ファカルティズ・コラム
2007年02月14日
“考え抜く”習慣をつけよう(4)
本日はバレンタインデイ。浮かれている方も沈んでいる方もいらっしゃるでしょうが、そんなことにお構いなく(笑)、今回は“考え抜く”ために意識すべき『4つの疑問符』のラストとして、「Another?」についてお話しします。
(4) Another?(他には?)
さて、1月30日のエントリーでは「Why?」を使って深く掘り下げることを、そして2月9日のエントリーでは「So What?」を使って情報を読み解くことの重要性をお話ししました。
しかしこの2つの疑問符を使う際に、セットで使うべき疑問符があります。それが今回ご紹介する、「Another?(他には?)」なのです。
「Why?(なぜ?)」では、トヨタ自動車の「なぜを5回繰り返せ」を例にとってご説明しましたが、主張の根拠や問題の原因は、なぜを繰り返して“深く掘り下げる”だけで良いのでしょうか?
また、「So What?(それで?)」では、マンガのテレビドラマ化事情という情報から、何が言えるかを考えていただきましたが、例として挙げたものの中に唯一の正解はあったでしょうか?
上記2つの問い、どちらも答えは「No!」です。
主張の根拠や問題の原因はひとつとは限りません。例で述べた「ある工程の原価が低減できていない」という問題の原因にしても、「部品の仕入れ値が下がらない」以外に、「その工程にかかる人件費が高い」や「ラインの歩留まりが悪い」等、様々な原因が他にも考えられるはずです。
また、ある情報から言えることもひとつとは限りませんし、そこに唯一の正解など存在しません。そもそも帰納法で導き出される結論は、正確には“推論”であり、「(マンガのテレビドラマ化事情という)これらの情報からは、こういうことが言えるんじゃないかな?」というレベルなのです。
ところが我々は・・・
◆問題の原因や解決策を考えたり、情報を読み解く際に、最初に思いついたものや経験則から、ひとつの答えに飛びついてしまう。
◆また、誰か(特に著名人や権威者)が言った答えを、「これしかない」と鵜呑みにしてしまう。
ことが残念ながら多いのです。答えは他にもいくつもあるはずなのに、です。
これ、まさに思考停止状態の典型ですね。
もうおわかりでしょう。
そうならないための呪文が、「Another?(他には?)」なのです。
問題の原因を考えたら1つ浮かんできた。でもそこで安心してしまうのではなく、「他には?」と考える。1つ浮かぶ度にそれを繰り返す。
ある情報を眺めていたら「ということは・・・」と推論が導き出せた。でもそれで満足してしまうのではなく、「他には?」と考える。そしてそれを繰り返す。
この「Another?」によって、“広く考える”ことができるようになるのです。
せっかくの「Why?」も広く考える「Another?」とセットでなければ、原因分析にヌケモレが出てしまいます。また、「So What?」も「Another?」とセットで使うことで、発想を広げることが可能になります。
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ところで、こうしてヌケモレなく広く考えるためには、「Another?」と愚直に問い続けることに加え、『道具』を上手に使うと、より効果的・効率的に考えることができます。
手を使って畑を耕すのと、鍬という道具を使って耕すのを比較するとわかりやすいでしょう。鍬を使った方が、格段に“深く・短時間で”耕すことができますよね。
これが『道具』の意味であり、思考においてはロジックツリーや因果関係図等がそれに該当します。
この『思考の道具』については、またいずれお話ししたいと思いますのでご期待ください。
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話を戻しましょう。
また、「Another?」と発想を広げるためには、凝り固まった今までの思考の癖を、時には壊す必要がありますから、社内の常識や慣習、また自分自身の思考の枠組みを、「True?」と疑わなければならないのです。
このように、今までご紹介した『4つの疑問符』は、それぞれ単独で使うよりも、組み合わせて使うことによって、より効果があると言えます。
さて、ここまで4回に渡ってお話しした『“考え抜く”習慣をつけよう』の最後に、今さらではありますが、“考え抜く”と“考え込む”の違いについて、私なりの定義をお話ししておきましょう。
“考え込む”とは、いわば「あーでもないこーでもない」と脈絡なく考え、何を考えるべきかも明確でなく、かつ頭の中を整理しないままに考え続けている状態です。
対して“考え抜く”とは、何を考えるべきか、どこまで考えればいいかが明確になっており、何らかの切り口で頭の中を整理しながら、ゴールに向かって考え続けている状態です。
“考え込む”のではなく“考え抜く”。
これを皆さんは目指していただきたいと思いますし、それを実現する呪文として、ご紹介した『4つの疑問符』を活用していただれば幸いです。
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