KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2017年12月12日

TOKYO of the kids,by the kids,for the kids <Day 2>

山内 久未

何かと慌ただしく感じられる師走。職場や友人同士の忘年会にXmasパーティ。年末年始は親戚・家族の集まりなど、人と会うことが一気に増える季節ですね。

皆さまは、日々の生活でどの世代の方と話す機会が多いですか? 例えば「30代・DINKS・丸の内勤務」な私が接することが多いのは20-60代のいわゆるオトナ。親戚も遠方のため、子どもやお年寄りと接する機会は普段ほとんどありません。そんな私にとって、イギリス人兄妹のHenry君とKatieちゃんと過ごした渋谷・原宿での1日は、まるで甥っ子や姪っ子と過ごしているような、とっても楽しく、新鮮な驚きに満ちた日となりました。

ぜひ皆さまにも、そんな親戚のおじちゃん・おばちゃん目線で今回のガイド日記をお読みいただければ幸いです。

全世界のティーンに爆発的人気の「Supreme」

前回に引き続き、イギリス人のAnnaママ、おしゃれイケメンHenry君12歳、天使のような可愛らしさのKatieちゃん10歳と都内を巡ることになった私。まずはHenry君のリクエストで渋谷にあるお洒落なアパレルショップSupreme(シュプリーム)渋谷店にやってきました。

皆さまそもそも、Supremeというブランドをご存知でしたか? Henry君に教えてもらうまで全く知らなかったのですが、1980年代にNYのセレクトショップからスタートしたブランドで、いまやレディー・ガガ、ジャスティンビーバー、ベッカムや木村拓哉…名だたる有名人はもちろん、全世界のティーンに爆発的に売れているブランドなのだそうです。

「Supremeでも特に人気なのが、続々と出てくるブランドとのコラボ商品なんだよ。コムデギャルソンとか、NIKEとか…毎週土曜日に新作が発売になるから、ロンドンのお店は土曜には毎週行列が出来ているんだよ」

お気に入りのブランドは?と聞かれたらユニクロと即答する私には目からうろこな情報を教えてもらいながら、渋谷駅からパルコを通り過ぎ、NHKへと続く坂道をHenry君たちと一緒に上っていきます。開店時間の11時をめがけて少し早めにホテルを出てきましたが、この時はまだ10時半。30分どこで時間を潰そうかな…と思っていると、目の前になんだかたくさんの人影が見えてきました。

え?なんだろう?NHKの近くだから何かの撮影かな??と思っているとHenry君が

「あああ!!!もうあんなに並んでる!!出遅れちゃった!!」

そう、私がNHKのロケ隊だと思ったのは、開店前のSupremeに並ぶ若者の行列だったのです。よくよく見ると「最後尾」の札を掲げたお兄さんの前にはずらーっと100人くらいのお洒落ティーンエイジャーズ。彼らが整然と並んでひたすら開店を待っていたのです。ひえーーー。おばちゃんの知らない世界…。

これでは11時開店後もしばらく待つことになりそうです。AnnaママとKatieちゃんには近くのパルコや無印良品で時間を潰してもらうことにして、私とHenry君だけが列に並ぶことになりました。とはいえ1時間以上かかるであろう待ち時間。ただぼーっと待つのもなんだかなぁ…と思いながら無意識に開いた私のiPhoneを覗きこんで、Henry君が言いました。

「Kimmy!TSUM TSUM やってるの?僕にもやらせて!」

いまや子どもから大人まで大人気のLINEゲーム、ディズニーツムツム。こども英会話の講師をしていた頃に、子どもたちにやり方を教えてもらい、そのうちに自分もすっかりはまってしまったスマホゲームだったのですが、まさか全世界的に有名とは…。またもびっくりです。
結局、私とおしゃべりをしながらTSUM TSUMをしながらあっという間に1時間が経ち、無事に新作のTシャツをゲットできたHenry君は満面の笑みでショップを後にしたのでした。

Kawaii乙女心が止まらない原宿・竹下通り

さて。次のミッションはKatieちゃん好みの、プチプライスかつKawaii(カワイイ)アイテムを探すことです。となれば行く先はひとつ。渋谷からハチ公バスに乗り、あっという間に目的の竹下通りにたどり着きました。

「このヘアゴム、かわいいいいいいーーーーーー!!!」
「あーーーー!!!このペンケース、超かわいいいーーー!!!」
「このバッグも靴もリボンもかわいいいいいいいーーーーー!!!!」

