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通訳案内士(通訳ガイド)という仕事

2016年09月13日

山内 久未

皆さまは「通訳案内士」(通称:通訳ガイド)という国家資格をご存知ですか?

資格試験を管轄するJNTO(日本政府観光局)のHPには、「報酬を得て外国人に付き添い、外国語を用いて旅行に関する案内をする業を営む者のこと。つまり有償の外国語観光ガイド」とあります。修学旅行などで目にする観光バスガイドさんの外国語バージョン、というとイメージがつきやすいでしょうか。とはいえガイドさんのように可愛い制服を着るわけではありませんし、団体だけでなくご夫婦やご家族連れなど個人のお客様と一緒に公共交通機関や徒歩でのエスコートツアーも多いです。

試験の内容は外国語の他に、日本歴史、日本地理、一般常識の筆記試験4科目+口述試験。
私は英語の通訳ガイドですが、外国語試験は英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、中国語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、韓国語、タイ語と、全10か国語で受験可能です。
ガイド業務に従事することを目的に受験される方ももちろん多いですが、語学力を示す唯一の国家試験(英検やTOEICは国家試験ではありません)ということで、自身の語学学習の集大成として受験される方も増えてきているそうです。

そもそも私がこの職業に就いたきっかけは3年前にさかのぼります。その頃主人の仕事に伴って東京から福岡に移住しました。それまで働いていた世界から離れ、豊かな自然に囲まれ、のーんびりした日々。とはいえ、もともと旅行会社に勤め、国内外で添乗業務にも従事していたことから、海外が大好きで英語にも興味津々だった私。のんびりした生活も良いけれど、せっかくの機会に何かを学ぼう!何かに挑戦してみよう!と思い立ったのが、旅行好き×添乗経験×英語と、トリプルで魅力的だった通訳ガイドでした。

当時のTOEICスコアは700前後。全くダメではないけれど、ガイド試験の水準には程遠いもので(TOEICスコア840もしくは英検1級が英語レベルの基準)、福岡にある通訳学校のスタータークラスに入学するところから始めました。

そして、猛勉強をはじめて数か月経った夏の終わりに飛び込んできた2020年の東京オリンピック開催のニュース。深夜までテレビに釘付けになり、発表された瞬間は、偶然とはいえ運命的なものを感じずにはいられず、思わず涙がこぼれました。2020年東京オリンピックを観客として楽しめるのももちろん素晴らしいことだけれど、もし通訳ガイドとして、仕事として、世界各国からのお客様を迎えることができたらどれだけ貴重で、幸せな体験になるだろうか。夢は一気に膨らみました。

約2年間の勉強生活を終え、2015年2月、通訳ガイド試験に合格!自治体への登録やガイド団体が主催している実務研修などを終え、2015年春、ついにガイドとしての一歩を踏み出しました。

ガイドネームのKimmyは、通訳学校の恩師が合格祝いとしてつけてくださいました。外国人のお客様にとって日本語の名前は大変発音しにくいため、ガイドの多くは自分の名前にちなんだガイドネームを使っています。Kimmyは英語でポピュラーな女性名Kimberlyの愛称。お客様は一発で覚えてくださり、私は本名と響きが近いため呼ばれていることに気がつきやすく、私の仕事の大切なパーツのひとつです。

通訳ガイドデビューから約1年半。今年の春に東京に戻ってきたのを機に、東京でも浅草や明治神宮などでガイドをしています。とはいえ兼業通訳ガイドなので、ベテランの先輩ガイドや同時期にデビューした仲間に比べると微々たるものですが、おかげさまで様々な国の、様々なお客様と出会い、ご一緒してきました。毎回何かしらのハプニングがあり、珍エピソード(前回参照)はツアーの数の分だけあり、魅力はつきません。

2015年4月1日現在の通訳案内士登録者数は19,033人。
外国人のお客様に日本の良い印象を持って帰ってもらうことは日本理解の第一歩となりますし、私もお客様からそれぞれの国の話を直に聞くことで、各国への興味や理解も深まります。ガイドの仕事は “民間外交官”とも言われます。多少大げさかもしれませんが、草の根的ではありつつも、国際親善の一翼を担っている!と自分を鼓舞し、毎回緊張しつつもちょっぴり胸を張りながらお仕事をしております。

山内 久未(やまうち・くみ)
慶應丸の内シティキャンパスで2年間ラーニングファシリテーターとして多くのプログラムを担当。退職後、約2年間の勉強生活を経て2015年春より通訳案内士(通称:通訳ガイド)として日々奮闘中。

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