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夕学レポート

2011年05月17日

B to H(human,heart)のマーケティング 魚谷雅彦さん

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ブランド論の知見によれば、ブランドには二つの機能がある。
ひとつは「識別機能」 目印、保証、安心の証である。
「中身はよくわからんけども、このブランドなら大丈夫だろう」と思わせてくれる働きである。商品・サービスそのものの基本価値が蓄積されて構成される伝統的な機能である。
もうひとつは、「想起機能」
そのブランドを見ることで、なんらかの(良い)イメージが想い起こされるというものだ。
商品・サービスに付随した付加的活動の集積によって構成される機能である。
魚谷さんは、前者を「INTRINSIC」、後者を「EXTRINSIC」と呼び、ブランドは両者のバランスの妙だという。
コカ・コーラは、「INTRINSIC」な価値が100年以上変わらないユニークなブランドだが、それでいて6兆円のブランド価値と評価される(2009年 インターブランド社)所以は、「EXTRINSIC」な価値を絶えず確信し続け、鮮度を保ってきた証左であろう。
魚谷雅彦氏という存在も、日本コカ・コーラというブランドの「EXTRINSIC」価値を高める役割を果たしていると考えると分かり易い。
186センチの長身にロンドンストライプの紺のスーツと明るいエンジのネクタイがよく似合う。オープンで包容力があり、誰の話にも耳を傾けてくれ、明るく励ましてくれる。
うつむき加減が続く日本社会に求められているリーダーの理想像である。


ブランド価値を体験するには、「人」が決め手だ、と魚谷さんは言う。
なぜなら、「EXTRINSIC」価値は、主観による知覚なのだから。オレが、わたしが、いまこの瞬間にどう感じるかがすべてである。
それには、人間を通した体験が一番である。人間は人間に興味があるのだ。
日本コカ・コーラのトップが、こういう人であることを社会に知ってもらうことが、コカ・コーラの「EXTRINSIC」価値を高める。
他者には真似の出来ないコーポレイトマーケティング戦略とも言える。
魚谷さんの話を聴いて、「B to Cのブランドは分かった。でもうち(我が社)はB to Bだから違う」という人が必ずいるという。
しかし、魚谷さんに言わせれば、「EXTRINSIC」価値を高めようという目的においては、CもBも関係はない。むしろ「B to H」であるべきだと主張する。
「H」とは、Humanであり、Heartである。
「EXTRINSIC」な価値を提供するということは、相手(人)のこころを動かすことに他ならない。それが、「こころを動かすマーケティング」の本質である。
2000年代以降、経営学では、ブランド論では「感動」、組織論では「感情」がキーワードになった。夕学でも多くの識者が、企業経営・組織のおける「感動」「感情」の重要性を語ってくれた。
しかし、考えてみれば「感動」「感情」を理論で語るという行為は、「EXTRINSIC」なものを「INTRINSIC」に説明しようということだ。それこそ「EXTRINSIC」な納得を得るには不十分であった。
その点、「こころを動かすマーケティング」を語るのに、魚谷さんほどの適任者はいないのではないか。
講演終了後、ロビーで長い列を作った聴衆の方々と1時間もかけて、名刺交換をし、会話を弾ませていた魚谷さんを見て、そう思った。
魚谷さん、是非、MCCで「ブランドマーケティング」の講座をやってください!!
この講演で応募いただいた「感想レポート」こちらです。
・お客さまと共に、新しい価値を創り上げるために(T.K./会社員/31歳/男性)
この講演には42件の「明日への一言」が寄せられました。
http://sekigaku.jimdo.com/みんなの-明日への一言-ギャラリー/5月17日-魚谷-雅彦/

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