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おわらないNY はじまりのSF

2016年07月12日

寺尾 美香

結局、引っ越しまでに家の売却は完了しませんでしたが(そして今現在も・・・)家族揃ってサンフランシスコに移り住むことに決めました。

広く、青いカリフォルニアの空、清々しい爽やかな空気、ただ、ただ癒されます。

スーパーの袋が有料なのでエコバックを持ち歩くようになり、Trader Joe’sの買い物袋を下げてスケボーでぶっ飛ばすお兄さんに驚いたり、おもちゃみたいなレトロなケーブルカーや路面電車が可愛くていちいち立ち止まってみたり。新しい街での暮らしはいつだって新鮮な発見に溢れています。

で、やることと言えばまた

家探しから学校探し….じゃなくて、学校探し、からの家探し

ほとんどデジャブのように2年前と同じところからスタートです。

サンフランシスコとその近郊のベイエリアと呼ばれる一帯はNY並みに家賃が高くやはり家探しは一筋縄ではいきません。良い学区のエリアは家賃が高い、これもNYと同じ。加えて、ここでは白人、アジア人など人種構成のバランスがどうかというのも注意が必要でこれがなかなかむずかしい。それでも、なんとかぎりぎり予算内で郊外の希望エリアに一軒家を借りることが出来、まずは一安心です。・・・・とは、やっぱりいかずっ!

こちらの家の賃貸契約した翌日に ”銀行との諸手続きにさらに時間がかかりそう” とNYの家の買い手から不吉な連絡が。既に約束の期日はとうの昔に過ぎ、クロージングが遅れに遅れているだけに不安ばかりが膨らみます。

本当に大丈夫だろうか?

家が売れるまであっちとこっちで家賃の二重払い、という恐れていた事態は免れそうもありません。問題はそれが一体これからどのくらい続くのか。

この感じどこかで・・・
NYで家を買った直後のあの悪夢が再び蘇ります。
ダンナだけ先に来て安アパート借りて住んで、私と子供は売れるまでNYに残るべきだったか。
長期化するようなら今から荷物を送り返して私たちだけ戻る?
今さらそんな…
新たな買い手を探してまたゼロからとなるとこれから半年はかかる。

見込みが甘かったのか、
ああすればよかった、
こうするべきだったのか、

答えの出ない自問自答を繰り返して悶々としながらも、日々の生活は待ったなしです。車を買い、学校の申し込みを済ませ、病院探しをして、どこに何があるか調べ・・・新しい生活の立ち上げを進めなければいけない。
おわらなくても、はじめなければいけないのです。

決着がつくまでは先に進めない、きちんと終わらせてから次にいく、そういう道理が通用しなくて、わからなくてもわからないまま、前に進めていくしかない。こういう状況にそろそろ慣れなければ。

新しいチャレンジをするってこういうことなのかもしれない。

それに“絶対にこうじゃなきゃ” なんてことは何ひとつないんだからとも思うのです。

こうじゃなきゃいけない、絶対こうしたい、という思い込みとか欲でガチガチになると、周りをコントロールしようとしたり、怒りや不安でいっぱいになってつらくなるし、ものごとが複雑になってしまうこと、結果的に上手くいかなくなること、身を以て学んできたことです。きっと、これって、日本にいても、アメリカにいても、どこにいても関係なくて。

それに、苦労したことは決して無駄にならないし、そこからのレッスンは、次に進む時の大きなパワーになることだってわかっています。実際、現在進行形でこんなに肝を冷やしてハラハラしている物件売却の真っ最中に“いずれは、ここでまた家買ってもいいかなぁー”と全く懲りていないダンナに心底驚愕しましたが、人間というのはこのようにして強く(しぶとく?)なっていくのかもしれません!

そんなわけで、まだまだこの先なにがどうなるかわからず、この地でもなにやらいろいろありそうですが、NY生活をテーマに書き綴ってきた本ブログはひとまず今回で終わりにしたいと思っています。

思えば2年前の7月に旅行で初めて来たこの地で再会した友人に”なにか文章書いてみたら?” と勧められたのがきっかけでした。
2年後ちょうど同じ季節、ここで最後のポストを書いているのがなんとも不思議な感じ・・・

書くことで、モヤモヤしていた考えが整理されたり、新たな気づきがあったり、ものごとを見る目が変わったり。ブログやってみてよかったな、と思っています。
そんな自己満足のような文章に最後までおつきあい下さり、お読み下さった全てのみなさまに心より感謝します。本当にありがとうございました。

またいつかどこかでお会いできるのを楽しみに!

寺尾 美香(てらお・みか)
慶應丸の内シティキャンパスで4年9カ月間ラーニングファシリテーターとして多くのプログラムを担当。2014年4月よりNY、2016年7月よりSF在住。

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