ファカルティズ・コラム
2008年04月02日
日常に学習を埋め込む
“日常に学習を埋め込む”とは言っても、別によくある効果的・効率的な勉強法の話をしたいわけではありませんので、ご安心ください(笑)
さて、前回のエントリーと同様にTVネタで恐縮ですが、私が毎週楽しみにしている番組の一つに、フジテレビで日曜朝7時から放送されている、『ボクらの時代』があります。
この番組は、毎回芸能・スポーツ・音楽・学術など様々なジャンルで活躍する方を3人揃え、進行役などもつけずに自由なトークで進行していきます。
前々回(3/23)は、タレントの関根勤氏、女優・声優の戸田恵子氏、そしてミュージシャンのKREVA氏という、一見脈絡のない、しかし興味深い組み合わせでした。
番組は大方の予想通り、関根勤氏を中心に進んでいったわけですが、私は関根氏がお笑いという移り変わりの激しいジャンルの中で、なぜトップランナーでいられるか、その一端を垣間見たような気がしました。
大げさでなく、「この人は日常に学習が埋め込まれている」と感じたのです。
番組で紹介された、具体的な例でご説明しましょう。
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関根氏が幼少の娘さん(今タレントとして活躍中の関根麻里氏)を寝かしつけていた時、「でもこうやってどんなに可愛がっていても、いずれは嫁に行っちゃうんだよなあ」と思った。
しかし同時に、「嫁(関根氏の奥さん)のお父さんも同じ事を考えていたのかなあ」と思った。
その時、こうしたことが全て繋がっているのだと気がついた。
「そうか、俺はお義父さんからリレーされたんだ!」
そして寝ていた奥さんを起こしてこう言った。
「今日からは、俺がお前のお父さんだ」
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文章ではなかなか笑えないかもしれません(笑)が、私はこのエピソードに笑いつつも、日常に学習を埋め込むためには、2つのポイントがあることに気づいたのです。
ひとつは、『気づきの展開』です。
日常生活を笑いのネタとする関根氏ならではの部分でしょうが、ネタを「作る」というより「見つける」、つまり日々の生活の中で、“見つける=気づく”ということが、習慣として身についていることが、このエピソードからもわかります。
ですから、そのために自分がふと感じたことを、そこで終わらせずに意識的に展開し、ふくらませたり掘り下げたりという作業を頭の中で行っているのです。
このエピソードでも、「嫁に行っちゃうんだよなあ」で終わらせるのではなく、「(嫁の)お父さんも」と、ある方向に展開させていると言えます。
我々も、日々何かを感じてはいても、多くは「~かなあ」といった具合に、そのまま流していることが多いのではないでしょうか。
たとえば「今日の仕事はスムーズにできたなあ」と感じた時、そこで終わらせていませんか?
「でもなんで今日はスムーズに?」「そういえば今日は人への頼み方が~」と、感じたことを流さずに、そこからふくらませるなり、掘り下げるなりすれば、効率的な仕事の進め方に気づいた(つまり学習した)かもしれないと思いませんか?
そして2つめのポイントが、『気づきの言語化』です。
頭の中で、「娘と父親の関係はこうして繋がっている」と気づいたことを、『リレー』という言葉で、しっかりと頭の印画紙に定着させています。
これも我々が意外にできていないことです。
なんとなく感じたことを流さず、ふくらませ/掘り下げて考え、せっかく何かに気づいても、それを明確な言葉として表現しなければ、やはり多くは忘れてしまうものです。
関根氏の、「今日からは、俺がお前のお父さんだ」発言も、単なるギャグで言っただけではなく、言語化して定着させるために、あえて奥さんに話したのだと私は考えています。
我々も、上記のように仕事がスムーズにいった要因を掘り下げ、そこから効率的な仕事のやり方に気づいたら、それを言語化し、口に出し、そして書くことで、ようやく定着することができるはずです。
思えば、私のこのブログも、そうした『気づきの展開』と『気づきの言語化』を行い、その結果講師としての学習をしていると言えますし、実は多くのブロガーも、それが感覚的に理解できているのではないでしょうか。
日々の感じたことを、備忘録的に書き残すことが、学習のプロセスとして日常に組み込まれていると言っても良いでしょう。
皆さんも、別にブログを書かなくても構いません。
日々の気づきを「流さずに展開させ、必ずメモの形で言語化する」ことを意識して実践してはいかがでしょうか。
それこそが、『日常に学習を埋め込む』ことであり、それが一度習慣化してしまえば、簡単かつ楽に自分自身を高めることができるのですから。
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