KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2006年11月19日

「まずはブレストから」で始まる会議

って、結構よく見かけませんか?
「まずはブレストで自由な意見交換を行ってから・・・」ということでしょう。
確かにブレスト(ブレーン・ストーミング)とは、問題の解決策や様々なアイデアをグループでの議論によって生み出す手法であり、特に「自由かつ制約のない発言」が原則ですから、会議のスタートとしてはアイスブレーク的にも機能すると言えます。
しかしこの「まずはブレストから」、でスタートさせる前に、以下の2つのポイントをチェックしていただきたいのです。


まずチェックしていただきたいのが、「本当にブレストしようとしているか?」です。
プレストを行う一番の意味は、「解決策やアイデアを数多く出す」ことです。数多く出せれば、その中に良い解決策やアイデアがある確率は高まるからです。5枚しか宝くじを買わないのと、1000枚買うのとを比較していただければおわかりでしょう。
だからブレストでは“質より量”を重視しますし、“他者の意見の改善・複合歓迎”というルールもあるのです。
そしてブレストで何より守らなくてはならないルールが、“批判厳禁”です。他者の意見をいちいち批評/批判していては、「自由な」意見など言えなくなりますし、結果「解決策やアイデアを数多く出す」ことなど実現できませんから。
あなたが会議で「まずはブレストから」で始めようとするなら、必ずその後に、「ブレストの間は、決して他者の意見を批判しないように。重要なのは質より量です」と釘を刺すようにしてください。やるんなら、ちゃんとブレストしましょう。
さて、そしてもうひとつのチェックポイントですが、こう問わせてください。
「何も考えてないから、『まずはブレストから』って言ってるだけじゃないですか?」
会議の進め方を事前にきちんと計画した上での、「まずはブレストから」であれば、先に述べた通り「ちゃんとブレストする」ことに注意していただければ良いのですが、そうでないならば、それは主催者兼司会者としての「手抜き」です。
「ま、とりあえずブレストって言っておけば文句も出ないだろうから」
くらいの感覚では無計画すぎますし、非効率的な会議になり、結果時間通りに終わらなかったりするわけです。これで“批判厳禁”も守れていなかったら、ただの「飲み屋の愚痴大会」になりかねません。
ですから、ブレストを最初に行うのなら、ちゃんとその意味を考え、その後の展開(どこまで発散させるか/どうやって収束させるか 等)も考えた上で使ってください。
そして、今後会議の冒頭で司会者が「では、まずはブレストから」で始めようとしたら、こう尋ねてみてください。
「最初にブレストでやる意味は? あ、それとやるんならブレストのルール説明からお願いしますね」

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