ファカルティズ・コラム
2016年04月28日
逆風を活かす
本日は4月28日。
実は明日が私の誕生日です。
既に「誕生日を祝おう」というトシでもないのですが、母親からは「そのトシまで元気でいられることに感謝しなさい」と言われています(笑)
さて、本日のエントリーは、(別に明日が誕生日だから、というわけでもありませんが)私にしては珍しい精神論でいきたいと思います。
かの元英国首相、ウィンストン・チャーチルの言葉に、こういうのがあります。
“Kites rise highest against the wind – not with it.”
「凧は、向かい風で最も高く舞い上がる。追い風のときではないのだ」
良い言葉ですね。
確かに、凧は向かい風があるからこそ、そこから浮力を得て空高く舞い上がります。
反対に無風や追い風では、地面から離れることすらできません。
この言葉は、様々な示唆を与えてくれます。
まずは、ひとりの人間で考えてみましょう。
追い風が吹いている、つまり何もかもが順調にいっているとき、私たちはどれだけ成長できるでしょうか。
やはり経験に照らし合わせても、向かい風、つまり大変な状況に陥り、それをなんとか克服したときに成長、「一皮むけた」と実感できるのではないでしょうか。
しかし、私はこの言葉。
単に「逆風は成長の糧となる。だから大変な時でも前向きになろう」とだけ解釈するのは、もったいないと思っています。
せっかくなら、「この向かい風は、どうすれば追い風に変えられるか」を考えませんか?
もっとしたたかに、計算高く、「何でも利用してやる」意識を持った方が建設的です。
たとえば、仕事で何か失敗をしてしまい、担当を外されてしまった。
そこで「なんであのとき…」と嘆き、後悔するのは誰でもできます。
それより、チャーチルの名言を活かし、「担当を外されて空いた時間で、新しい企画を考えよう」と考えればいいのです。
また、これは部下のマネジメントにも応用できます。
部下の失敗を単に叱るだけでなく、そこで「さあて、じゃあ君はこの失敗をどう活かす?」と問いかけてみましょう。
「二度とこんなことのないように…」
では答としてまだまだです。
「いや、別に反省の言葉を聞きたいわけじゃない。この失敗は君にとって、またウチの部にとって、どうすれば後々「あの失敗があったからこそ」と言えるようになるか、それを考えてみなさい」
と投げかけてみてください。
部下のメンタル面だけでなく、その成長、そして組織への貢献に繋がるはずです。
さらに言えば、これは個人だけでなく組織でも応用できます。
企業の不祥事。
最近も三菱自動車の燃費不正操作が、世間を騒がせています。
子供のころ、我が家のクルマは三菱の「ギャランΣ」でしたし、クルマファンとしても本当に残念です。
しかし、(三菱に限った話ではありませんが)不祥事を真摯に反省し、それを償うのは当然だとしても、だからといって「今後はそういうことのないように」で終わっていいとは思いません。
もっとしたたかに、計算高く、「起こしてしまったものは仕方ない。じゃあこの逆風をどう活かして、もう一度空に舞い上がるか」と考えてほしいのです。
え?
「悪いことやったんだから大人しくしておけ」ですか?
大人しくしておいたら、何かいいことがありますか?
大人しくしておくと、誰が喜ぶのですか?
大人しくしているだけだと、社員やお得意様など、罪のない人々を却って泣かせてしまうと思いませんか?
「ジャパネットたかた」は、顧客情報の漏洩という不祥事を過去に起こしました。
しかし、その後の対応は見事でした。
いち早く社長が謝罪し、販売を自粛しました。その速く重い償いは、世間から「さすが!」「そこまでやらなくても」と言われました。
結果、企業イメージを落とすこともなく、彼らは復活しました。
私はそこには単に「申し訳ない」という気持ちだけでなく、どういうことをしたら、あるいはしなかったら「どうなるのか」の計算があったと考えています。
そしてそれは決して悪いことではありません。
三菱自動車も、そして熊本(これは不祥事ではなく天災ですが)も、今の逆風を「どう活かすか」をしたたかに考え、そしてまた、空高く舞い上がってほしい。
そう切に願っています。
結局、精神論じゃなくなってしまいましたね(笑)
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~稲盛経営哲学を出発点として~
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慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
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福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
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