KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2009年02月13日

日常から「分けて考える」習慣を

私は昨年10月30日のエントリー「整理して考える」とは(中編)で、大きなテーマを分解して考えることの重要性についてお話しさせていただきました。
これ、要するに論理思考ツールの代表である『ロジックツリー』を使って考えることです。
そしてこの「分けて考える」ことは論理思考の基本であり、論理思考力を高めようと思うのならそれを日常から意識することが近道です。
仕事上の複雑な問題解決に限定するのでなく、プライベートも含めた様々な場面で練習すればよいのです。
ということで今回は、私のプライベートな活用例について(少し恥ずかしいのですが)ご紹介しましょう。
「ああ、こういう使い方もできるんだな」と思っていただければ幸いです。

さて、私には今中学生の娘がひとりいますが、その娘が小学生の頃、中学受験のために塾に通っていました。
ところがなかなか模擬試験の成績が上がらない。困ったものです。
しかしどうしたものかと思っていると、間の良いことに塾から今後の勉強方針などについて面談の案内が届きました。
妻が「何を聞こうかしら。あれとあれも聞かなきゃ・・・」と相談してきたので、私は「ちょっと待って。それだとモレが出る」と一枚の紙を持ってきて、ロジックツリーを書き始めました(笑)。
そして「なぜ成績が上がらないのか?」というイシューを、『本人の問題/親の問題/塾の問題』の3つに分け、さらにそれを分けてみました。以下のようなツリー構造です。
————————————————————–
◇本人(娘)に問題?
  ●本人の能力に問題?
  ●本人の意識に問題?
◇親(私と妻)に問題?
  ●親の用意した環境に問題?
  ●親の指導の仕方に問題?
◇塾に問題?
  ●塾で教えている内容に問題?
  ●塾の教え方に問題?
————————————————————–
ちなみに、他にも『学校の問題』や『友達の問題』も成績が上がらない要因としては考慮すべきでしょうが、今回のシチュエーションが【塾との面談】であることを忘れてはいけません。
塾で学校の問題などを相談しても、「それは学校の先生に相談してもらわないと…」と言われるのは明らかです。
つまり今回はこの3つの大項目でモレが無いと言えるのです。
さて、こうしてツリーを描いて分けて考えると、今までは気づいていなかった様々な成績が上がらない原因が見えてきます。(ここでは詳細は伏せますが(笑))
後はそうして見えてきた問題点に優先順位をつけ、それらをメモに書きとめてから面談に望めば良いわけです。
もちろん、何も考えずに行き当たりばったりで面談に望んでも面談そのものは成立しますが、どちらが良い面談ができるか、考えるまでもないでしょう。
また、こうして分けて考えるのは、良い面談にできるという“効果”の側面だけでなく、“効率”の側面でも重要です。
それはどういうことなのか。
まず、何も考えずに面談に望めば、重要でないことまで話題に上り、その話に時間を費やしてしまうことが考えられます。
そればかりか、後で「ああ、あれも聞けば良かった」となることもあるでしょう。
そのために再度塾と日時を調整し、面談に赴くようなことにでもなれば、またそこに工数を割かなければなりません。
これが『時間の無駄』なのです。
実はツリーで塾に聞く内容を洗い出したのはせいぜい20分程度。
この20分を面倒くさいと思うから、かえって数時間の余計な時間や手間が掛かってしまうのです。
こうして分けて考える時間をちゃんと取ることは、良い成果(効果)を生むだけでなく時間の節約(効率)にも繋がるのです。
いかがでしょう。
少しは「自分でもやれそうだし、やる価値はあるな」と思っていただけたでしょうか。
まずはこの例のように日常から、その良い習慣を心がけてみませんか。

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