夕学レポート
2010年02月13日
老荘思想を学ぶ
孔子・孟子に代表される「儒家思想」と老子・荘子の「道家思想」。
約ニ千五百年前に生まれた古代中国の二大思想です。
社会の中で社会を考え、社会秩序のより良い形成を願う「儒家思想」と、社会の外から社会を考え、社会そのものの、より良いあり方を謳う「道家思想」は、同じ山をまったく異なる方法で登ろうとすることに似ているのかもしれません。
40年以上に渡って、中国古典研究と普及に従事してきた田口佳史さんは、この二つの思想を自由に使い分ける思想の多様性こそが、東洋的な視点であるといいます。
尋常一様でない現実に向かい合い、融通無碍に思想を乗り換えながら、複雑な現実に対応していくこと。いわば“思想を楽しみながら”、直面する問題を受け止めていくことが必要なのでしょう。
昨年のagoraでは、二回に渡って「論語」を取り上げてきました。
・佐久 協先生と読み解く【現代に活かす『論語』と『孟子』】
・田口佳史さんに問う【論語に学ぶ人間力】
今春は、満を持して、老荘思想に向き合うことにしました。
・田口佳史さんに問う中国古典【老荘思想】
「老荘思想」は、茫洋とした物事の全体性をそのまま受け止め、身体や経験で吸収することを重視します。
「見えないものを見る」、「骨の髄で学ぶ」と評されます。
わかったようでわからない、なんとも怪しげな思想であります。
しかし、「全体性」や「包括性」といった概念は、量子物理学や生命科学でしきりに議論されているトピックでもあります。
対象を要素分解し、原因-結果の因果律で理解しようとする分析型のアプローチや、全てを二元論的なフレームワークで分かり易く分類してしまう考え方では解決できない複雑な問題に直面する時、人間だけが持ち得るという「包括的な視点による直観」が求められるのかもしれません。
あなたも「老子」「荘子」の深淵な宇宙世界を旅してみませんか。
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