KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2012年04月20日

チームワークの意味とポイント

早いもので4月ももう半ば過ぎ。もうすぐゴールデンウイークです。
新人研修も佳境、後は配属を待つのみという新社会人達も多いでしょう。
私も昨日、某社の新人研修でプレゼンテーションの基本について講義を行いました。
新人研修の総決算としてのチームでのアウトプット作り、そしてその発表会のためのロジカルな伝え方やストーリーの組み立て方、そしてわかりやすい図解表現などを学んでもらうためです。


この会社のように、チームで情報収集や議論を重ねて何らかのアウトプットを作らせるのは、最近の新人研修でよく見かけます。
では、なぜこのような形態を研修に組み込むのでしょうか?
そしてチームでアウトプットを作るためには何がポイントになるのでしょうか?
どれだけの新人さんがこのブログを見てくれているか全くわかりませんが、これは別に新人に限らず知っておいて損はないと思うので述べさせていただきます。

まず最初の問い、「なぜチームでアウトプットを出させる形態を研修に組み込むのか?」ですが、その答をヒトコトで言えばこうなります。
「これから組織で仕事をするための練習になるから」
そう、仕事は一人でやるものではありません。
上司や先輩達との、場合によっては顧客や協力会社とのチームプレイで行うものです。
その練習として、こうしたチームワークは存在します。
そしてこのワークで最大のポイントが『どう議論するか』ということ。つまりチームワークのプロセスです。
もちろんアウトプットの質も重要ですが、研修においてはそれは2の次。いや、アウトプットの質の高さは「どれだけ良い議論ができたか」を測るための指標に過ぎないとすら言えます。
良いアウトプットは良い議論から生まれる確率が高いからです。


ですからふたつ目の問い、「チームでアウトプットを作るためのポイントは何か?」は、「チームで議論を行う際のポイントは何か?」と言い換えられます。
そしてそのポイントは、「効率的な議論を行うこと」と「効果的な議論を行うこと」のふたつに分けて考えることができるでしょう。
まず効率的な議論のポイントですが、ヒトコトで言えば「計画的に進めること」です。
いきなり『中身の議論』をしてはいけません。
まずは『進め方の議論』を行うべきです。
発表までにやるべき作業を洗い出し、役割分担やスケジュールを決める。
時間的・工数的な平準化にも留意しましょう。PowerPointなどを使用する際は、あらかじめフォーマットを作っておくと理想的です。
そして作業を進めながら、定期的に進捗管理も行わなければなりません。
場合によってはスケジュールや役割分担も柔軟に軌道修正を行います。
さて、このプロセスでピンと来た方も多いでしょう。
そう、これはまさにプロジェクトマネジメントのプロセスです。
効率的な作業を計画的に進めていくというこのプロセスは、まさにこれから(すぐではないにしろ)仕事の中で必要となるプロジェクトマネジメントの練習なのです。


そして効果的な議論を行うためにはどうすれば良いか。
これは「相互に触発する議論を行う」ことが最大のポイントです。
ではどうしたらそれが実現できるのか。
私は「お互いを尊重し、しかし安易な妥協のない議論を行う」ことと「議論は必ず可視化する」ことを提案します。
触発とは、外部からの何らかの働きかけをきっかけとして起こります。自分の力だけで触発は起きません。
だから持論に固執して他者を論破しようとしたり、自分の考えと異なる方向の意見を無視してはいけません。自分と異なる意見にも、必ず根拠やそれを述べる意図があります。
だからまずは耳を傾けること。場合によっては根拠や意図をきちんと確かめる必要があります。
しかし、だからといって全員の意見が採用されるわけもありません。
また、他者の意見が「もっともだ」と感じたとしても、「じゃあそれで」と単に乗るだけでは触発は起こらないという事実を認識すべきです。
ですから「それは違う」と思ったら、やはり自分の意見は述べなくてはなりません。
安易に同調するだけなら、その人は議論に何の貢献もしていません。
もちろん「楽をしたいから」などというのは以ての外です。
しかしこの「他者を尊重する」と「妥協をしない」のバランスは口で言うほど簡単ではありません。
時にはコンフリクト状況となり、議論が破綻してしまうこともあるでしょう。
しかしこれは練習です。「まだ」仕事ではないのですから、コンフリクトを怖れずに「やってみる」ことが重要です。
それに以前も述べたように、コンフリクトから新たな何か(この場合は気づき)が生まれることも多いのです。
そして議論は必ず可視化しましょう。
空中戦での議論は「言った言わない」になるリスクもありますし、何より視覚情報を通した触発を阻害します。個人でもチームでも、「書くこと、そしてそれを見ることで思考が活性化する」のです。
こうして相互触発的な議論が行われれば、そこから「自分一人では産みだし得なかった新たな発想」、言い換えれば『三人寄れば文殊の知恵』が出てきます。
これこそがアウトプットの質を高め、チームの一体感も醸成します。
つまり効果的な議論を行うのは、組織で質の高いアウトプットを産むためのコラボレーションの練習なのです。


さて、ここまで新人研修を題材にチームワークのポイントを述べてきたわけですが、新人ではない方達もお気づきのことと思います。
「これ、自分達も気をつけなきゃなあ」と思われた方もいるでしょう。
そう、私たちは日常のチームワーク、そしてチームワークの直接的な場である会議において、これらのことができていないのです。(もちろん全部ではないでしょうが)
これから職場に新人を迎える方もいらっしゃるでしょう。
その新人クンから、「なんだ、先輩や上司もたいしたことないな」と思われたくなかったら、今からでも遅くありません。
上記チームワークのポイントを少し考えてみてはいかがでしょう。

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