KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2011年04月15日

疾風勁草

先日、半期に一度の慶應MCC方針説明会議に出席しました。
営業や企画スタッフ等、それぞれの機能のリーダーが前期の定量面・定性面を振り返り、これから半年の方針を周知する会議です。
一言で言えば、全員のベクトルを合わせる会議と言えるでしょう。
特に今回は各リーダーの発表が素晴らしく、非常に有意義な会議となりました。
その中で、今のこの社会状況だからこそ皆さんと共有したい内容がありましたので、本日は発表者(慶應MCCの責任者です。夕学五十講の司会者と言えばご存じの方もいらっしゃるでしょう)の了解も得て、ご紹介させていただきます。
彼はこう口を開きました。
「こんな時だからこそ、『疾風に勁草を知る』で我々はいきましょう」

『疾風に勁草を知る』
後漢書の中の言葉だそうです。
疾風とは嵐、勁草とは強い草のこと。
穏やかな天気の時はどの草もちゃんと立っている。
しかし一度嵐が来れば弱い草は折れたり吹き飛ばされてしまう。
嵐が吹いて、はじめてどの草が強い草なのかがわかる。
それを意味した言葉です。
 苦境・試練にあるとき。はじめて強さが露わになる。
 これは草だけでなく、人間も、組織も、国家も同じ。
まさに『今』にぴったりの言葉です。
震災という嵐。
そしていまだ吹きすさぶ原発事故という嵐。
多少の不況とはいえ平穏な日々を送っていた我々ですが、今はいやおうなく嵐の中にいます。
これは個人も、企業も、そして国家も。
我々は強さを試されています。
誰が本当に強いのか。
どの企業が信頼に足るべき企業なのか。
日本は本当に良い国なのか。
勁草たらんとするなら、この嵐の中で踏ん張るしかありません。


そして勁草であるためには何を心がけるべきか。
彼は5つのポイントを挙げてくれました。


(1)メタ認知を心がける
どうしても嵐の中では自分を見失いがちです。
慌てたり、恐怖に立ちすくんだり、目先のこと、自分事だけ考えてしまいます。
だからこそ「自分の思考と行動を客観的に認識する」メタ認知が必要です。
自分を俯瞰し、周りをよく見渡してみましょう。
(2)やるべきことを具体的に掲げる
メタ認知ができたら、自分のやるべきことを見極めましょう。
その際は「具体的に何をやるか」を明確にし、当たり前のことを愚直にひとつひとつやっていくこと、これが大事です。
嵐をいっぺんに払ってくれる魔法の杖などありませんから。
(3)徹底的に執着し、潔く諦める
たとえば営業職であれば、可能性のある限り徹底的に粘る。
しかし結果が見えたら潔く引き、そしてそれを引きずらない。
次にやるべきことはいくらでもあるのですから。
原発への対処も、ぜひこれでお願いしたいものです。
(4)あえて遠くを見る
先ほどの俯瞰とも関係しますが、今日明日のことではなく、そして身の回りでなく、もっと将来を、もっと遠くの風景を見ることも大切です。
時間的・空間的に狭くなった視野を広げてあげましょう。
足下はたしかに泥濘かもしれませんが、遠くには陽のあたる道がきっとあります。
(5)不安な時は仲間と語る
私たちはひとりではありません。
家族がいる。同僚がいる。お客さんがいる。取引先の人がいる。ご近所さんがいる。
嵐の中不安なのはあなたひとりではありません。
不安を吐露するのも良し。
励まし合うも良し。
人は語り合うだけで元気になれるのです。


以上、ぜひ皆さんと共有したいと思い、紹介させていただきました。


以前もこのブログで言いましたが、修羅場は人を成長させます。
疾風勁草の疾風、つまりこの今という嵐の中は、まさに私たちを成長させてくれる修羅場です。
来てしまった嵐は今さら仕方がありません。
時間を戻すわけにはいかないのです。
であればこの嵐の中でも折れない勁草になりましょう。
それこそが私たちの使命なのです。

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