KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2019年07月11日

お金の流れと子どもたちの未来 村上 絢さん

村上 絢「ねえお兄ちゃん、さっきテレビで言ってたんだけど『しきんじゅんかん』てなに?」
「資金循環?お金が流れることだよ」
「お金って流れてるの?まさか、私が夜寝てる間に起き出して動き出すとか!?」
「そういうことじゃないんだよな。いいか。身近な話だと、うちのおばあちゃんはタンスの金庫にお金をしまっているだろ。そうすると、お金はしまったまま使われないで、流れていかないんだ」
「それ、テレビでやってた!!世間では詐欺師みたいに言われてるけど、自分たちが息子のふりしてお年寄りたちの預金をもらって、そのお金でキャバクラに行って、キャバ嬢が儲かれば洋服や靴を買うから、自分たちは滞った経済に流れを作っているんだって、くもりガラス越しでおじさんが喋ってた!!」
「・・・。それオレオレ詐欺だから。流れてるけどそもそも犯罪だし持続性もないから。それよりも日本企業が儲けたお金を使わないで溜め込んでいることが日本経済にマイナスの影響を与えているから、お金をまわす=資金が循環していくようにしていかないといけないんだ」


「それも知ってる!!偉い人が『現金を無駄に寝かしておくことは怠慢だ。企業が成長を目指すには設備投資や従業員への還元、資金運用など使いなさい』って会社に怒ってる記事をこないだ読んだよ」
ずいぶん難しいのを読んでるな・・・
「『怠慢だ』て言いかたが面白かったんだよね。だってさ、会社は自分たちの利益をだすために頑張ってるだけで、日本経済を良くするためにやってるわけではないのに怠慢なんて言われたら、私だったら意地でも貯め込んでやる。絶対に使わない!」
「おまえ顔がこわいよ・・・実は昨日、村上絢さんの『資金循環で社会の問題を解決する』て講演を聴きに丸の内まで行ってきたんだよ」
「は、子どものくせに生意気」
「・・・。生意気なんてことないし。これからは子どもだって金融リテラシーを身につけなくちゃ(ドヤ)」
「で、何を勉強してきたの?」
「おまえにはまだ早いけど、企業の資金内部留保や株主構成、コーポレート・ガバナンス欠如の問題点と世の中のお金の滞り、村上財団の活動について教えてもらった(ドヤ)」
「ちゃんと理解できたの?人は他者に説明できることではじめて理解したと言えるんだっておばあちゃんがよく言ってた」
「・・・。まあ、さっきも言ったように日本の企業はお金を持っているのに貯め込んでいて、グローバルに戦えるような競争力を持った企業や、ROEが高い企業が少なくて・・・」
「ROEってなに?」
「ええっと、Return of Equity(自己資本利益率)といって、当期純利益と自己資本(株主資本)の比率で、株主から集めたお金をいかに効率的に使って利益を生み出しているかをあらわす指標だよ」
「へー、昨日はじめて覚えた言葉でしょ」
「このROEが米国企業では17.1%であるのに比べて、日本は10.9%と低いんだ。これどういう意味かわかる?」
「日本企業の約半分のお金でリターンをだしてるってことでしょ」
うっっっ何ですぐわかるんだ。
「そう、米国企業は株主から集めたお金を上手に投資して、より高い利益を生み出しているんだ(って村上さんが昨日言ってたよな)。他にも日本企業はずっと安定性を重視する経営方針をとってきたから、投資で得た余剰金を配当や自社株買いなどで株主還元せずに、貯め込んでいたんだ。だって、米国の総株主還元率(推定)は90-100%なのに対して、日本は40-50%と低いんだ」
「じゃあ、あの偉い人が『日本企業は怠慢だ』て言ってたことも間違ってないんだね」
「ま、まあそうだよ」
「でもさあ、私がある会社の株を持ってたとして、お金が余っているのに配当金が低かったり、自社株買いしてくれなかったら怒るよ。株主優待とか子供だましみたいなものより、配当金がほしいし。株主の人たちは何も文句言わないの?」
「子供だましって・・・。そこはどういう人達が日本企業の株主かに問題があるんだよ。例えば、日本企業は昔から企業同士が相互に相手の株を持っている『株式持合』がとっても多かったんだ」
「それの何が問題なの?」
「多くの株を持っている企業がお友達同士や身内みたいだから、株主総会で経営側に都合の良いように議決権を行使することができていたんだ」
「じゃあ、個人投資家の意見が通りにくかったんだね」
村上さんはROE8%出せない会社の提案は全部否決しろって昨日言ってたな。でも、そのことを言うとさらに質問攻めに合うからここは兄の威厳を見せつけてたたみかけるように
「さらに、日本企業では経営陣の所有している株数が少ない」
「持ち株数が少ないと問題なの?」
「その企業の株をたくさん持っていたら、資産価値を高めるために、経営を頑張って株価を上げようと努力するだろ」
「いわゆる株主と経営者間のエージェンシー問題ってやつですな」
うっっ、妹のほうがぼくより詳しい・・・。
昨日の村上さんの話を思い出すんだ!がんばれ俺!
「でも、最近はコーポレート・ガバナンスの導入で日本企業も変化してきているんだよ。株式持合も減少しているし!」
「コーポレート・ガバナンスって聞いたことある!村上世彰さんが書いた『いま君に伝えたいお金の話』に、日本にコーポレート・ガバナンスを広めることが僕のミッションって書いてあった!」
「く、くわしいね。いつの間に読んだの?その村上世彰さんが村上絢さんのお父さんなんだよ」
「そうなんだ!!なんか昔よりかっこよくなったよね」
「昔を知ってるって、おまえ今いくつだよ。その絢さんが代表理事を務める村上財団で創設者の世彰さんが子ども達に投資教育をしているんだよ」
「へー、どんなことしてるの?」
「子どもたちに10万円を寄付して、実際に株式投資をしてもらってるんだって。ほら、日本ではお金について学ぶ機会が少ないだろ。だから、子どもの頃からお金に親しんで、学んでもらおうと活動しているんだ」
「まあ、私はお金については詳しいほうだから、お兄ちゃんが応募してみたら?ほら、これから日本にあるお金を率先してまわしていきなさいよ。これからの日本経済を担うのは、未来ある子どもたちなんだから」
「う、うん。子どもなのはお互い様だけどな。さっそく応募してみるよ。ありがとう、妹よ」
ほり屋飯盛

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