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夕学レポート

2014年12月15日

怒らずに気持ちを伝える技術

photo_instructor_733.jpg 講師略歴を読み、ミステリアスな人だと思った。
出身地と感情教育家であること、アンガーマネジメントを始めたきっかけしか書かれていないのである。そこで、どんな人物かと安藤俊介氏の講演を聴いてみようと思った。
 簡単な自己紹介の後に「僕の講演はワークショップ形式でやりますから、今のうちに隣の人と仲良くして下さいね」と言われた。
『怒りをコントロールする技術』という講演を聴きに来るぐらいだから、皆キレやすいんだろうなー、話すの嫌だなーと思いながら隣を見ると、温和そうな中年男性だったので安心した。


アンガーマネジメントとは?
 怒りを感じた時、人それぞれの対処法があると思う。先月、夕学講演で登壇された安冨歩氏は「女装をする前はいつも怒っていた」と話された。女装を始めたら怒ることが少なくなったそうで、これも一種のアンガーマネジメントだと思う。
私はというと、怒りが収まるまで待つ。これに限ると思っていた。
 しかし、安藤氏によるとアンガーマネジメントとは「怒りの感情を自分で管理すること=怒らない」ということではなく、「怒ったことを後悔しないこと」であるという。
つまり「怒る必要がある時には怒り、必要が無い時には怒らない」ことが出来るようになるのを目標にするのだという。
私たちを怒らせるもの
 「最近怒りを感じたこと」をテーマに隣の人とのワークショップが始まった。
私が最近イラッとしたことは、電車の中で寝ているおっさんが肩に寄りかかってきたことだった。正直に言うと、若くて可愛い男の子(25歳ぐらいまで限定)に寄りかかられても、ムカつくどころか自分が浄化されていく感じがするのに対し、おじさんが寄りかかってくると、肩で隣の車両まで飛ばしたいほどの怒りを感じてしまうのだ。
しかし、隣の人がおじさんだったので、そのことは言わずに、無難に「今日、雨が降っていてムカつきました~」と言っておいた。隣のおじさんは、電車の中でカバンがぶつかってくるのに腹を立てたそうだ。「それって、若くて可愛い女の子だったらムカつかないでしょ」と思ったが、変な人に思われそうなので聞かなかった。
 そこで、安藤氏は私たちを怒らせるものの正体は「べき」という言葉だと説明した。つまり、人間は自分が信じているものが、裏切られると頭にくるのだという。電車内ではカバンを他人に邪魔にならないように持つ”べき”、おじさんは私の肩に寄りかからない”べき”という自分の価値観が、怒りを引き起こすというのだ。
“べき”の境界線を決める
 ある人にとってはすごく大事なことが、他の人にとっては全く大事でないことがある。安藤氏はそれを①自分と同じ②少し違うが許容可能③自分と違う・許容できない の三つの境界線があると説明した。
 アンガーマネジメントには他人への許容範囲を広げること=他の人の”べき”を受け入れることが大切だと言った。この①②③の境界線は、あらかじめ決めておくと良いとのこと。ここまではOKだけど、それ以上は怒るという境界線を決めるのだ。
そして、自分の怒りの境界線を見せることで、相手も自分のことを理解しやすくなり、円滑な人間関係が築ける。私のように、若くて可愛い男の子なら許すけど、おじさんはダメというのは安藤氏によるとNGで、誰に対しても同じ許容範囲で接する努力をしなくていけないそうだ。反省します。
怒っている人への対処法
 この講演を聴きにくる目的は、怒りを抑えたい人だけではなく、怒っている人に困っている人もいただろう。私も以前勤めていた会社に、いつも怒っている上司がいて、電話で怒られる場合は受話器を50㎝ぐらい離して聞いたり、直接怒られる場合は「はいはい」と適当に流したりして対処していた。あとは「部長がなぜあんなに怒りっぽいのか」を皆で勝手に妄想したが、必ず「家庭で上手くいってないのだろう」という結論に達していたので、飽きてやめた。
 安藤氏によると、怒りとは「第二次感情」だということを知っておくと、怒っている人と上手に付き合えるそうだ。コップを想像してみて欲しい。そこに注がれていく怒りや不安が「第一次感情」で、溢れていくと「第二次感情」で爆発する。号泣会見をした野々村元議員の泣き叫んでいる場面は「第二次感情」でコップから水が溢れだした状態だ。
彼の喋っていることをよく聞くと「自分がどれだけ苦労して政治家になったか」と「責められるのがツライ」「皆に囲まれると怖い」としか言っていない。この彼が泣きながら喋っていたことが「第一次感情」であると安藤氏は言った。
 怒っているのは、相手に理解してほしいからである。怒りの原因を聞いてあげるのが何よりも大事なのだ。だから、受話器を離し、「はいはい」なんて言っていたのは、かなり怒りを増幅させていたと気づいた。これも反省。
怒りのない社会へ
 人は怒りをぶつけられると、はけ口として他人に怒りをぶつけ、連鎖が止まらない。そのためにも、アンガーマネジメントで他人を傷つけず、自分を傷つけず、モノを壊さずに上手に怒りを表現することの必要性を安藤氏は説いた。そして、上手に怒りを伝えられれば相手に嫌われることや、関係が悪くなることはないという。「怒りの連鎖を断ち切り、怒りのない社会を作りたい」という言葉で安藤氏は講演を締めくくった。

ほり屋飯盛
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