夕学レポート
2007年12月12日
マグネット国家論 黒岩祐治さん
12月12日 一年の世相を漢字一文字で表す『2007年今年の漢字』は“偽”と発表されました。
「私だったら、“崩”という字を選んだと思います」
ジャーナリストらしい旬なトピックをまくらにして、黒岩さんは今年一年を振り返りました。
『黒岩祐治が斬る政局2007 ~その時○○が“崩れた”~』
もし「報道2001」で特集を組んだとすれば、そんなタイトルでしょうか。
相次いだ「政治とカネ」の問題、杜撰な年金制度の露呈、官僚倫理の欠如、食品偽装etc
今年政局となった多くの事件は、さまざまな人、職位、システムへの信頼の「崩壊」と整理できると黒岩さんは解説してくれました。
歯切れの良い話し方と身振り手振りもあって、思わず聞き惚れるひと時でありました。
聴衆がこなれたタイミングを見計らって、きょうの本題「どうする日本」に関わるお話を展開していただきました。
黒岩さんは、日本が「逆走」をはじめているのではないかという警戒感を抱いているようです。
その象徴が、地方や中央政界での、道路建設と新幹線建設の大合唱の復活です。
魂無きハコモノ偏重主義が、また始まっています。
黒岩さんは「マグネット国家論」という持論を持っています。
強い磁石のように、磁力がある国、人を引き付ける力を持つ国になるべきだという意味です。
磁力、引き付ける力を持つことが全てのはじまり、ハードの前に、まずマグネットを持つことが重要だと黒岩さんは考えています。
黒岩さんによれば、マグネットの本質は「らしさ」を見つけ、それに強くこだわることだそうです。
ここで言う「らしさ」というのは、その国(地域)が固有に持つ中核的な特徴ですが、内側にいる人には当たり前すぎて見えなくなっているものです。
具体的な事例として、温泉ランキングで日本一にも選ばれている熊本県の黒川温泉の成功例を紹介されました。
黒川温泉の「らしさ」は、鄙びた辺境の風景でした。住人にとっては何の感動も呼ばない日常の景観そのものに「らしさ」が隠されていました。
黒川温泉には、「らしさ」を磨き上げマグネットに変換してくために必要な構成要素がきれいに揃っていたそうです。
・危機感=このままではいけないという危機感が、行動力を持った若者を中心に広がっていたこと
・外部の視点=「お客様から見たらどうなるのか」という外部の視点を重視したこと
・コアになる人材 “風呂バカ”と呼ばれるほど風呂にこだわりをもった旅館主がいたこと
余所から養子でやってきた、ある旅館の若主人が、地元では変人扱いされていた“風呂バカ”旅館主に謙虚に教えを請い、鄙びた風情にマッチした露天風呂づくりに成功する。
強い危機感をもった若い世代がそれを見て次々と門下生になる。
温泉街のほぼ全ての旅館によく練り上げられた露天風呂が作られ、やがて「温泉手形」という温泉街周遊システムに発展する。
感動した利用者を中心に口コミが広がり、露天風呂に入るために遠くから人が押し寄せてくるようになる。
これがマグネット効果です。
黒川温泉に見られるマグネット発想は、国や地域だけでなく、企業・組織・人材全てにあてはまる普遍的な原理です。
コアな部分に磁力があれば、人・モノ・カネ・情報の全てが磁石に吸い寄せられるように集まってきます。
成功した企業、起業家はみなマグネット効果を発揮しているといえるでしょう。
「何かを作ることではなく、余分なものを削ぎ落とすこと」
黒岩さんは、マグネット発想の本質をそう語ります。
日常に埋没した、なにげない風景の中に「らしさ」はあります。
雑草を刈り、錆を取って磨き上げることで「らしさ」は研ぎ澄まされていきます。
「人間もまったく同じだな」と思います
「日本の近代化150年の盲点があるとすれば、多くの「らしさ」を見失ってしまったことではないか」
黒岩さんの問題意識は、我々ひとり一人の生き方にも向けられていると感じました。
日本「らしさ」に関連して、後半で紹介された「中西医療」(東洋医学と西洋医学の知恵と技術の融合)の研究所はこちらです。
未病医学研究センター
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~稲盛経営哲学を出発点として~
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慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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