KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

学びの体験記

2008年12月09日

「活かしています。慶應MCCで学んだこと。」

柴田勝弘
株式会社フォルツァ・グラフィコ 取締役副社長

【てらこや】に登場させていただけることになりとても光栄です!【てらこや】は、自分の感想なのですが、メールマガジンでよくありがちなPR記事ばっかりではなく、慶應MCCのプログラムは丁寧に紹介しながらも興味深いレポートなどがとてもよく編集されていて、いつも自分の周りに薦めているのです。そんなメールマガジンに、自分の文章なんか載せて大丈夫なのかなと思いましたが、創刊号からの愛読者が頑張って書いたということでどうぞお許しください。いぐさ編集長、お声掛けいただき本当にうれしいです。
私は、現在とある広告会社の経営に携わっています。新聞雑誌やウェブサイトの制作が主な事業で、それに加えて規模は大きくありませんが書籍出版、展示ギャラリー・レストランの運営などにも取り組んでいます。社会人生活はもうすぐ20年になり、ずっと広告またはエンターテイメント業界で過ごしてきました。


特に、クリエイティビティ(創造性)が求められる広告作品の制作に関わる仕事が大好きなので、キャリアとして続いているのだと思います。今も日常のマネージメント業務に追われながらも、広告制作実務に取り組む現場スタッフの働きぶりに目を掛けて、満足される良い広告作品つくりがなされるよう自分なりに努力しています。この文章では、過去の自分の学びが、よい作品をつくろうと努力する広告制作の現場スタッフに対しいつもアドバイスしている内容として活かされているということを紹介したいと思います。
まずは、広告制作の現場スタッフについて少し触れさせていただきます。
一般的に、広告制作の実務作業は広告会社内部のクリエイティブ部門のスタッフが担います。作品のベースとなるメッセージ内容の整理など構成企画段階までは営業や調査などの各部門と協業しますが、納品物となるまでの仕上げ業務はクリエイティブ部門のスタッフの頑張り所です。決められたメッセージ内容をいかに面白くとか、感動的にとか、広告を見る人たちに対しできる限り良い印象を残したいという信念をもって細部のつくり込み作業に取り組みます。
自分たちのクリエイティビティの発揮具合が作品の評価に直結するという自負もあり、このつくり込み作業には往々にして根を詰め過ぎてしまうことがあるのが実態です。作品そのものの印象ばかりに意識が向いて労力をつぎ込み過ぎると、必要以上に発生してしまうであろうコストや時間を管理するという意識が希薄になってしまいます。そして、作品を通じて伝えられるメッセージが顧客のニーズとしっかりマッチしているか(つくる広告が顧客のマーケティング活動を担っているか)という観点すら曖昧になってしまうのです。
この職種は、一般的にクリエイター(=作家)とも称され、バックグラウンドやスキルを伴い従業員でありながらアーティスト(=芸術家)のマインドを持ち合わせています。良い作品を創り出せるようアーティストとして敬意と配慮を示しながらも、従業員として広告会社の提供サービスの本質であるマーケティングと費用対効果をしっかり把握しなくていけないと私は考えます。自分のスタッフに対しては、「クリエイターである前にビジネスパーソンであれ」というフレーズのもと、マーケティングの基本的理解を高め、他部門との協業を含めて部門内外における効果的・効率的なクリエイティブ企画開発がなされるよう基盤能力を向上させるアドバイスを送り続けています。
アドバイスをする上では、自分がかつて慶應MCCの参加プログラムで学んだ内容を多く活用させていただいています。マーケティングでは、過去に何人もの方がこのコラムで紹介され、開催15回を数えるロングセラープログラムの一つである「マーケティング情報から顧客を読み解く」で学んだ内容も多いです。専門職であるクリエイターであっても、広告会社のマーケティングサービスの担い手として、顧客が何を思いどのように行動するのかを「読み解き」、理論に根ざした視点をもつことが必然であるということをクリエイターたちに繰り返し伝えています。
効果的・効率的な仕事の進め方に関しては、現在「会議ファシリテーション」や「目に見えるロジカル・シンキング」などのプログラムとして提供されている慶應MCC専任ファカルティ桑畑幸博氏の過去のプログラムから学んだスキル・ノウハウを活用させていただいています。企画会議等では、広く自由にアイディアを飛ばし合い議論を発散させるだけのケースが多いので、それにだけに留まることなく、その先の仕上げ作業に向けてとその議論を深くそして論理的な整理・収束させることをクリエイターたちに特に留意させています。
この他にもいくつかプログラム参加経験はありますが、慶應MCCのコンセプトでもある「実践に活用できるきちんとした理論」をその度に学ぶことができました。それにより、現場スタッフに向けての一連のアドバイスに説得力が増し、自分の体面を保つことができました。
私自身、社会人経験の年数としては中堅なのですが、マネージメントの仕事に関してはよちよち歩きをはじめたばかりなので、これからさらに学びを深めていかなければと考えています。慶應MCCのプログラムでも経営戦略系、人事・キャリア系に分類されている各プログラムのラインナップも充実しているので、自分のリーダーシップが発揮できるようにスキルを習得できるような分野に新たにチャレンジしてみようかなと思う今日この頃です。皆さんとも今後丸の内のキャンパスでお目にかかることがあると存じます。その節はどうぞよろしくお願いします。講師の先生や慶應MCCのスタッフの皆さんにおかれては、また出来の良くない参加者の面倒をよろしくお願いします。

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