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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2011年01月09日

目標はどちらから立てるか?

みなさんあけましておめでとうございます。
本年も当ブログにおつき合いいただければ幸いです。
ちなみに基本的に週一での更新を心がけてはいるのですが、「週一の更新」にこだわりすぎるのも手段の目的化ですから(言い訳か)、そのへんは今後とも適当にやっていきます(笑)
さて、年の初めということで、今回は『目標』について考えてみたいと思います。


課題発見に主眼をおいた研修や講座の演習において、ケースを使って組織や個人の課題を考えて貰うことがあります。
その演習では、短期・中期・長期という3つの時間軸で課題を明確化するのですが、私が決まって最後で問いかけることがあります。
「みなさん、この企業の課題は短期・中期・長期のどこから先に考えましたか?」

個人の課題である「○○の克服」にしろ、組織の課題である「□□の倍増」にしろ、課題とは実現すべき目標と言い換えられます。
ですから私の上記の質問は、「目標は近いところから立てるべきか? それとも遠いところから立てるべきか?」を問うても言えるでしょう。
では、これはどちらから立てるのが正解なのでしょうか。
思うに、「どちらかが正しくてどちらかが間違っている」とは一概には言えないものの、こと『組織』においては、基本的には長期から考えるべきでしょう。
なぜならば、組織の課題は階層構造になっているからです。
最上位の課題であるビジョンや経営理念は、かなり長期的視点に立った「組織全体で目指すべき目標」のはずですし、その実現のために中位の課題として各種の戦略があります。そして戦略を実現するために、最終的には個人単位にまでブレークダウンされた短期的活動があるのです。
アタリマエの話ですが、組織を行き当たりばったりで運営するわけにはいきません。
まず長期的な目標を明らかにし、そこまでのマイルストーンとしてたとえば3年後の中期的な目標(課題)を、そして3年後のその目標を達成するためにこの1年間にやるべきことを明確にしていくはずです。
目標管理でよく使われるKGI(Key Goal Indicator)とKPI(Key Paformance Indicator)の明確化がまさにこれで、このやり方の方が圧倒的に効率的なのです。
このように組織においては、長期→中期→短期の順番で目標を立てていくのがある意味王道と言えますが、では、個人の場合はどうでしょう。
「やはり個人も長期から考えた方が効率がよいのでは?」
確かにその通りです。
実はこの「長期的目標を明らかにし、そこまでのマイルストーンを逆算して短期的な目標を決める」手法を、私は『ワタミ方式』と呼んでいます(笑)
現ワタミ会長の渡邉美樹氏のベストセラー『夢に日付を』で一貫して語られているのが、このやり方だからです。
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夢を抱くだけでは実現しない。
結局時間や他人のせいにして行動しないからだ。
だからまず「10年後の何月何日に独立して社長になる」のように夢に日付をつけろ。
そうしたら9年後にはどうなっていないといけないかが見えてくる。
「9年後には資金をいくら貯めてベンチャー社長の知り合いを何人つくる」のように定量化するのがポイントだ。
あとはそれをブレークダウンしていけば…明日やるべきことは明白だ。
このやり方で夢が叶わないはずがない。
————————————-
上記は氏の主張を私なりにまとめたものですが、要するに「個人も組織と同じようにKGIを設定して、そのマイルストーンとしてKPIを設定しよう」ということです。
うん、効率的に夢を実現させたいのなら、やはりこれでしょう。
しかし夢がない人、または漠然とした夢ならあるが、明確にこうなりたいというイメージが固まっていない人は?
「夢を持て」とか「夢がない人生なんてむなしいだろう」と言うのは簡単です。
しかし夢を持つか持たないかは個人の自由。他人がとやかく言うことではありません。
まず自分にできることをやる。
少し背伸びした、なんとか手の届きそうな短期的な目標を立てる。
それが実現できたら、次にできることを考える。
それを繰り返しているうちに、段々と漠然とした夢が明確にイメージに固まっていく。
これでもいいではありませんか。


ワタミ方式は確かに効率的。
「夢(最終目的地)に向かって特急に乗って最短距離で突っ走る」のも良いでしょう。
でも、「鈍行列車で車窓を眺め、途中下車して散策し次の行き先(当面の目標)を決める」のも、また楽しいものです。
ですから、個人の目標設定は長期/短期どちらから考えても良いのです。
明確な夢があるのならワタミ方式(特急)で長期から。
明確な夢がないのなら鈍行方式で短期から。
重要なのは、「自分はどちらの方式の方が向くか、そして今はどちらの方式で行くべきか」をしっかり考えることでしょう。


え? 私ですか?
私は完全に鈍行方式。
だってそちらの方が楽しいし、途中下車や寄り道から学べることはたくさんあると思うからです。

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