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夕学レポート

2006年05月12日

長期投資で豊かな人生を! 澤上篤人さん

プロフィールをご覧になってお気づきの方も多いかと思いますが、澤上さんは30数年に及ぶファンドマネジャーのキャリアの大部分をスイス資本の銀行で過ごしています。日本代表を務めていらしたスイス・ピクテ銀行というのは、有名なプライベート・バンキングだそうで、なんでも「世界の大金持ち達」を相手に一任勘定で資産運用を請け負うのだとか。つまり、澤上さんは大金持ちの資産運用を通じて金融知力&胆力を磨き上げたわけです。そしてそのノウハウを庶民のために使うという逆バリの発想で出来たのが「さわかみ投信」のビジネスモデルなのかもしれません。一般的に、強いところに集中する磁力が働くと言われるマネーの世界で、富の分散を意図的にはかろうという点に、ソーシャルアントレプレナー的な使命感の高さを感じさせます。


さて、講演は、日本経済が発展途上段階から成熟段階にシフトしたという時代認識の共有化から入りました。日本の場合、バブルに浮かれた5年とその後の混迷の15年、計20年間の異常体験のトラウマが強く、「発展」→「成熟」というステージ変化を素直に受け入れられない傾向があるそうですが、50年単位のスパンでみると間違いないとのこと。時代のパラダイムチェンジは、将来に備える経済設計行動を「預貯金主義」から「運用主義」に変えることを迫っています。コツコツと銀行や郵便局に預け続ければ将来安泰が保証された時代から、自らの頭脳と度胸を使って、リスクマネー(株式・債権)に投資・運用し将来の備える時代に変わったわけで、資産運用力はまさに「生き抜く力」となったということでしょうか。
では、どうすればよいか。澤上さんは「難しいことは考えずに、長期的な視点で経済の原則に従え」と言います。経済はゼロサムゲームのようなもので、誰かの損が、誰かの得になる。景気変動に応じて富が家計と企業の間を行き来しているだけだ。景気が良い時は高金利で法人は資金繰りの苦労する一方で、家計は金利収入が得られる。景気が悪い時は低金利で、家計は金利収入が期待できないが、企業にとっては資金調達がし易くなる。この経済のメカニズムをよく理解して、それよりも一歩先んずれば良いということです。つまり、景気の谷では株式を買い、山に向かって上昇する途中で順次現金化して利益を確定させる。やがてピークアウトしたらしばらく様子をみて、谷が来たところでまた買う。それを長期的なスパンで繰り返せばよいというわけです。
そう聞くと、「谷=買い時はいつか、 山=売り時はいつか」を知りたくなるのが人情ですが、その判断は自分が知力と胆力を総動員して決めるしかないわけで、それが不安ならば、「さわかみ投信に任せたらどうですか」ということでしょう。
澤上さんは、これからの日本経済を支えるのは国でも銀行でもないと言います。自助努力をした企業は、直接金融でみずから市場から資金を調達し、新たな事業展開を行い発展する。自助努力した個人は、預貯金に頼らずに資産運用を行い、人生設計を豊かなものにする。自助努力できない企業や個人は緩やかに衰退するしかない。成熟段階というのはそういう時代だそうです。
最後に、講演では時間不足で触れることができませんでしたが、いま澤上さんが一番力を入れている活動は、「おらが街の投信ファンド」構想だそうです。さわかみ投信だけが大きくなるのではなく、全国津々浦々に地元の信頼できる人達が協力し合ってファンドを立ち上げ、地域の人が郵便局や信金のごとくに利用できるようにしたいのだそうです。澤上さんの手弁当の支援活動もあって、もうすぐ第一号「浪速のおふくろファンド」が立ち上がるとか。関心のある方は、澤上さんの最新刊『長期運用時代の大本命!ファンドオブファンズ入門』をご覧ください。

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