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2021年06月20日

エンタメとトレンド

流行ってますねえ、『ウマ娘 プリティダービー』
本年2月のゲームリリースから、月間売上高(ユーザー課金額)は平均130億円のトップ独走!
全世界で見ても第3位と、日本でしかリリースしていないゲームでこの数字は破格です。
アニメ第二期の円盤(1/4)も初動で11万セットと、こちらも過去の映像コンテンツとして桁外れの数字をたたき出しています。
実は元々20数年来の競馬ファンで、マヤノトップガンの大ファンだった私としても、今回のゲームリリース以前から注目していたコンテンツです。
2年前のアニメ第一期からムスメともども大ファンになり、ゲームもムスメと一緒に楽しんでいます。(ちなみに以下のウマ娘の画像は私のゲーム画面です)
さて、本日は私のウマ娘愛を語るのが主目的ではありません。
ウマ娘をはじめとしたゲームやアニメ、そして玩具や音楽に映画や舞台など、いわゆる「エンターテインメント」にビジネスパーソンは「もっとアンテナを張ろう!」ということが言いたいのです。
umamusume1.jpg






ウマ娘のヒットの要因は既に語り尽くされていますが、まとめると
◆競馬の史実と名馬たちへの深い愛とリスペクト
◆ゲームやアニメのクオリティの高さ(ストーリー・映像・システム)
と言えるでしょう。
しかし私はそれに加え、もうひとつのポイントがあると考えています。
それは「インターネット上でのウマ娘コミュニティの急拡大」です。
SNSでもウマ娘専用アカウントで情報交換したり、自作イラストを発信する人が増えています。もちろんこうした動きは以前の「ポケモンGO」など、他のゲームやアニメでもありましたが、ウマ娘は史実を下敷きにしていることもあり、そのコミュニティの範囲と拡大スピードが半端ないのです。
たとえば本物のマヤノトップガンの誕生日に、Twitterで大勢のアカウントが祝うといった現象まで起きています。
さらにYoutubeではゲーム上の育成についての情報交換が行われ、現役のアナウンサーがゲームのレースシーンに実況を付けるなど、様々な形で様々な人々がそのコミュニティに参加し、楽しんでいます。
ここで別のゲームの話しもしましょう。
「Among Us」というゲームをご存じでしょうか。
ヒトコトで言うと「ネット人狼ゲーム」です。宇宙船を舞台に、クルーに紛れ込んだインポスターと呼ばれる敵を会議での会話からあぶり出し、追放する。インポスターは宇宙船の照明を消したり、様々な妨害活動をしながらクルーを始末していく。最終的にインポスターを全て追放できればクルーの勝ち、インポスターとクルーを同数に出来ればインポスターの勝ちとなります。
2018年に第一弾がリリースされた米国発のこのゲーム、昨年から爆発的にユーザー数を伸ばし、今年ようやく日本語版が出たことで、さらなるヒットが期待されています。
コロナ禍による「コミュニケーション飢餓」という顧客ニーズにマッチし、またゲームの巧拙や熟練度が結果に影響しない(むしろ初心者がいると熟練者を混乱させてゲームを面白くする)という特性がヒットの要因だと言われています。
そして「Among Us」も「ウマ娘」同様、「インターネット上のコミュニティ」がユーザー拡大の追い風となっています。
「Among Us」におけるそれは、「ゲーム実況者」です。世界的なゲーム実況のYoutuberや、日本では人気声優でありながらゲーム実況者としても知られる花江夏樹さんが積極的に動画を投稿、時にはライブ中継をしたことで火がつきました。


さて、ここで考えてみてください。
今私はゲームの話をしましたが、他のジャンルの商品・サービスで「ネット上のコミュニティ」がヒットを左右する例はありませんか?
はい、既に「インフルエンサー」をマーケティングに活用している化粧品業界も、やはり「ネット上のコミュニティ」の重要性がわかっています。
では「次」は?


こういうことをもっと考えてほしいのです。
ソフトウェアが中心であるゲームは当然ですが、玩具というゲームも包含するジャンルのひとつの特徴が「新陳代謝の激しさ」です。
ユーザーは常に「新しい楽しみ」を探しており移り気です。ソフトウェアはアップデートやバージョンアップも簡単ですから、極端な話「完成版」は存在しません。
だから常に新しい商品・サービスや各々の新機能が出てきます。
つまりそれだけ『世の中の動きに敏感』なのです。
だから玩具のトレンドから「これからの他業界のトレンド」を読むことが出来ます。
さらに玩具を包含する「エンターテインメント」業界の特徴の一つが「新技術の先行実装」です。
そもそもインターネットの一般家庭・個人への普及自体、「エッチなコンテンツが見たい」というニーズが背景の一つであったことは否定しようのない事実です。
他にも元々は安定性の高いラジコン遊びだった「ドローン」や、「ポケモンGO」のAR技術、そしてプレステ5の「ハプティクス」技術など、世の中を大きく変える技術の多くが「まずはエンターテインメント」のジャンルに実装され、検証されています。
だからエンターテインメント業界の新たな技術への取り組みをウォッチしておけば、それは他業界への実装の可能性を予想・検討できるのです。


いかがでしょう。
「これからの他業界のトレンド」を読むためにも、そして新技術の他業界への実装の可能性を予想・検討するためにも、ゲーム・玩具を含むエンターテインメント産業の「今」にアンテナを張るようにしましょう。

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