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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2013年03月13日

彼女がスキルを着替えたら

仕事の忙しさに身内の不幸も重なり、ほぼ1ヶ月ぶりの更新となりました。
さて、人材開発(育成)の世界では、開発する対象、つまり能力を『ナレッジ/スキル/マインド』の3つに分けて考えることがあります。
ナレッジとは専門的/汎用的知識。
スキルには職種や業種に特化した専門的なものと、管理手法や思考・コミュニケーション力のような汎用的な技術が含まれます。
そしてマインドは意欲やチャレンジ精神など、いわゆる信条/心の持ち方と考えて良いでしょう。
これらを私たちはOJTやOff-JTを通して学び、習得していくわけですが、では、この3つの要素(の中の具体的な何か)の「習得が完了した」と言いたい時、私たちはどのような表現を使っているでしょうか。



ナレッジ(知識)は、やはり「憶えた」とか「頭に入った」と表現しますね。「手に入れた」という言い方もあります。
スキルはやっぱり「身につけた(身についた)」がしっくりきます。
そしてマインド(信条/精神)なら、「確立した」でしょうか。「胸に抱いた」も使います。
こうしてみると、身体的部位という点で、
◆ナレッジ → アタマ
◆スキル → カラダ(手足)
◆マインド → ココロ(胸)
を私たちはイメージしてこれらの言葉を使っていることがわかります。
しかし、さらに目をこらすと、実はナレッジやマインドは頭や胸の『中』に入れるもので、スキルだけは体(手足)の『外』に付ける、つまり着る/纏うものと私たちがほとんど無意識的にイメージしていることに気づきます。
これは何を意味しているのでしょう?


思うに、「中に入れる」知識や信条は、「取っ替え引っ替えするようなものではない」からではないでしょうか。
特にマインドが状況変化でころころ変わるのは考えもの。
時間とともに陳腐化するナレッジにしても、「知識は荷物にならない」と言われるように、実際に重さがあるわけではありませんから、別に捨てる必要もないわけです。
それに対してスキルは、状況に応じて必要となる技術やツールが異なりますから、「賢く取っ替え引っ替えする」ためにも、中に入れるのではなく、外に着るものなのです。


まさに服のように。


だから季節に合わせて衣替えをするように、スキルも組織や自分を取り巻く外部環境の変化に合わせて着替える必要があるのです。
たとえば真冬には私たちは厚着をします。
組織や自分を取り巻く状況が真冬のように厳しいものであれば、やはり身につけるべきスキルも重ね着すべきでしょう。
また、TPOの違いでその場にふさわしい服装が異なるように、スキルもTPOと期待されている役割に応じて着替えた方が良いでしょう。
マネージャーという役割は変わらなくとも、ある場面ではコミュニケーションスキルが、そして別の場面では戦略立案スキルが求められるのは、スキルをTPOに合わせて着替えていると考えられます。
いや、時には『裸のつきあい』という言葉のように、「一切のスキルを見せず」に誰かと腹を割って話すことも必要なのかもしれません。
こう考えていくと、スキルを着替えるためにも「たくさんのスキルをワードローブに整理しておく」ことが重要であることが見えてきます。
インナーの役割を果たす、論理的思考力や見る・聴く・伝えるためのコミュニケーションスキル。
ジャケットやワンピースのような印象を決める重要アイテムは、やはりその道のプロであることを印象づける職種に応じた専門スキルでしょうか。
では寒さをしのぐコートにあたるスキルは?
手袋は? オシャレのワンポイントとなるネクタイやアクセサリーに該当するスキルは?
ぜひ、みなさんひとりひとりで考えてみてください。
そのためにも、まずはワードローブを整理するように、ご自身のスキルを棚卸しし、整理してみてください。
そして考えてみてください。
足りないアイテム(スキル)は何ですか?
相対的に少ないのはどの類の服(スキル)ですか?
その手持ちの服(スキル群)でセレブなパーティ(グローバルビジネス)に招待された(抜擢された)時に対応できますか?
ひょっとすると、「パーティに呼ばれたい」という願いが叶わないのは、あなたがそれにふさわしい服を持っていないからかもしれませんよ。
また、インナー(基礎的汎用スキル)は見えないとはいえ重要ですよ。古ぼけていませんか?
そのジャケット(専門スキル)は、確かに以前は流行だったかもしれませんが、今は時代遅れではありませんか?

などなど、『スキル=服』というメタファーで考えるだけで、様々な気づきがあるはずです。
そうして「あー、このインナーは買い換えなきゃ」とか、「流行のジャケットと、パーティ用のネクタイを買いに行かなきゃ」と思われたなら・・・


ぜひ、慶應MCCでお買い物を(笑)

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