KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2009年05月15日

「コトバの表現ひとつ」で変わること、変えられること

今週月曜日の夕食後になんとはなしにテレビを見ていたら、『SMAP×SMAP』が始まりました。
皆さんご存じの一件のため、その日は木村拓哉氏が様々なゲスト(全て木村氏と同じネズミ年)と対談するという内容に変更されていました。
本日はその中でのベッキー嬢との対談について、少しお話ししてみたいと思います。
「ああ、やっぱりコトバって面白いし大切だなあ」と感じたからです。
(以下親しみも込めて「木村クン」「ベッキー」と表記します)

番組では、ベッキーが木村クンに「心がけていることってなんですか?」と問いました。
木村クンはこう答えます。
「『一日一善』ってあるでしょ? あの“善”を“全”に変えて心がけてる。つまり『一日に1回は全力、フルスロットルでなんかやる』ってこと」
ベッキーは、「ああ、それよくわかる」と言いました。
「私は、絶対『疲れた』と『忙しい』は言わないようにしてるんです。ほら、『忙しい』って『心を亡くす』って書くでしょう?」
「だから『疲れた』じゃなくて『ワタシ頑張ってるなあ』、『忙しい』じゃなくて『充実してるなあ』って言うようにしてる」

二人のこの発言、確かによくある“言葉遊び”かもしれません。
木村クンの『一日一全』は、結婚披露宴の来賓挨拶でしばしば使われる、「人生の旅立ちに,3つの“ふくろ”を大切にしてください。1つは“おふくろ”、2つ目は“給料袋”、そして3つ目は“堪忍袋”です」なんかと同じ類でしょう。
またベッキーの『ポジティブな言い換え』も、本ブログで2度ほど取り上げた“リフレーミング”のひとつと言えます。
「あと30分“しか”ない」と考えるか、「あと30分“も”ある」と考えるのか、という『とらえ方を変える』という発想の転換手法ですね。
だからこれらを「まあよくあるパターンだよな」と鼻で笑うのは簡単です。
「『一日一全』なんてわざわざ言わなくても全力でやることを心がければいいじゃん」
「『充実してる』って言い換えたところで状況が変わるわけじゃなし」

しかしこう考えるヒトは、コトバの持つ力を未だ知らないのだと私は思います。

『一日一全』という短く語呂が良いコトバだからこそ、頭にしっかり残るし忘れずに意識できるようになるとは思いませんか?
ビジネス・コミュニケーションでよく使われる“ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)”も、全く同じ理由で使われています。
確かに忙しくて睡眠時間も取れず、肉体的・精神的に疲れている状況かもしれません。
しかし状況をどうとらえるかは、最終的には主観の問題です。
であればネガティブに解釈しても状況が変わらないのであれば、精神的な部分だけでも救われるようにポジティブに解釈する方が合理的なのは火を見るより明らかです。
■ヒトコトで覚えやすく表現するか、長々と具体的に表現するか。
■ネガティブなままでコトバにするか、あえてそれをポジティブに言い換えるか。
コトバが長いか短いか、また表現がネガティブかポジティブか、たったそれだけの違いなのに、心がけやすくなったり、元気になったりできる。
その結果行動までも変わるし、そうしたら状況も変えられるかもしれない。
コトバはそれだけの力を持っているのです。

部下や子供を指導する際、どのように表現すればわかりやすく、また忘れないか。そして相手の心に響くか?
では、顧客に商品・サービスを提案する際には?
自分自身を奮い立たせたり、あまり気の進まないことをやる時に、どう自分に言い聞かせるか?

少しコトバの使い方を変えてみるだけで、大きく変わることがあるはずです。

ところで、私は「語呂の良い短いコトバで」なんでも表現しようと言っているわけではありません。短く表現してわかりにくくなったりしては本末転倒です。
また、ポジティブに言い換えることも、単に状況を楽観視することを推奨しているわけではありません。
誤解の無いように補足しておきます。

さて、もし私がベッキーに「心がけていることってなんですか?」と聞かれたら(聞かれないのはわかってますよ(笑))こと答えます。

「そうですねえ、『反省すれども後悔せず』ですかね」

反省しないと次にうまくやることはできませんが、後悔しても過去は変えられませんから。

メルマガ
登録

メルマガ
登録