KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2015年01月06日

今年も「考える力」を

あけましておめでとうございます
2015年のスタートですが、皆さんは、どんな年末年始をおくられたでしょうか。
私は年明けから早速「やらかして」しまいました(笑)
というのも、昨日「さあ、仕事始めだ」と出勤したところ…
…誰もいない。
今日がMCCは仕事始めだったのです。
誰もいないオフィスでひとり爆笑してしまいました。
まあ、やることは山ほどあるので、普通に一人で仕事してましたが。


さて、本年最初のエントリーは、決意表明も込めて、年末年始に読んだ本について書いてみたいと思います。



その本とは、『世界十五大哲学』です。
タイトルの通り哲学書、というか哲学史の本ですが、とてもわかりやすい。
ちょっとAmazonの内容紹介を引用します。
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作家・元外務省主任分析官の佐藤優氏が、自著のなかで「説明が丁寧でわかりやすく、この本のおかげで哲学の入り口を間違えずに済んだ」と紹介。以来、入手困難な稀覯書として注目を集めていた名著を復刊。ソクラテス、プラトンから、デカルト、カント、ヘーゲル、そしてマルクス、サルトルまで。哲学史に多大な影響を与えた15人の大哲学者の思想、生涯、著作、時代背景を平易に解説。西洋哲学の歴史がわかる「第一編 哲学思想史」や、巻末の用語解説も充実。教養のベースとなる哲学の基礎知識と思考法が1冊で身に付く、哲学入門書の決定版! 
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ただ、入門書とはいえ哲学の本ですし、少し古い本の復刊なので、わかりやすい内容とは言え、語り口は少し硬いです。
ですから万人にお勧めできる本ではありませんが、哲学に少しでも興味のある方なら問題ないでしょう。
また、633ページににも及ぶ本ながら、文庫なので1,080円と安いですし、Kindle版なら787円とさらにお得なのも見逃せません。


さて、本日は本書を概観し、書評をするつもりはありません。
ここでは、デカルトにフォーカスしつつ、それに関連づけて私の本年の決意表明をしてみたいと思います。
彼、デカルトはフランス生まれの哲学者ですが、数学者としても名を残しています。こんな事実からも、哲学が全ての学問の祖であることがわかりますね。
そして彼は、合理主義哲学の祖、また近世哲学の祖と呼ばれていますが、それは彼の経歴、ある意味戦いの道程を知れば、当然のことと言えます。
当時、思想の分野で隆盛を誇っていたのが、信仰による真理の獲得を目指した「スコラ哲学」でした。
しかし彼はその「なんでもかんでも神様の意思」という、スコラ哲学に異を唱えました。
「我々人間の力(思考力)で、真理を獲得すべきだ」と彼は考えたのです。
この考えが集約されたのが、彼の最も有名な言葉である、「我思う、ゆえに我あり」なわけですね。
彼は徹底的に「人間の力」を信じていました。
彼は著作『方法序説』の中でこう述べています。
「正しく判断し、真偽を識別する力。これがまさしく良識や理性と呼ばれるものだが、その力は生まれながらに、すべての人に平等である」
これは要するに、「誰でも十分な思考力は有している」ということです。
しかし私たちの現実の思考力には個人差、優劣がある。それはなぜか。彼はこう続けます。
「しかし健全な精神を持っているだけでは十分ではない。重要なのはそれを正しく適用する『方法』だ」
これは「考えるだけではダメだ。方法、つまり『考え方』を学びなさい」ということです。
…個人的には、デカルトには「ロジカルシンキングの祖」という称号も与えたいくらいです(笑)
事実彼は『方法序説』の中で、その方法を
1. まずは疑うこと
2. 具体的、複雑なテーマはそれを構成要素に分解すること
3. 単純な構成要素を統合し、具体的、複雑なものを再建すること
4. この分解と統合において、モレがないかをチェックすること
と説明しています。
はい、1.はロジカルシンキングやクリティカルシンキングの基本姿勢ですね。
そして2.はロジックツリーで3.はピラミッドストラクチャー、そして4.は、このふたつの思考ツールを使う際に重要なMECEの概念に他なりません。
いやあ、ホントに尊敬してしまいます。
「考えるときは、『考え方』を使って考えよう」
これは私も、様々な研修やセミナーの序盤で念を押していることです。


しかしもちろん、『考え方』はこのような「論理的」な考え方しかないわけではありません。
今年の私のテーマは「ポスト・ロジカルシンキング」です。
ロジカルシンキング、論理的な考え方は必要です。
しかしどうしても、論理的に考えて出た答は「まあそうだろうな」という「蓋然性の高い(確からしさの度合いが高い)」、常識的な答が中心になります。ネガティブな言い方をすれば、普通、無難な答が多くなります。
問題の原因分析であれば、蓋然性の高い仮説を導き出すロジカルシンキングは、間違いなく身につけておくべき思考の「方法」です。
しかし商品企画や戦略立案など、「次の一手」を考える場面では、「斬新さ」や「独創性」も重要です。そうした場面では、ロジカルシンキング「だけ」では足りないのです。
だからロジカルシンキングの「次に」学び、論理的思考力を補完する別の「考え方」が必要です。
※ちなみに「ポスト」とは英語ではnext、つまり「次に来るもの」を意味します。しばしば「置き換えるもの」と誤解している人がいるので念のため。
「ポスト・ロジカルシンキング」
今年は、その追求と学習コンテンツとしての体系化を目指します。
デカルトの足跡と、その成果に感謝し、それを越える。
いや、そんな大それたことは考えてません(笑)が、それくらいの意気込みで頑張るつもりです。
準備は着々と進んでいます。
春には、新しいプログラムとしてMCCでスタートさせますので、ご期待ください。

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