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慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

2013年11月12日

【ほうやのロンドン便り】ロンドンっ子はコーヒー好き!? ~紅茶の国と言うけれど…

保谷範子

コーヒーショップロンドンのハイストリートに並んでいる、数々のコーヒーショップのチェーン店。
これらは、ロンドンに限らずイギリスのあらゆる街のハイストリートで目にすることができます。特にロンドン ウェストエンドの繁華街には何件あることか…。歩けばコーヒーショップに当たると言っても大げさではありません。
イギリスと言えば紅茶の国。
紅茶のティーポットにスコーンやサンドイッチが並べられた三段重ねのトレイ、その脇にはスコーンによく合うクロテッドクリームにジャム…と、イギリスのティータイムとして”アフタヌーンティー”の光景を思い浮かべる方も多いことでしょう。


もちろん、この有名なアフタヌーンティーは、ホテルのティールームやカフェなどでたくさんの紅茶の茶葉から好きなものを選び楽しむことができますが、時間(ゆったりと2~3時間過ごすのが当たり前)とお金(お店によってまちまちですが、高いところでは5~6千円相当するところも)が許される場合の特別なもの。
仕事の合間で、買い物の途中で、軽く一杯となると断然街中のコーヒーショップを利用することが多くなります。
ちなみに、チェーンとして展開されているのはコーヒーを得意とする店ばかり。もちろんそこには紅茶も置いてありますが、紅茶を専門とするチェーン店は見かけません。
では、今のイギリスでは紅茶はもうあまり飲まないの? と不思議に思い聞いてみたところ、外でお金を出して飲むのはコーヒー、家では紅茶を飲むことが多いのだそう。でも、その場合もティーバッグを使ってマグカップで簡単に淹れることがほとんど。ポットを使い茶葉から淹れるなんて、家族全員が集まったりする特別な場合に限られるとのことでした。
どおりで、スーパーにはティーバッグの箱が数多く並んでいますが、茶葉は専門店以外ではあまり見かけないわけです。
日本でも、コーヒーチェーン店が街中にあり、外ではコーヒーという人も多くなっていますから、イギリスのコーヒーと紅茶の関係は、日本のコーヒーと日本茶の関係によく似ているようにも思います。
あ、でも、日本のような缶やペットボトルのコーヒー、紅茶はなく、水かコーラなどのソフトドリンクしか見たことがありません。
特色あるコーヒーショップ街中でひしめくコーヒーチェーン店の傍ら、最近のロンドンでは特色ある個性的なコーヒーショップが流行っています。
コーヒー豆から選りすぐり、一杯一杯を丁寧に淹れてくれる店、ギャラリーが併設されアートを鑑賞しながらコーヒーを味わうことができる店…など、チェーン店よりは多少高くとも、厳選されたコーヒーとそれを楽しむための空間や時間に工夫を凝らした店がいくつもあり、なかには行列ができるほどの盛況ぶりです。
また、本屋にはこのようなロンドンの特色あるコーヒーショップをまとめたガイドブックが平積みされているほど、コーヒーを取り巻く状況は熱くなっています。
9月末に行われた “World’s Biggest Coffee Morning” いうイベントも興味深いものでした。
World's Biggest Coffee Morningこれは、Macmillan Cancer Supportというガン患者とその家族をサポートしているチャリティ団体が行う大規模なイベントで、全国各地でボランティアによるパーティが開かれ、そこで提供される飲み物やお菓子の売り上げが寄付されます。団体の呼びかけで、レストランやカフェのほか、企業や学校、一般家庭でもパーティが開かれ、毎年多額の寄付が集まるそうです。
パーティと言っても大げさなものではなく、コーヒーやカップケーキなど簡単につまめるものが用意され、コインですむ位の数ポンドを支払います。
私の自宅近所にある銀行でも、今年のイベント日9月27日には”World’s Biggest Coffee Morning”のポスターとともに、いつもはないテーブルに飲み物やお菓子が置かれ、銀行に来た人たちがコーヒーを片手に寛ぎ、募金して帰るという光景を目にしました。
街の都市化が進むと、そこに住む人々は次第に刺激に慣れ、より刺激を求めて、コーヒーや辛いものといった刺激物がよく売れるようになると聞いたことがあります。
もしかすると、紅茶よりもコーヒーが前面に出てくるのも、今のイギリスを一面を表しているのかもしれません。

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