夕学レポート
2009年08月20日
自分の心で「論語」を読む
2009年前期「夕学五十講」が終了したことと、夏休みその他もろもろがありまして、しばらくブログをお休みしましたが、きょうから復活したいと思います。
きょうからしばらくは、この春から始めた新企画 夕学プレミアム「agora」について書きます。
5講座でスタートしましたが、お陰様で大好評のうちに終了いたしましたので、10月から秋シリーズを5講座開講することになりました。
きょうは、「田口佳史さんに問う【論語に学ぶ人間力】」についてです。
春のagoraでも論語講座を開講しまして、こちらはすぐに満席になりました。聞くところによると「論語ブーム」なるものも起きているそうで、そのお陰もあったのかもしれませんね。
個人的には、論語は、ブームと呼ばれる現象の対極にあるものではないかと思っています。
画期的なコンセプトや目新しい視点を提供してくれるのではなく、人間が長いこと向かってきた普遍的で抽象的なテーマを扱うものだからです。
でも、普遍的だからこそ、人々が強い関心を寄せたという見方もできるのかもしれません。
「明日から使える」「誰もがわかる」的な訴求をする書籍やセミナーは、相変わらず多いようですが、良識ある人々は、とっくに、その「まやかし」に気づいていることは間違いありません。
「論語」に関心を持つ人が増えているとすれば、「論語」の持つ世界観に“何か”を感じているのではないでしょうか。
以前も書きましたが、私は、「論語」とは何か?と問われれば、
「個の自律を謳いあげる書」ではないかと考えています。
「論語」と聞くと、戦前にあったという「修身」の授業や教育勅語、軍国主義を想起する人も多いかと思います。実際に、「論語ブーム」を支える人達には、右派的な思想に共鳴する人々が多いかもしれません。
「かつての「論語」の教えを、現代の文脈に置くこと」が重要だと考える人はそう思うでしょう。
私が「論語」に惹かれたのは、その正反対で、
「現代の文脈の中で、新しく「論語」を読み直すこと」が必要だと考えています。
今回、講師をお願いした田口さんはにその事をお話した際に、次の言葉を教えていただきました。
「心照故教」 ※ちなみにこれは論語ではなく、禅の教えだそうですが...
自らの見方・考え方を持って、古(いにしえ)の教え(=論語)を読み替えてみるという意味だそうです。
「論語」を、日本人が失った古き良き教えとして復活させるのではなく、いまの日本人が直面する課題として意訳してみることです。
混沌とした先の見えない時代にあって、行き先を示してくれる海図や羅針盤を欲する気持ちは、痛いほどよくわかりますが、突き詰めれば、自分の行く道は自分で決めるしかありません。
大航海時代に、ヨーロッパの冒険家達が、聖書を携えて、未知なる大海に漕ぎ出したように、先行きの見えない人生という航海に携えていく「個の自律を謳いあげる言葉」を論語の中に見つけ出せるのではないでしょうか。
ちょっとオーバーでしたか!?
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