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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2011年03月15日

冷静に考え、行動しよう

東日本大震災、たいへんな事態になっています。
被災された皆様にはかける言葉も見つかりません。また、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りします。
私自身、および家族や職場は幸いなことに大きな被害もなく、平常通りとはいきませんが無事にこうして出勤し、ブログを書かせていただいています。
さて、このような大事において私にできることは何か。
やはりそれは「考え方の道筋を指し示すこと」だと考えました。
(1)流言飛語に惑わされないこと。
(2)冷静に考えること。
(3)適切な行動を取ること。
以下、少しでも皆さんが考える助けになれば・・・

(1)流言飛語に惑わされないこと。
こんなたいへんな時でも面白がってデマを流す人間はいます。また、善意でそのようなデマを広げてしまう人もいます。
出所のはっきりしない情報、特にtwitterやSNSの情報に過敏に反応せず、一度は疑ってかかりましょう。間違っても「これは広めなければ」と真偽の確認せずにtwitterでRTするのはやめてください。無用なパニックを引き起こすリスクがあります。


(2)冷静に考えること
とにかく落ち着きましょう。
福島の原発は確かに心配ですが、だからといって「すぐ関東を脱出しなければ」などと安易に考えないでください。
多くの方がそのような考えを実行に移したら、どのような混乱が起きるかを考えてください。
また、政府や東京電力に対して文句を言いたくなる気持ちはわかりますが、今はまだその時期ではありません。被災者の救出・救護、そして安全対策やインフラの維持が最優先です。反省や責任の追及をネットなどで行うのは、いましばらくは我慢しませんか?


(3)適切な行動を取ること。
「自分にできること」がすべて「自分がやるべきこと」ではありません。
ですからまず、「自分にできること」と「自分ができないこと」を分けて考えましょう。
こういうことを言うと「冷たい」と思われるかもしれませんが、自分ができないことについてあれこれ悩んでも仕方ありません。
時間の無駄であるばかりか、精神的に疲弊してしまいます。
こうして「自分にできないこと」について考えるのをやめたら、今度は「自分にできること」をさらに「自分がやるべきこと」「自分がやった方が良いこと」「自分がやらない方が良いこと」に分けて考えましょう。
被災していない関東の方々であれば、「やるべきこと」はまずは節電と節水です。
ただしなんでもかんでも自粛するのは日本経済にとって逆効果です。無駄な電気と水を使わない。ちょっとした心遣いでいいのです。
関西以西の方々であれば、なにより「普通に暮らすこと」、もっと言うと「いつも通りお金を使うこと」です。ただでさえ日本経済は大打撃を受けています。消費を沈滞化させないことが皆さんの使命です。
「やった方が良いこと」はぜひご自身で考えてみてください。義援金を送る、情報提供のWebサイトを立ち上げる、などひとりひとりの経済力・知識・スキルの「何をどう活かすことができるか」を考えましょう。
しかし前述の通り「自分にできること」がすべて「自分がやるべきこと」ではありません。
ですから、必ず「やらない方が良いこと」も考えましょう。
たとえば「現地でボランティア活動をする」などは今はこの「やらない方が良いこと」です。報道でも繰り返し言われているように、今は自衛隊など「衣食住すべて自前でなんとかできる」プロしか現地では求められていません。
また、義援金や救援物資の取りまとめも、個人が別々に動いてしまうと届けられた現地で混乱を来します。なにより限られた流通手段を非効率的に使うことに繋がります。日本赤十字や新聞社など、信頼できる機関を通じて善意を届けることをまず考えてください。
千羽鶴を折るのも結構ですが、送られた方が困りますよ。
他にも「やらない方が良いこと」は色々あるはずです。
何か行動する時に、「ちょっと待てよ。これは本当にやるべきことか? ひょっとするとやらない方が良いことでは? 単なる自己満足では?」と一度立ち止まって考えてみてください。


以上、私自身が「やるべきこと」と考えたことに従って書かせていただきました。
まだまだたいへんな事態は続きますが、必要以上に深刻にならずに前を向いて進み、そして周囲を見回して支え合っていきましょう。
なあに、日本と日本国民はこんなことで負けたりなんかしません。
3日ぶりに救出されたお年寄りもこう言っていたではありませんか。
「また再建しましょう!」

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