さすが、Kawaii文化の聖地と呼ばれる竹下通り。Katieちゃんの「Kawaii!!」「Cute!!」がもう止まりません。ひとつのお店に入るたびに絶叫しては、慎重に買うものを選んでいきます。昨日は冷静だったAnnaママは…というと、竹下通りのKawaii文化に乙女心が刺激されたのか

「Kimmy!ちょっとこのスカート!こんなにかわいくてどれも2,000円ですって!ちょっとこどもたちをお願い!私、これとこれとこれを試着してくる!!!」

目にハートマークを浮かべながら、あちこちの売り場を飛び回るKatieちゃん。もはや通訳ガイドではなく完全にベビーシッターとしてついていく私。
そしてさらにその後ろを、文句も言わずひたすら辛抱強くついてくるHenry君。

そ、そうだよね…男の子にとってはさすがに退屈だよね…。ちょうどそのとき、ウキウキとした表情でスカートを買い終えたAnnaママに、私はある提案をしました。

「お留守番のパパに、とっておきのお土産を用意しませんか?」

日本ならではのお土産は…○○○○!

買い物を終えた3人を連れて私がやってきたのは「プリクラコーナー」です。

私の世代にとっては青春時代の象徴のようなプリクラですが、海外では韓国など一部の地域を除いてまだまだ日本のように一般的ではありません。アメリカで一度見かけたことはありますが、どちらかというと「ちょっと遊べる証明写真」レベルで、今のようにスタンプや背景を自在に遊んで、いわゆる「盛れる」ような機能はほとんどありませんでした。せっかくの日本、せっかくの原宿なのだから、記念にプリクラを撮って、パパにプレゼントしては?とお誘いしてみたのでした。

モデル役になったのはHenry君とKatieちゃん。Annnaママと私は見守り役兼デコレーション担当です。

「へー。なにこれ。ここにカメラがあるの?あ!もう撮られた!」
「おもしろーい!今度はジャンプしてみようよ!」
「じゃあ次はアップで変顔しようぜ!」

さすが若い2人。最新機種のプリクラにもすぐになじんで、自由自在にポーズをキメていきます。撮影が終わってらくがきコーナーに移動すると、3人ともぶぶぶっと一斉に大爆笑!

「なにこれーーー!!誰――???」

最近のプリクラは自動で目を大きくする機能が備わっているようで、ただでさえ美しい瞳の2人のおめめはまるでお人形さんのようにパッチリ。アニメの主人公のようです。(お見せできないのが残念!)

「もう!!面白いから髭つけちゃう!」
「じゃあこっちもネコ耳をつけて、りぼんをつけて…お兄ちゃん、かわいくなったわよ!」

あっというまに使い方をマスターしたまた兄妹は、初プリクラのAnnaママとプリクラ10年以上ぶりのKimmyからペンを奪い取り、日本流の「盛り」を存分に楽しんだのでした。

兄妹が教えてくれた大切なこと

こうして楽しかった1日もあっという間に過ぎ、もう少しでお別れの時間となりました。竹下通りを原宿駅に向かって歩いていると、Katieちゃんが「あのレインボー食べたい!Kimmyも一緒に、みんなで食べよう!」と何かを指さします。それは、今原宿で大人気の超巨大わたあめ、TOTTI CANDY FACTORYでした。こちらの、思わず笑ってしまうほど大きいわたあめ、「インスタ映え」するということで日本人にも大人気なのです。

ツアーの最後、原宿・竹下通りの真ん中で、今回出会ったとびきり素敵なイギリス人親子と四方からわたあめをつまみながら、なんだか急に不思議な気持ちになりました。

SupremeもKawaiiショップたちも最新プリクラも、もちろん今食べているこのわたあめも。
どれも私が住んでいる日本にあるものなのに、3人に出会わなければ、決して知ることのなかった、体験することのなかったものばかりでした。普段自分がいかに限られた世界の中で生きているかを実感しつつ、新しい日本を教えてくれた3人との一期一会の出逢いがとても嬉しくかけがえのないものに思えて、甘くて優しいわたあめを食べながら、なんだかつい泣きそうになってしまいました。

もっと普段の生活から飛び出して、いろんな世代や文化の違う人たちと触れ合う機会を大切にしよう。自分の殻を破って、新しい世界を知っていこう。英国からやってきた小さな紳士と淑女から、人生にとって大切なことを教えてもらった思いがけない1日になったのでした。

山内 久未(やまうち・くみ)
慶應丸の内シティキャンパスで2年間ラーニングファシリテーターとして多くのプログラムを担当。退職後、約2年間の勉強生活を経て2015年春より通訳案内士(通称:通訳ガイド)として日々奮闘中。
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