KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2005年12月01日

失敗から学ぶ 堀紘一さん 「Ever Onward」

「君たちはそういう考え方をするのか。明らかに間違っているね」控え室に入って早々に、堀さんからそう指摘されました。
夕学では、講師の方々に当日の受講予定者リストをお見せしています。受講者の企業や職種によって、講演の進め方や事例の出し入れをする方が多いので、それを事前に確認していただくためです。実は春から個人情報保護対策の一環でお名前を伏せて、企業名と部署名だけの一覧に変更しました。そのリストをご覧になっての感想が冒頭のキツ~イ一撃です。
個人情報保護法の立法趣旨はこういう対応をすることを促しているのではない。安易な扱いが思わぬ悪用を招くことを避けるためのものだ。人に教えを請おうという時に自分の名を名乗らぬ人がいるはずがない。確かに名前があったところで、講師は何に役にも立たないが、礼儀として失礼な話だ。リストを持ち帰ってばら巻くような人達を講師に呼んではいないだろう。主催者の保身以外の意味はない。とバッサリと切られました。
講演前に怒らせてはまずいと思い、「そうはおっしゃいますが...」と言いたい気持ちをグッと抑えて丁重に謝りました。しかし、堀さんが指摘したかったのはそういう次元のことではなく、「何が問題なのかを、一歩突っ込んで考える姿勢の欠如」だったのだと、講演を聴きながら気づきました。


堀さんは講演の中で、前提となる社会システムが変わるにもかかわらず、従来型の価値観をいまだに捨てきれない日本人のメンタリティーを厳しく指弾するとともに、全ての人に自己変革を促します。それは、自分自身が世界有数のコンサルティングファームの日本代表のポジションと2億円の収入を投げ打って、新たな機会にチャレンジした経験に基づいた説得力のあるメッセージです。堀さんの知名度と能力があれば、13人程度の会社を興すのは容易いことだろうと思ってしまいますが、けっして平坦な道ではなかったようです。ボスコンとドリームインキュベータとではクライアント環境はまったく違うことは容易に想像できます、堀さんは控え室で、「まるで無菌室と途上国のトイレを比べるくらい違う」と愉快そうにお話されていましたが、その落差が凄まじいストレスとなって掘さんの双肩にのしかかってきた5年間だったのは間違いないでしょう。講演で紹介された「5億円持ち逃げ事件」に代表されるような信じられないような失敗を積み重ねならが、ドリームインキュベータを時価総額600億円にまで育て上げたのでしょう。そしてその失敗をおもしろおかしくネタにしてしまう堀さんのスケールの大きさも重なって、聴く人により一層の納得感を与えてくれます。
「ベンチャーっていうのは魑魅魍魎がゴロゴロいるからね。なんせ、この俺を騙そうって奴がいるくらいだから」豪快に笑いながらそう語る堀さんを見ながら、「5億円に比べるとずいぶんと小さいけれども、きょうは我々も失敗から学ぶ貴重な体験をさせてもらったのかな」と「プラス思考」と「原因自分説」で、冒頭の失敗を理解した次第です。

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