2016年01月28日
ロジカルに反論してみよう [U23日本代表編]
「ロジカルに考える」 それは、
「モノゴトを構造化して考える」ことであり、またそのためには、「適切な情報を選択する」必要があります。
本日は、何度かここで行っている「思考トレーニング」の一環として、「誰かの主張にロジカルに反論する」を試みていただきたいと思います。
今回のお題は、旬なネタということで、「サッカーU23日本代表の、リオ五輪アジア最終予選」で考えてみましょう。
ご存じの通り、一昨日の準決勝、対イラク戦に勝利(終了間際の劇的な原川のミドルシュートで2-1)し、リオ五輪出場を決めました。
私もリアルタイムで視聴し、「決まったー!」と声を上げてしまいました(笑)
1/30の決勝は、地元カタールを準決勝で破った韓国。
ここまで来たら、全勝で終えてほしいものです。
しかし、元日本代表であり、Jリーグでも監督を務めていた、あるサッカー解説者は、「U23日本代表はひどい」と主張しています。
彼の主張の根拠は、整理すると以下の2つ。
1. A代表のやろうとしているサッカーとの連動性がない
2. 「相手の良さを消して勝つ」だけで、自分たちのサッカーがない
要するに、「日本代表は「勝てばいい」ってわけじゃない」と言いたいようです。
さて、あなたならこの主張に、どう「ロジカルに反論」しますか?
まずは自分の頭で考えてみてから、<続きを読む>をクリック!
まずは、悪い見本から(笑)
–(A)——————————–
「勝てばいいってわけじゃない」?
勝つことを最優先にして守備一辺倒の戦術を採り、それが批判されてJの監督を解任されたのはどこのどなたでしたっけ?
—————————————-
…えー、このような「お前が言うな」的な反論はしばしば目にします。
しかし、これは単なる「個人攻撃」であり、相手の主張にロジカルに反論しているとは言えません。
相手の主張にカチンとなったとき、犯しやすい過ちなので注意しましょう。
また、彼は「日本代表なら」と前提条件をつけていますから、それをJリーグでの過去の事実を使って反論するのは、冒頭で述べた「適切な情報を選択する」に反しています。
だから「筋違い」の反論になってしまうわけですね。
では次の例。ある著名ブロガーは、こう反論していました。(以下抜粋&要約)
–(B)——————————–
サッカーは「負けて得る」ことより、「勝って得る」ことの方が大きい。
既にU23の選手たちは、何度も負けて挫折を味わい、それで成長してきた。
今は勝利を糧にする時期なのだ。
—————————————-
…うーん、確かに前の(A)のような個人攻撃ではありませんし、「勝てばいいってわけじゃない」に、「いや、勝つことが大切だ」とストレートに反論しています。
だから「ロジカルじゃない」とまでは言いませんが、やはりこれも根拠の薄い、「印象論に頼った」反論と言わざるを得ません。
少なくとも、U23のチームと選手が「これまで負けて得てきたモノ」と、「本大会で勝つことで得たモノ」を具体的に挙げないと、「なんとなくわかる」レベルで終わってしまいます。
では、私ならどう反論するか。
当然正解でもなんでもありませんが、こんな主張はどうでしょう。
–(C)——————————–
本当にA代表との連動性は必要不可欠なのだろうか?
代表チームに限らず、サッカーのプロチームは、獲得が変わればコンセプトも、そしてシステム(4-4-2とか)や具体的戦術も変わる。
彼らU23の選手達がA代表上がったとき、それが今のA代表と同じコンセプト、システム、戦術である保証はどこにもない。
であれば、かえって「A代表と異なる様々な戦い方」を経験させておくことも必要では?
また、確かに「相手の良さを消す」のは『弱者のサッカー』と呼ばれている。
だから、確固たる自分たちのスタイルを確立し、それで相手を圧倒するのが理想かもしれない。
しかし、世界的レベルから見れば、日本のサッカーはまだまだ「弱い」のが現実であり、弱者のサッカーこそ、今の日本が世界に「負けない」ためには徹底的に磨くべきかもしれない。
そもそも、「相手の良さを消す」のも、ひとつの「自分たちのサッカー」のはず。
—————————————-
いかがでしょう。
「A代表との連動性がない」「自分たちのサッカーがない」という「ひどい」という主張の2つの根拠それぞれに、「監督交代の可能性」と「世界的に見た現在の日本のポジション」という情報を使って反論してみました。
もちろん、他にも様々な反論の仕方があるでしょう。
しかしサッカーの素人である私でも、これくらいの情報は持っています。そしてそれを使えば、何らかの反論はこうしてできます。
みなさんも、新聞やテレビ、ネットでの誰かの主張に「はあ?」と思ったことはあるはずです。
そんなとき、こうして「ロジカルに反論」することを意識してみましょう。
いや、「その通り!」と感じた主張に対しても、あえて反論してみましょう。
感情論、印象論でなく、そして個人攻撃でもなく。
適切な情報を使って、論理構造を組み立てて「いや違う。なぜならば~」と反論を試みる。
これ、論理的な思考力とコミュニケーション力の両方に効く、良いトレーニングになりますよ。
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