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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2014年12月02日

「巻き込みやすい環境」をつくる

先週、MCCで『周りを「巻き込む」方法論について考える』という特別セミナーを開催しました。
第1部では私から「巻き込むスキルの重要性」について、話題提供をさせていただき、第2部では私のファシリテーションで、ワールドカフェ形式で本テーマについてダイアローグしていただきました。
私自身も気づきの多いイベントになりましたが、特に考えさせられたのが、私が専門とする様々なスキルを活かすための、「巻き込みやすい環境づくり」の必要性です。
本日は、それを私の備忘録も兼ねてお話しさせていただきます。




どんなに巻き込むべき相手を見極め、その人から共感を得、そして筋道立てて説明して納得してもらう。
やはりこうしたスキルがないと、よっぽどの大物か人格者でもなければ、周りを巻き込んで「やりたいこと/やるべきこと」をなし遂げるのは骨が折れます。
しかしどんなにスキルを磨いても、それを「活かす」環境がなければ、宝の持ち腐れです。
では、このスキルを活かす「巻き込みやすい環境」はどうしたらつくることができるのか。
私としては、これは「組織としての取り組み」と「個人としての取り組み」に分けて考えることができると思います。


1. 組織としての取り組み
これは組織の中に、「巻き込みやすい文化」をつくると言ってもよいでしょう。
ワールドカフェでは、運動会や社員旅行によって組織構成員の交流をはかるといった、具体的取り組みがそれに当たるとの意見が出ていました。
確かにこうした取り組みは、「組織の一体感を高める」という効果と、さらに「様々な人を知る」という効果が期待できます。
また、「他部署へのお節介や、組織の枠を越えた活動」を組織的に進めることも有効でしょう。
googleの「20%タイム」などは、それに近い取り組みと言えます。
そしてこれらを支える仕組みとして、社内に何を得意とする人材がいるのかをデータベース化した、いわゆる「Know How」でなく「Know Who」のシステムも、やはり「巻き込みやすい環境づくり」には有効だと考えます。


2. 個人としての取り組み
では、個人レベルでこの「巻き込みやすい環境をつくる」ためにできることはなんでしょうか。
すぐ思いつくのは、「社内に顔を売る」ことかもしれません。
この「組織内のネットワークづくり」は、効率的に誰かを巻き込むために、個人レベルでも日常から意識するとよいでしょう。
社内での各種説明会など、様々なイベントに顔を出し、部門外の人と知り合いになる。
同期のネットワークなども活用すれば、意識的にこうした社内人脈を構築することが可能です。
そしてこれも自分なりのデータベース化、つまり「社内人脈マップ」をつくっておけけば、いざというときに活用できますし、これを使って他の人の仕事にも貢献できれば、今度は自分が何かやるときに力になってもらえるかもしれません。
そして今回のワールドカフェでは、それに加え「情報発信」という意見も出ました。
ネットの記事やブログ、また自分が参加したセミナーなど、仕事に有効だと思われる情報を、メールやSNSを使って発信する。
これを継続することで、周りに「この人と付き合うのは自分にとってプラス」という意識を持ってもらうのです。
それは確実に、いざというときに頼りになる人達を増やすことになるでしょう。
まさに以前このブログでもお話しした、仕事における『キュレーター』を目指そうということです。
このように、個人としてもできることはたくさんある。
組織的な取り組みと併せて、私ももう少し考えてみたいと思います。

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