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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2014年06月06日

ロジカルシンキングの重要性と限界、そして…

私の専門分野でもある”ロジカルシンキング”。
和訳は当然「論理(的)思考」です。
しかしこのロジカルシンキング。
言葉そのものに矛盾があるとは思いませんか?
そう、「ロジックがない思考など存在するのか?」という疑問です。
たとえばテレビで詐欺のニュースを見たとします。
そこで「けしからん!」と直感的に「考える」のは、「人を騙すのは悪いこと」という大前提に、事件という事実を照らし合わせているはずで、これは紛れもなく演繹的な論理展開です。
ここから、本人が意識していようがいまいが、考えるという行為には必ず論理、ロジックがあると言えます。
つまり「直感的に思いついた」ことも、その裏には何らかのロジックが存在するわけですね。
だから”ロジカルシンキング”とは、単に「論理的に考える」ことを意味するのでなく、「論理(ロジック)を意識し、複数の論理が矛盾しないように考える」こと、と定義すべきでしょう。
では、なぜ私たちにはこのロジカルシンキング(論理を意識し、複数の論理が矛盾しないように考えること)が必要なのでしょうか。



私はそれは、「当たり前の答を確実に出す」ためだと考えています。
「そんなつまらないことのために?」と思われるでしょうか。
しかしあなたも、誰かの答に「ああなるほど、言われてみればそれもあり得る」と思ったことがあるはずです。
そして「なんでこんなことが思いつかなかったのだろう?」と思ったことも。
そして反対に、誰かに対して「なんでこんな簡単なことが思いつかないのだろう?」と思ったこともあるでしょう。
このように、私たちは「言われてみれば当たり前」の答すら、思いつかないことが多い。
これが現実です。
だからロジックを意識し、複数のロジックが矛盾しないように考え、より蓋然性の高い、つまり「適切である確率の高い」答を出す必要があります。
前提条件を置いて、それに情報を照らし合わせて「こうするといいかも」などと考える。これが演繹法です。
または複数の情報からそこに法則性を見いだし、「ここに問題があるかも」などと考える。こちらは帰納法です。
さらに「じゃあ内部要因と外部要因に分けて考えてみると…」のように、物事を分解して考えモレを防ぐ。これが所謂ロジックツリー。
時には「効果の大きさと実現性の両方で評価すると…」のように、マトリクスで意思決定する。
これらの考え方が、”ロジカルシンキング”です。
こうしたプロセスを経て出てきた答えは、確かに「言われてみれば当たり前」かもしれません。
しかしそれだけに「成功確率が高い/失敗確率が低い」答です。
だから時間やヒト・モノ・カネに制約のあるビジネスにおいては、「短時間で良い答を確実に出す」ために、ロジカルシンキングは重要なのです。


しかし、このロジカルシンキングには限界もあります。
それは、「言われてみれば当たり前」の答えしか出ない、つまり「ものすごく斬新な答」は、このプロセスからは思いつきにくいという点です。
ロジカルシンキングで出した答は、確かに成功確率は高いのですが、その成功は「想定内」であり、組織や世の中を変えるような「大成功」には結びつきにくいのです。
たとえば何らかの問題を解決するために、問題の原因をロジックツリーで分析し、仮説を検証して課題を設定する。そして解決策をこれまたロジックツリーで広く洗い出し、マトリクスで評価して打ち手を決める。
こうした問題解決においては、ロジカルシンキングはとても有効です。
しかし「問題」が「あるべき姿と現実とのギャップ」である以上、あらかじめて規定された「あるべき姿に戻す/到達する」ことしかできないわけで、あるべき姿すらよくわからない、あるいはそれを考えなければならない「クリエイティビティ(創造性)」が要求される場面では、ロジカルシンキングはあまり効果を発揮してはくれません。
ここから、”ロジカルシンキング”の対極として”クリエイティブシンキング”を挙げる人もいます。しかし、ロジカルシンキングでも商品開発のようなクリエイティブな仕事に役立ちますから、「創造的でない」わけではありません。
ですから私個人としては、ロジカルシンキングを補完する考え方は、”イノベーティブシンキング”、「変革思考」と呼ぶのが適切なような気がしています。


私自身の一番の関心事もここにあります。
新商品開発のような「わかりやすいクリエイティビティが要求される」場面だけでなく、売り方やプロモーション手法、また仕事の進め方など、幅広い分野における「どうやったら誰も思いつかなかったような○○を思いつけるのだろう?」という悩みに応えたい。
確かに今までも様々な発想法はありました。
ブレーンストーミングも有効でしょう。
しかし、そうした従来の方法をちゃんと使いこなせていたら、今の日本企業の惨状(と言ってよいでしょう)は無かったのではないだろうか?(特に家電・ITの分野)
であれば、最新のメソッドやツールに、自分の知見も加味して体系化することで、「どうやったら誰も思いつかなかったような○○を思いつけるのだろう?」という悩みに応えることができるのではないだろうか?
実は今、それを着々と準備中です。
近いうちにMCCのプログラムや企業の研修で、それを皆さんにご紹介することができると思います。


最後は何か映画の予告編というか宣伝みたいになってしまいました(笑)
しかし、また皆さんのお役に立てると信じています。
ということで…ご期待ください!

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