KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2014年03月02日

本を出しました

既にこのブログの右側に表示されてますが、4冊目の本を上梓しました。
テーマは「人を巻き込む」ということ。
私自身の経験談もご紹介しながら、ひとりではできない「仕事」というやっかいな、しかし人生を掛けるに足る活動を行うにあたって、「どうやったら、うまく上司や部下、他部署や協力会社、そしてお客様を巻き込みながら、自分のやるべきこと、やりたいことを実現できるのか」について、精神論抜きの技術論で語りました。
やはり人を「巻き込む」ことができなければ、どんなに豊富な知識があっても、そして良いアイデアがあっても、それらは宝の持ち腐れに終わるからです。



具体的には、この「どうやったら周りを巻き込むことができるのだろう?」を
どうやったら「この人の話なら聞いてみよう」と、周りとの距離を縮められるのか?
どうやったら「これは他人事じゃない」と、周りに当事者意識を持ってもらえるのか?
どうやったら「確かにその通りだ」と、周りに理解・納得してもらえるのか?
どうやったら「やるしかないでしょ」と、周りをその気にさせられるのか?
どうやったら「あ、そうすると…」と、周りに気づいてもらえるのか?
どうやったら「これからもこいつに」と、上司を継続的に巻き込めるのか?
という「6つの問い」に細分化し、対人心理学の理論も交えながら、私の現時点で持っているほとんど全ての「コツ」や「テクニック」を盛り込みました。


どんなに優れた「これを一緒にやろう」というアイデアがあっても、「こいつの話は聞きたくない」と相手が思っていたら、門前払いや馬耳東風で終わってしまいます。
だからまずは「聞く耳を持ってもらう」ことが必要です。
また、相手が当事者意識とそれに基づく危機感や期待感を持っていなかったら、やはりせっかくの巻き込む努力も徒労に終わります。
どうやったら「他人事じゃない」と相手に思ってもらえるか。
特に部下に対して、この悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。


なんとか苦労して聞く耳と当事者意識を持ってもらえたら、いよいよ本題を伝え、自分のやりたいことの意味、つまり重要性や緊急性を理解してもらうことになります。
しかしこれまた、どんなにその内容に意味があっても、伝え方がダメであれば、結局は相手を巻き込むことに失敗してしまいます。
そこで重要になってくるのが、相手を納得させる技術です。
人は「アタマ」で納得する、つまり理屈として理解できるだけでも、また「ココロ」で納得する、つまり感情/感覚的に共感するだけでも、本当に納得ずくで動かない、やっかいな生き物です。
もちろん納得なんかしていなくても、「命令/指示」で強制的に動かすことは可能ですが、それで嫌々仕事をさせることで、仕事の質が下がったり、効率が悪くなってしまっては、本末転倒です。
だから「確かにその通りだ」「やるしかないでしょ」と感じ、「頼まれなくたってやりますよ。いや、やらせてください」と言ってもらえるような、論理的かつ共感的な伝え方を実現するコツやテクニックが必要なのです。


そうしてなんとか相手を巻き込んだら、今度はその仲間、同志として「自発的に動いてもらう」のが理想的。
せっかく一緒に仕事を始めても、「次はどうすればいいですか?」となって、一から十まで指示やお願いをしないと動いてくれないのであれば、残念ながらそれは「ちゃんと巻き込めた」とは言えないからです。
ここでポイントとなるのが「自分の頭で考えてもらう」ことですが、「少しは自分で考えてくださいよ」では、あまりにも無策。
やはり「あ、そうすると…」と、自分の頭で考え、何かに気づかせるようにするには、それなりの「考えさせ方」というスキルが必要なのです。


そして多くの、いや組織で働くビジネスパーソンで悩んだことがない人はいないのが、「上司との付き合い方」でしょう。
どんなに性格的に合わなくても、避けていては仕事になりません。
また、どんなに仲が良くても、それだけでは仕事はうまくいきません。
上司を継続的に巻き込む。
そのために、上司をどうやって味方につけるか。
また、どうやって自分を信頼しもらい、肩入れしてもらうか。
こうした上司への対処法については、本書の最後で「上司のタイプ分け」をベースに解説しました。


4冊目の著書ですが、たぶん今まで一番読みやすい本になっていると思います。
そのポイントは、「ロジカルすぎない」こと。
今さらながら気づいたのですが、仕事のレポートや論文と異なり、こうした本は「読み物として読みやすいこと」が重要です。
もちろん、まったくロジカルさの感じられない構成と流れでは論外ですが、あまりに構成と流れがかっちりロジカルになっていると、どうしても「堅苦しさ」と「くどさ」を読者は感じてしまいます。
正直、私は今までそのあたりがわかっていませんでした。
だからベストセラーを読んで、「なんでこんな構成のまずい本が売れるんだ?」と思ったことも1度や2度ではありませんが、内容だけでなく、ある程度の「ゆるさ」も、読み物としてのビジネス書には求められることがようやく理解できました(笑)


さて、なんか著書の宣伝みたいになってしまいました(笑)
宣伝ついでで恐縮ですが、もし読んでいただけたら、是非感想を聞かせてください。
Amazonのレビューで酷評していただいても構いません。
どんなご指摘も、すべて私の講師として、そして物書きとしての成長の糧になりますので。

メルマガ
登録

メルマガ
登録