夕学レポート
2012年02月22日
2012年の新書大賞は『ふしぎなキリスト教』
2012年の新書大賞は『ふしぎなキリスト教』橋爪大三郎・大澤真幸著(講談社現代新書)に決定したそうである。
1年間に刊行されたすべての新書から、その年「最高の一冊」を選ぶ賞です。第1回は福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)、第2回は堤未果著『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書)、第3回は内田樹著『日本辺境論』(新潮新書)、第4回は村山斉著『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)を大賞に選出し、読書界に大きな反響を呼びました。
第5回にあたる「新書大賞2012」では、2011年に刊行された1500点以上の新書を対象に、全国有力書店の新書に造詣の深い書店員、各社新書の編集長ら67人が投票した...
とのことである。
『生物と無生物のあいだ』も、『日本辺境論』も、『宇宙は何でできているのか』も、むちゃくちゃ面白く読んだ。個人的には、自分の感覚とのフィット感が一番高い出版文化賞だという感想を持っている。
『ふしぎなキリスト教』も面白かった。
2010年の秋に、agora講座で、『阿刀田高さんと読み解く【旧約・新約聖書とキリスト教】』というのを開催したが、そのOBでアミカルという勉強会を開催している。(仏語のamicaleには[友好的な、友の会]といった意味があるそうな)
私もメンバーの一員に加わらせてもらって、聖書とキリスト教にかかわる書籍の読書会や映画鑑賞を楽しんでいるが、昨年の10月は私の発表の番だったので、『ふしぎなキリスト教』を取り上げた。
「キリスト教を通して、「西洋」、「近代社会」を考える」
それが、この本のコンセプトである。
著者の橋爪大三郎氏と大澤真幸氏は、故小室直樹門下生で、同門の先輩後輩にあたるそうだが、意気もピッタリで、このコンセプトに沿って、実に面白い問答を繰り広げている。
「私(大澤)が挑発的な質問者となって、ときに冒涜ともとられかねない問いをあえて発し、橋爪大三郎さんに、それに答えながら、キリスト教というものが何であるか、キリスト教が社会の総体にどのようにかかわってきたかを説明していただいた」
と「まえがき」にあるが、読書会の発表にあたって、シコシコと数えてみたら、大小合わせて46問の問い掛けがあった。
- なぜ神はたくさんいて(多神教)はいけないのか?
- いったいイエスは人なのか神なのか?
- なぜキリスト教社会が近代世界の主導権を握れたのか?
- 全智全能の神が作ったはずの世界の中に、なぜ悪(戦争や飢餓)が蔓延るのか?
Etc...
いずれも日本人ならではの、素朴な疑問である。
その素朴の疑問の、ひとつひとつに答えることが、「西洋」と「近代社会」に、キリスト教(ないしはユダヤ教やイスラム教)という思考の補助線を引くこととなり、四方八方に理解のシナプスがつながって、「なるほど!」という納得感を導き出してくれる。
多くの本のプロフェッショナル達も同じ感想を持ったのであろう。
この本を読んで、「宗教を通して世界を知る」というコンセプトのagora講座を出来ないかと思い立ち、早速、橋爪先生にお願いして企画したのが、この講座である。
橋爪大三郎さんのセミナー【宗教で読み解く世界】
http://www.sekigaku-agora.net/course/hashidume_daisaburo.html
よろしければ、是非ご検討ください。
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