KEIO MCC

慶應丸の内シティキャンパス慶應MCCは慶應義塾の社会人教育機関です

夕学レポート

2010年02月16日

心を震え動かす「強い映画」

李鳳宇さんと語らう【強い映画】
この講座に関心を寄せられた方は、すでにご存じかと思いますが、講師をお願いしている李鳳宇さんが設立され、社長を務めてきた株式会社シネカノンが、先月末に民事再生法の申請をしました。
映画ビジネスの難しさは、誰もが知っていることではありますが、「パッチギ!」「フラガール」など数々の名作を世に送り出し、独立系でありながら、制作・配給から劇場経営までを手がける稀有な存在として知られていたシネカノンが経営危機に陥ったことは残念でなりません。
申請後に李さんからいただいたメールには、再生への道が茨の道であることを認識しつつも、「私たちが植えた木が決して枯れることのないように、これからもあらゆる方法で“映画をやっていこう”と考えています」
とありました。
立場は変わったとしても、映画ビジネスにかける情熱はいささかも衰えることなく、シネカノンの再生や、映画プロデュース事業に全力を尽くそうとする強い決意を感じました。
この講座についても、昨年同様に、責任をもって担当していただくことになっております。
苦境の中で、過ごした年末年始に、李さんが観たのが、ジョン・フォードの名作『静かなる男』だったそうです。
失意を抱えて、両親の故郷アイルランドにやってきたアイルランド系アメリカ人の主人公(ジョン・フォード)が、故郷の人々の荒っぽい、それでいて素朴で温かい人間性と愛情に触れて、魂の再生を果たしていく物語です、
クライマックスは、町中の人々が喝采を送る中、男二人の激しい殴り合いが延々と続き、拳を通して互いを理解しあった二人が、ビールを酌み交わします。
『パッチギ!』のラストで、日本の高校生と朝鮮高校生が、鴨川の河原で繰り広げた集団決闘のシーンを彷彿させる場面です。
李さんは、人生の節目節目で『静かなる男』を、何度も観てきたといいます。
それは、この映画が、李さんの心を震え動かす力を内包する「強い映画」であるからに他なりません。
李さんは、ご自身が『静かなる男』に勇気づけられてきたように、自分の作る・紹介する映画を通して、人々の心を震え動かすべく、映画の道を歩んできました。
この講座は、そんな映画人 李凰宇さんが選りすぐった「強い映画」を鑑賞し、各自が「映画ノート」を書き、それをもとに、李さんを交えて議論をするという講座です。
かつて李さんは、フランス留学中に500本以上の作品を「映画ノート」に書き留め、感想や創作のアイデアをつづりました。この「映画ノート」にならい、一人ひとりがオリジナルのノートを作成し、映画を観おわった後に湧く、喜・怒・哀・楽・愛・勇気といったさまざまな想いや感想をつづります。
「映画ノート」は批評や優劣をつけるのではなく、自分を見つめ直すとともに、それぞれの味わい方を認め、感動や気づきを共有するきっかけとなり、自分自身も気づいていなかった価値観に出会うことができます。
課題映画は、『静かなる男』を含めて、下記の5本
『アクトレス』(仮題(2009年韓国)
・『静かなる男』(1952年アメリカ)
『This is it』(2009年アメリカ)
『西鶴一代女』(1952年日本)
『ミルコのひかり』(2005年イタリア)
古典から未公開(現時点)の新作まで、いずれ劣らぬ名作が揃います。
一本の映画が、新しい扉を開いてくれる。
一本の映画が、気づかずにいたあなたの力を引き出してくれる。

そんな素敵な知的感動を、是非ほ体験ください。
李鳳宇さんと語らう【強い映画
http://www.sekigaku-agora.net/course/lee_bong_ou.html

メルマガ
登録

メルマガ
登録