夕学レポート
2021年04月02日
第18回 7/9(金)大木毅さん
7/9(金)は現代史家 大木毅さんのご登壇です。
2019年夏に出版された『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』は12万部のベストセラーとなり、有識者や書店員、新聞記者らが選ぶ「新書大賞2020」も受賞されるなど、大木さんの著書が大きな注目を浴びています。
「これは絶滅戦争なのだ」とヒトラーが断言し、史上空前の惨憺たる戦争とも言われる独ソ戦。第二次世界大戦の帰趨を決したともされますが、その実情を私たちはあまり知りません。
大木さんは、日本では、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の展開について、30年、場合によっては半世紀近く前の認識がまかり通りってきたと仰います。
そこには、日本のアカデミズムが軍事や戦史を扱わず学問的なアプローチによる研究が進まなかったこと、この間の翻訳出版をめぐる状況の悪化から、外国のしかるべき文献の刊行が困難になったことなどが背景ともなっているようですが、そのなかにあって、大木さんの著書は史実理解への大きな一石を投じている故の評価なのかもしれません。
ドイツ留学時代より、関連書籍を自費で買い求め、原典にてドイツ語、英語で読み歪曲ではなく事実を理解し、わかりやすい解説を努めてきた大木さんの姿には、軍事史家としての矜持を感じます。
今や「趣味の歴史修正主義」者、事実を歪曲する「戦史研究家」も多いとされるなか、大木さんの独ソ戦概史の解説より、史実に向き合う姿勢とはなにか、本質の理解とはなにか、を考えてみたいと思います。(保谷)
・大木毅(おおき たけし)
・現代史家
・演題:「知られざる惨禍 独ソ戦とロシアの歴史認識」
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教養としての仏教:苦しみをどう超えるのか
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