを部分的に修繕するのが、”リノベーション”。
と、ばかり思っていたら、そうでもないらしく、キッチンだったところをスタディルームにしてしまったり、壁をとっぱらってオープンキッチンに改造したり、お隣さんと合体して部屋数を増やしてしまったりと、買ったからには好きにさせてもらうわよ的な、やりたい放題なのがアメリカのリノベーション。さすが!
自由すぎるこの発想、なんでもありなこの感じ、好きです。
そういえば、SATCの中では、エイダンがキャリーの部屋の壁を壊して2ベッドルームにしようとするシーンがありました。(DIYなのはさすがエイダンですが・・)
このようにリノベーションはアメリカでは特別なことではないようですが、それは単に自分好みの部屋作りをする、というだけでなく、物件の資産価値をアップさせる狙いが大きいようです。
そっか、それならここならキッチンを木目調のエレガントな感じにして、壁を外してオープンにして、床は全部貼り替えて床暖入れて、バスルームをピカピカにしたら・・・うん、かなりいいい感じになりそう!
そう、あの”ビフォーアフター”のように…
匠の手によって生まれ変わった新しい我が家に涙するあの体験をぜひともしてみたい!「なんということでしょう」と連呼してみたい!
思わず妄想列車が発進しかけたところで、2件目を見に行く時間です。

こちらもさすがPre-War、なんとも雰囲気のある素敵な外観です。
ドアマンに通してもらって建物に一歩足を踏み入れると、外からは想像もできないような、明るく、広く、優しい雰囲気のエレガントなホールが広がっています。
俄然期待が高まります。
そしてやっぱり「なんとういうことでしょう!!!」
まず、お部屋はとても広々していて明るくてこれなら子供が大きくなっても十分なスペースが確保できそうです。
ここは、ワンルームとつなげて2ベッドルームに改造したバージョンのようです。
そして、どこもかしこもピカピカにリノベーションされていて、キッチンが真っ赤だったり、トイレが青緑でキラキラしていたり、かなりモダン。
かなり個性的。

本日、何回目かの驚きを隠せません。
Pre-Warのブラウンストーン、内装はおもいきり現代風に、そのギャップが最高!というのがニューヨーカー好みのようですが、ここはちょっと振り切りすぎ、というか、アートすぎやしないか?
ここにあるインテリア全て現オーナーの私物かとエージェントさんに聞いてみると「うーん、おそらくこれは売るためにステージングされてるでしょうね」とのこと。
物件を売りに出す時に、”ステージング”と言って、プロのデザイナーに頼んで、家具やデザインをモデルハウスのように整えることがあるそうです。
そういえば、これまで見たところも、やけに美しく整ったお部屋が多かった。
「さすがニューヨーカーは違うわ」と関心してたけどそういうことだったのか。
現オーナーが住んでいる生活感溢れる物件も見ることがありますが、インテリアや写真からどんな人たちがどんな生活をしているのか、自分たちが住んだらどうなるか、そこでもイメージを膨らませることが出来ます。
でも、赤のキッチンとモザイクタイルはちょっと・・・
ここで自分が料理してるのはイメージしにくいなぁ。
すると「あ、それはリノベーションできますから」とエージェントさん。
本日のキーワード、”リノベーション”。
ニューヨークでの家探しには必須ワードです。

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