KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2005年06月15日

リゾート運営の達人 星野佳路さん

「IT導入の経営へのインパクトが最も高いのは、ITから一番遠いところにある業界である」 きょうの星野さんのお話を聴きながら、3年前に夕学に来ていただいた成毛眞さんのお言葉を思い出しました。
星野さんは、コーネル大学大学院でホテル経営学を学び、外資系企業や金融機関でリゾート開発や投資ビジネスに携わったキャリアがあります。理論ベースの科学的アプローチに習熟したプロフェッショナルと言えるでしょう。一方で、日本のリゾート開発や温泉旅館の経営は、そういった科学的経営とは少し距離をおいた世界にあった産業です。だからこそ星野さんの新しいリゾート経営のモデルが花開いたのではないでしょうか。時代と産業が星野さんの登場を待ち望んでいたように思いました。


星野リゾートの経営ビジョンは「リゾート運営の達人」を目指すことだそうです。リゾート経営を「開発・所有・運営」に分化したうえで、運営に特化して圧倒的な優位性を構築しようということだそうです。よい戦略はシンプルだと言われますが、この戦略も極めてシンプルでありながら、実に納得感の高いものです。
リゾート法制定下の我が国では、開発・所有ではなく、運営のスペシャリティこそが競争優位の源泉になると読み切った星野さんの先見性にも思わずうなってしまいます。
星野さんが「仕組み化」と名付けた運営ノウハウは、科学的経営のセオリーをきちんと抑えてあるようです。現状を把握するための市場調査、重要だと見定めた経営課題の指標化・定量化、その結果を報酬と結びつけた成果主義の導入。いずれも、ともすれば思い込みに縛られたり、情緒に流されたりし易い要素を数字で捉え直すという目的に合致しています。
問題点の把握が的確で、進むべき方向性が明確に示されているからこそ、サービスやイベントの柔軟なアイデアも湧き出てくるのではないでしょうか。
「我が社は遅れている」「うちの業界が閉鎖的だから」「体質の古い世界なので」こういうため息をよく聞きます。でも考えようによっては、先端的な業界や最新の経営システムを取り入れている会社よりも劇的にチェンジできる可能性も秘めているのかもしれません。
控室でお聞きしたところによると、ゴールドマンサックスと組んではじめた老舗温泉旅館の再生ビジネスも沢山の案件が持ち込まれているそうです。
星野さんの活躍フィールドはまだまだ広がりそうです。
今年の夏は、7/20にオープンする「星のや」で過ごすは如何でしょうか?
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