ファカルティズ・コラム
2019年10月10日
あなたのミッション・ビジョン・戦略は?
戦略論において必ず語られることとして、「ミッション・ビジョンとの整合性」があります。
なぜ語られるのかというと、企業戦略(全社戦略とも言います)や事業戦略、マーケティング戦略など、戦略はそれ単独で考えるべきものではなく、その上位目的であるミッションとビジョンから考えるべきものだからです。
以下の図は、それを表したものです。
この図からわかるように、企業において最上に位置付く「この企業が存在する意味・使命」がミッションです。
多くは「企業理念」や「経営理念」という形で明文化されています。
たとえばホンダやキリンは以下のようなミッションを掲げています。
<ホンダ>
◆基本理念
人間尊重(自立・平等・信頼)
三つの喜び(買う喜び・売る喜び・創る喜び)
<キリングループ>
◆グループ経営理念
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。
ホンダのミッションには創業者の「想い」、そしてキリンのミッションからは明確な経営方針が伝わってきます。
そしてこうしたミッション、使命を実現するために取り組むべき長期的な目標、それがビジョンです。
先の2社では、こう明文化されています。
<ホンダ>
◆2030年ビジョン
すべての人に、「生活の可能性が拡がる喜び」を提供する
-世界中の一人ひとりの「移動」と「暮らし」の進化をリードする-
<キリングループ>
◆2027年の目指す姿
食から医にわたる領域で価値を創造し、CSV先進企業となる
ホンダは自動車にバイク、小型ジェット機など、「移動」の分野で知られていますが、それだけでなく、2027年には「暮らしの進化をリードする」企業になっていたい、という目標が示されています。
対してキリンでは従来からの飲料を中心とした「食」の分野だけでなく、そこで培った技術(たとえば発酵技術など)を活用した「医療」の分野も拡大させていくと宣言しています。
さらにキリンでは「CSV先進企業」もキーワードで、社会に貢献することをビジネスとして成立させるためのお手本となる、ということです。
両社とも、ミッションがより具体的にブレークダウンされています。
そしてこうしたビジョンを実現するために取り組むべきこと、それが「戦略」です。
先の図解を見てください。
山に登る。
その目的はもちろん「頂上に到達する」ことで、それが「ビジョン」です。
しかし、ひとつの山の頂上にたどり着くことが最終目的ではなく、その先、たとえば「五大陸最高峰の制覇」という最終目的があれば、それが「ミッション」です。
そしてミッション、頂上というゴールにたどり着くために「どのようなルートで登るのか」、それが「戦略」です。
どのルートが最短距離・最短時間か、また景色が良いか、安全か、など様々なファクターを勘案して「このルートで登ろう」と決めた道、それが「戦略」です。
ですからせっかくのミッションとビジョンも、道、つまり戦略を誤ってしまったら、頂上にたどり着けなかったり、事故に遭ったりするわけです。企業で言えば、倒産すらしかねません。
だからこそ戦略の策定は重要なわけですが、それは企業だけではありません。
ひとつの部門やグループのトップ、たとえば部長は自分のミッション・ビジョン、そして戦略を明確にしなければなりません。会社全体であれ、ひとつの部であれ、そのトップは自身が率いる組織をマネジメント、つまり「経営」することには違いはないからです。
そして私たちひとりひとりも、セルフマネジメント、つまり「個」を経営する立場。
だから仕事や家庭、そして社会において自分の「ミッション」と「ビジョン」は何か。
それを考えるべきだと思うのです。
そしてそこから個々の領域における「戦略」を考えましょう。
そうすることで、自身の「キャリア戦略」や「子育て戦略」など、ミッション・ビジョンを実現するための道、方向性が見えてくるはずです。
今年の年末年始、あるいは年度替わりの時期など、何らかの節目に考えてみませんか?
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不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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