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2014年05月13日

【ほうやのロンドン便り】イギリスの消費税は20%!~税金の違いあれこれ

保谷範子

日本では4月の消費税値上げから約1ヵ月。皆さん、8%の消費税に慣れた頃でしょうか。
ご存知の通り、日本の消費税にあたるヨーロッパ諸国の付加価値税(Value Added Tax)は日本よりもはるかに高く、ドイツ19%、フランス19.6%、ここイギリスは20%もします。
あまりにも高い税率に驚きますが、日本のようにすべての商品やサービスに課税されるわけではなく、無税や低い税率のものもあるという軽減税率を導入しているのが大きな特徴です。
イギリスでは、食料品や水道、赤ちゃんのオムツや子ども用の衣料品、文房具、書籍など生活必需品や子育てに関するものは無税となっており、低所得者や子どものいる家庭の負担を少しでも軽くするのがねらいです。
 


食料品の軽減税率などは、我が家も大変助かっているのですが、いわゆるスーパーマーケットで売っている商品すべてが無税なわけではなく、課税されるものと非課税のものがごちゃまぜに売られているので、レジで精算をした後、レシートを見て「これには課税されるんだ!」とビックリすることも多くあります。
たとえば、右の写真はスーパーで買い物した際のある日のレシートです。
付加価値税VATがかかっているものについては、項目の左に”V”(赤丸)が印されています。この時の購入で課税されているものは、洗面所用洗剤とお店で調理され温められたチキンの丸焼き。
そうなんです。食料品は非課税と言っても、すべての食料品が無税ではありません。
野菜や肉、魚、パン、牛乳などは非課税対象のため、同じスーパーで精肉として鶏1羽分を買っても無税ですが、今回のようにお店で”調理され””温められた”チキンの丸焼きは贅沢品とされ課税20%の対象となるのです。
もっと難しいのは、お菓子の線引きです。
プレーンのビスケットは非課税ですが、同じビスケットでも、そこにチョコレートがコーティングされているものは、チョコレートは贅沢品とみなされ課税されます。
何にVATがかかり、かからないのか…その線引きはややこしい限りなのですが、通常は価格として内税で記載されており、購入後のレシートを見て課税対象のものを知ることが多いので、普段の買い物ではさほど意識していないというのが実際の生活感覚です。
軽減税率については、日本でも導入するか否か大きなテーマにもなっているようですから、ヨーロッパ諸国の暮らしの様子は参考になるかもしれません。
もうひとつ、税について日本と大きく違うのは外食をした際に支払うサービス税でしょう。
現在、イギリスではサービス税は12.5%となっており、外食時の精算には、VAT20%に加えて、このサービス税が加算されます。
以前は、食事代金の約10%をチップとしてテーブルに置いて店を出るという慣習でしたが、今では、チップはこのサービス税に取って替わっているようです。
ただし、店によってはサービス税を加算していないところもあるので、その際には以前のようにサービスに応じてチップを置くのがマナーです。
ここでもまた面白いのが、同じ商品であっても、店内で食べるかテイクアウェイするかで(イギリスでは持ち帰りのことをTake OutではなくTake Awayと言います)、サービス税分の関係から値段が変わってくるということです。
イギリス名物のフィッシュ&チップスも(タラのフライとフライドポテトがセットになっているもの。イギリス人は軽食としても、メインの一皿としてもフィッシュ&チップスが大好き、本当によく食べます)、同じお店で買っても、店内で食べるか、持ち帰るかで数ポンドの違いが出てきますから、毎日の積み重ねは家計にも大きな差が出てきます。
そのせいもあるのでしょうか。
春から夏へと、気温が高くなり、そよ風の気持ち良いロンドンの広場や公園では、昼休みともなると、多くの人が近くの店で思い思いのランチをテイクアウェイして、芝生の上で昼食をとっている姿を多く見かけます。
新緑まぶしく爽やかな5月のロンドン。今日もたくさんの人が公園の芝生でくつろいでいます。
 

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