夕学レポート
2005年12月07日
内発的国際化 キャメル・ヤマモトさん 「日本人企業進化論」
「私は、バブルの最後にやって来る男です」キャメル・ヤマモトさんは冗談めかして、そう自己紹介されるそうです。外務省を辞めて外資系コンサルティングファームに転じた1年後にバブル崩壊に遭遇しました。2000年のITバブルの終焉がはじまったのはシリコンバレーで暮らしはじめて2週間後のことだったそうです。中国に活動の拠点を移しつつある現在、中国の活況ははかない終わりを迎えるのか、あるいはキャメルさんのジンクスが破られるのか。どうやら後者の可能性が高いようではあります。
キャメル・ヤマモトさんは4年程前に『稼ぐ人・安い人・余る人』という本を書いて、一躍脚光を浴びたコンサルタントです。このタイトルには、日本企業の人材マネジメント上の課題が凝縮されていて、思わず手に取ってみたくなる誘引力がありました。
きょうの講演でも、外交官として、コンサルタントとして、いろいろな国のいろいろな企業をみてきた実感として「どの国のどの会社にも一定の比率で「稼ぐ人・安い人・余る人」が存在するという普遍的な事実が指摘されました。そして「稼ぐ人」の稼ぎ方が「国際的に稼ぐ人」に変わってきたという問題意識が、きょうのテーマにつながりました。
たとえ日本企業であろうとも「稼ぐ人」が日本人である必要はなく、ハイエンド層の人材流入は勢いを増すであろう。また「安い人」が無国籍化する現象は益々顕著になるだろう。そいう時代認識のうえで、企業の国際化と人材の国際化を考えなければならないというのが講演の趣旨でした。
キャメルさんによれば、これまでの日本企業の国際化は、若い時代を海外で過ごし「日本を客観視する眼力を養った経営者によってリードされたといいます。トヨタの奥田さんやキャノンの御手洗さんをその代表例として説明されました。いわば一握りの「国際化した個人」に依存していたと言えるかもしれません。日本企業の国際化のネクストステージは、組織能力としての国際化であるべきで、キャメルさんはそれを「内発的国際化」と呼んでいます。
「内発的国際化」とは、日本企業が固有に持つ「強味・価値」を「伝道」「適応」「連結」させる進化プロセスのことで、表層的なグローバルスタンダード論の対極にある概念です。
「郷に入りては、郷に従え」が行き過ぎて、和食の料理人が無理やりフレンチを作ろうとしても駄目だ...キャメルさんは、そんな例えを使いながら「内発的国際化」の必要性を説きました。確かにトヨタウェイや本田のワイガヤ文化は、工場から生まれた泥臭い日本的集団主義を世界のトヨタマン、ホンダマンに植え付けることに成功しています。
キャメルさんは「内発的国際化」には2段階あり、まず外からはみえない本質的な「強み・価値」を表出することが重要だと言います。そのためには、アートディレクターのような感性が求められるとのこと。次のステップは、「強み・価値」の学習段階で、足場を固めるがっちりとしたマネジメントやOJT、コミュニケーションにより、丹念に組織に刷り込んでいくことが必要だそうです。
自社の「強み・価値」という組織的遺伝子を組織構造や業務プロセスに目に見える形で転写し、価値ある製品と同様に、価値ある人材を作り出すこと。東大ものづくり経営研究センターの藤本隆宏先生流に言えば、「情報転写マシン」としての企業のメカニズムをしっかりと回すことが、組織能力としての国際人材育成力だとのこと。
国際人を育てるということも、仕事を通じて人を育てるという原則をしっかりと押さえるいうことなのだと改めて気づかされました。
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不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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