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ファカルティズ・コラム

2009年02月06日

相手の言いたいことを理解するには(2)

前回のエントリーでは、相手の言いたいことを理解するための“聞き方”として、
1.相手と自分の前提条件に注意して聞く
  ◆特に「言葉の定義がお互いに同じかどうか」に着目して聞く。
2.発言の構造を意識して聞く
  ◆「事実と意見のどちらか」「反論なのか質問なのか」などを聞き分ける。
という2つのコツをお話ししました。
今回はその次のプロセスである、「聞き取った内容を相手に確認する」ことについてお話ししたいと思います。
上記2点に注意しながら聞き、「ああ、この人はこういうことが言いたいんだな」と思ったとしても、それが当たっているかどうかはわかりません。
当たり前の話ですが、人のアタマを割ってみるわけにはいかないからです。
そこで重要になるのが、「おっしゃりたいのは○○ということですか?」と確認することです。
私はこれを『翻訳』と呼んでいます。

上司の発言を都合の良いように解釈したり、商談で顧客の発言を誤解してしまえば、間違ったことや無駄なことをやってしまう確率が高くなりますから、仕事に悪影響を与えるのは火を見るよりも明らかです。
だから「私の解釈で間違っていませんか?」と確認することはとても大切です。
様々なコミュニケーションでの基本と言っても良いでしょう。
ところが、相手に確認はしていても、それが単に相手の発言をオウム返しをした『復唱』になっている人がいます。
これでは確認したことになりません。
私が『翻訳』という言葉を使っているのも、復唱ではなく「言い換える」ことが大事だからなのです。
では、どうやって言い換えれば良いのか?
まずは前回お話しした“発言の構造”を意識して、「事実 or 意見」「賛同 or 反論」「主張 or 質問」などを明確にして確認することを意識すると良いでしょう。
「つまり~すべきというご意見ですね」といった翻訳によって、少なくとも発言の論旨を相手に確認することができます。
しかし、“何が言いたいのかよくわからない”発言では、これだけでは不十分です。
そこで必要になってくるのが、発言の抽象度に合わせた『概念化と具体化』です。
話のわかりにくい人というのは、2パターンに分けられます。
片方が具体的な細かいことを羅列するタイプで、たとえば「私が気にしてるのは、~という点と、~という点。あと~と~も・・・」という発言が多い、『情報量は多いが整理されていない』人がそれに該当します。
そしてもう片方が、抽象的な話に終始するタイプで、たとえば「やはりレスポンシビリティよりアカウンタビリティの方がこれから必要となると・・・」のような発言が多い、『概念論ばかりで具体性に乏しい』人のことです。
これ、全く正反対のタイプですよね。
つまりこのどちらのタイプかによって翻訳の仕方も正反対になるわけですが、その際のポイントが、『抽象の梯子を上り下りする』のを意識することなのです。
前者の『情報量は多いが整理されていない』タイプであれば、概念化、つまり抽象度のレベルを上げて、「要は~ということですね」と言い換えて確認します。
その際もうひとつのコツは、多くの情報をいくつかにグルーピングして要約することです。
「なるほど、要は○○すべきということですね。で、その理由は大きく××と□□のふたつある、と」という感じです。
そしてその反対の『概念論ばかりで具体性に乏しい』タイプの人には、今度は抽象度のレベルを下げ、具体的な場面や例を挙げて翻訳し、確認します。
「なるほど、それはたとえば△△といったケースのことだと解釈してもよろしいですか?」と翻訳するのです。
繰り返すと、具体例や事実の羅列が多い発言では、「要は~」と概念化・抽象化し、逆に抽象的で曖昧な発言では、「たとえば~」と具体例を示す形で翻訳します。
これで「ああ、そうそう。そういうことだよ」と言ってくれれば翻訳完了ですし、そうでなければ解釈が間違っていただけのことですから、再度別の解釈で聞き直せばよいのです。
大事なのは翻訳することそのものです。
相手の言い方にも問題があるのですから、間違って解釈してしまうのも当然。だからこそこうして翻訳し、確認するのです。
「間違った解釈で確認すると失礼だから」と聞かない方が、もっと最悪の事態をもたらします。
遠慮せずにしっかりと翻訳し、確認しましょう。
実はこの翻訳、優秀な営業マンや会議の司会が上手い人は必ずやっています。
ビジネススキルとしても重要なのです。
さて、2回にわたって相手の発言を理解するためのテクニックとして、『発言の前提条件と構造を意識して聞く』ことと、『発言を翻訳して確認する』ことをご紹介しました。
しかしこれらのテクニックを使っても理解できない発言もあります。
それは相手が、「何を言いたいかも定まっていないのに話し続けている」場合です(笑)
これは仕方がありません。
こうした場合の選択肢はふたつ。
まずひとつ目は、「で?」と相手に結論を話すよう求めるやり方。
話している内にだんだん自分の言いたいことが明確になることもありますから、その時は「あ、要は~」とまとめてくれるかもしれません。
ただ、相手によっては自分が何を言ったかも覚えていない場合もあります(笑)から、その時はもう一度わけのわからない話を聞かされる羽目になるリスクもあります。
また、相手の立場が自分より上の場合もやめておいた方が無難でしょう(笑)
そうするともうひとつの選択肢は?
はい、『とりあえず聞いたフリをする』しかありませんね。
発言の翻訳などもってのほかです。
恋人や友達の間でもしばしば起こるシチュエーションです。
『とにかく聞いてあげる(聞いているという姿勢だけ示す)』ことが必要なコミュニケーションもあるのです。
とはいえ、私これが大の苦手なのですが(笑)

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