夕学レポート
2011年04月01日
第20回 7/12(火) アレックス・カーさん
第20回 7/12(火)に登壇いただくのは、東洋文化研究者のアレックス・カーさんです。
30年以上前から京都府亀岡市に居住し、京町家の再生事業、景観コンサルタント、日本伝統家屋の修築保存活動に取り組んできたカー氏。
日本の伝統文化と暮らしをこよなく愛し、その維持・保存に強い熱意を持っていらっしゃいます。
講演のタイトルは著書名でもある「犬と鬼」
何のことやらと思われる方もいるかもしれませんが、カー氏から寄せていただいた講演要旨には次のようにあります。
昔、中国のある皇帝が画家に、「何が描き易く、何が難しいか」と尋ねたら、画家は「犬難(いぬはかたし)、鬼易(おにはやすし)」と答えた。中国の古典『韓非子』に出てくる語である。つまり犬のように身近な存在は、正しく捉えることが難しいが、想像の産物である鬼は誰にでも描けるという意味である。この言葉は実に奥が深い。日本の景観を考えるとき、どのような結果になるかを考えたい。
想像物は誰にでも書ける。でも毎日見ているはずの身近な存在を正確に描写することは難しい。
日本人の脳天に、キツイ一撃を与えてくれる逸話です。
私達は、まだ見ぬ未来の暮らし、夢の生活を想像することばかりに関心が向かい、自分たちが育った街・家・暮らしの姿を忘れてはいないでしょうか。
急速に失われつつある、日本の伝統的景観に対する日本人の関心の薄さを見て、カー氏はそう思うのかもしれません。
折しも、今回の大震災は、東北地方沿岸部に残っていた伝統的な漁村・港町の景観を完膚無きまでに破壊してしまいました。
これからはじまる復興への取り組みは、防災への備えをより確かにすると同時に、失われた伝統をどこまで再現するかという問題を問われることになります。
7/12 (火) 「犬と鬼~景観の課題~」 アレックス・カー氏
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組織開発コンサルタント、著作家
近代化にともない必要に駆られて仕立てられた配分原理としての「能力主義」の功罪を見つめ直し、競争ではなく共創する社会を構想します。
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