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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

ファカルティズ・コラム

2007年08月20日

他者への仕事の頼み方

久しぶりの更新です。
少し言い訳しますと(笑)、昨年までは少しヒマだった8月になぜか研修の依頼が続き、それに加えて夏休みまでしっかり取ってしまったのです。
いや、研修の仕事が続くというのは、タイヘンありがたいことなのですが。
という私事はどうでもいいとして、本日も前回に続き「仕事術」系のネタです。
当然ながら、仕事というのはひとりでやるものではありません。
みなさんも部下や同僚、他部門、取引先などの関係者に、仕事を頼んだ経験があるでしょう。
では、その時何を伝えてますか?
多くの方は、
◆内容(何をやってほしいか)
◆納期(いつまでにやってほしいか)
を相手に伝えているはずです。
でも、実はこれだけでは足りないのです。
他者に仕事を頼む際には、この2つ(内容・納期)に加え、『成果物』『意味』も併せて、相手に伝えよう、というのが本日の私からの提案です。


◆成果物
これはつまり、「この仕事が完了したと言える具体的アウトプット」のことです。
たとえば、「過去2年間の導入事例の調査」を他者に頼むとしたら、「導入年月・導入企業名・当該企業の評価の3点を明記した一覧表をEXCELファイルで」という風に頼むのです。
そうすれば相手も仕事内容がイメージしやすくなりますし、頼んだ自分もその後の作業が楽になります。
これを伝えないと、自分が資料をまとめる際に再度インプット作業が発生したり、最悪の場合には、「調査結果? 私の頭の中にありますよ」などと言われかねません。
自分が楽をするためにも、こうして詳細にアウトプットイメージを伝えることは重要です。
◆意味
頼む仕事の上位目的、「なぜこれをあなたにやってほしいのか」もちゃんと伝えましょう。
前述の例で言えば、単に「これを調査しておいて」だけでなく、「調査結果は得意先へのプレゼンの重要なコンテンツになる」「そのプレゼンのデキが1億の商談を左右する」といったこともきちんと(大げさすぎるくらいで構いません)説明するのです。
これにより、まず頼まれた人のモチベーションが上がります。さして難しい作業でなくても、「自分はそんな大事な仕事を頼まれた」と感じれば、誰でもやる気がおきますから。
やる気がおきれば仕事の優先順位も上がり、納期通りに期待通りのアウトプットが出る確率も高くなるとともに、やっつけ仕事も防止できます。
また、上位目的が明確なことにより、仕事の質の向上も期待できます。
「それだったら定性的な評価だけでなく、コスト削減額等の定量的なデータも調べておきましょうか?」といった『頼まれた側からの前向きな提案・工夫』も出やすくなります。
だからこの『仕事の意味』を伝えるのを、「めんどくさい」と思わないでください。時間にして30秒もかかりませんし、効果は大です。
よく使われる寓話でこういうのがあります。
道を歩いていたら、レンガを積んでいる職人がいた。
「何をやっているんですか?」と聞くと、その職人は答えた。
「見ての通り、レンガを積んでいるんだよ」
もう少し歩くと、やはりレンガを積んでいる職人がいたので、同じ質問をしたら、その職人はこう答えた。
「私は壁を作っているんです」
もう少し歩くと、またレンガを積んでいる職人がいたので、また同じ質問をしたら、その3人目の職人はこう答えた。
「私は教会を建てているんです」
皆さんもこのレンガを積んでいる職人になったつもりで考えてください。
「ここにこうやってレンガを積んで」と言われるのと、「教会を建てるためにここにレンガを積んで」と言われるのと、どちらが良いですか?

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