KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2006年07月11日

『問題な問題解決』していませんか?

こんにちは。桑畑@慶應MCCです。
「仕事とは問題解決である」と言われます。
“問題”の定義が、“あるべき(ありたい)姿と現実とのギャップ”である以上、現実を変化させてギャップをゼロにする(少なくともギャップをゼロに近づける努力をする)ことが、問題解決と呼ばれる活動です。そう考えれば、我々が日々行っている“仕事”とは、確かに問題解決と言えます。


しかしこの問題解決、本当に皆さんのまわりで機能していますか?
別の言い方をすると、我々は仕事として本当に“あるべき姿としての問題解決”を行っているのでしょうか?
私は前職で、通信ネットワークや情報システムの営業及びコンサルティングを行っていました。また現在は思考・コミュニケーション系の講師として、様々な問題解決の方法論を教える立場にあります。
その経験を自戒も込めて振り返ると、“あるべき姿としての問題解決”とはほど遠い状況が見えてくるのです。問題解決にありがちな“問題”が浮かび上がってきた、とも言えるでしょう。
私はそれを4つに分類してみました。皆さん、そして皆さんのまわりでは、このような『問題な問題解決』が行われていませんか?
1.モグラ叩き型問題解決

  • 中長期的な「あるべき(ありたい)姿」に目を向けず、目の前の問題のみ解決しようとしていませんか?
  • たとえば、「売上予算が達成できていない」のは確かに問題でしょう。ですが、ここで予算達成だけに目がいけば、「なんでもいいから売れ」「どんなやり方でもいいから売上数字を作れ」になりかねません。本来売上に計上すべきでないものを計上し、結果的に粉飾決算を追求されたライブドアは、これを行ってしまったと言えます。

2.対症療法型問題解決

  • 問題の原因(なぜそういう状況になったのか?)を考えずに、拙速に解決策(どうやって問題を解決するか?)を求めようとしていませんか?
  • たとえば、「彼女がいつもデートに遅れてくる」という問題状況があったとしましょう。
    そこで「朝必ずリマインドの電話を入れよう」や「自分も30分遅めに行こう」とか考えていたのでは、まさに「頭痛にはとにかく鎮痛剤」という対症療法と同じです。
    「彼女はなぜ毎回遅刻するのか?」を考え、原因が特定できてはじめて、それに対する適切な解決策を考えることができるはずです。

3.ダボハゼ型問題解決

  • 問題の原因が特定できたとしても、そこから解決策を広く洗い出さずに、思いつきや経験則のみで、解決策を安易に決め撃ちしていませんか?
  • たとえば「会議の生産性が低い」という問題に対して、「ダラダラと長時間に渡る会議が多い」という原因が特定でき、そこから「会議時間の短縮」という課題を設定したとしましょう。ここで「じゃあ会議のシナリオを事前に決めて、その通りに進めるようにしよう」ではダボハゼです。確かにそれも解決策の候補にはなるでしょうが、他にもいくつも解決策は考えられるはずです。

4.ニワトリタマゴ型問題解決

  • 状況が「誰からみたらどう問題なのか」を考えずに、手持ちの解決策から問題を規定していませんか?
  • たとえば、「我が社も日産に倣って、クロスファンクショナルチームを導入しよう。そうすれば経営課題が迅速に解決できる」などと安直な発想をする方は、この問題な問題解決を行おうとしています。
    “手段の目的化”も問題ですが、ある解決策がどこででも通用すると考えるのも、また問題でしょう。

いかがでしょう。皆さん自身、そしてまわりでこうした『問題な問題解決』は横行していませんか?
場合によっては、“モグラ叩きかつ対症療法型問題解決”なども見つかったのではありませんか?
これらの『問題な問題解決』は、特に“長く同じ仕事に従事している”と行いがちです。
そこまでに様々な問題解決を経験することにより、自然と問題をパターン化して考えたり、仕事のやり方をルーティン化したりするからです。
もちろんそれ自体は、仕事の効率化のために必要なことであり、悪いことではありません。
しかしそれだけでは、突発的な問題状況に対応できなかったり、新たな問題の原因を見過ごしてしまうことにもなりかねません。また、仕事のやり方をバージョンアップする機会を失い、結果自分自身の能力/スキルアップを放棄しているとも言えます。
今一度、ご自分の問題解決(仕事)のやり方を振り返り、自分なりの『あるべき(ありたい)問題解決のアプローチ』について、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

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