夕学レポート
2010年09月30日
教養として読む「聖書」
秋からはじまるagoraで、作家の阿刀田高さんをガイドをお願いして、「聖書」「キリスト教」を考える講座を開催する。
阿刀田高さんと読み解く【旧約・新約聖書とキリスト教】
agoraをはじめた2年前からやりたかった企画である。
欧米の思考・価値観の根底には、ギリシャ・ローマの思想とキリスト教がある。従って彼らを理解するためには、その二つをを学ぶ必要がある。
ギリシャ・ローマを大づかみで理解するなら、塩野七生さんの『ローマ人の歴史』という絶好のテキストがある。やっかいなのはキリスト教、さらには源流であるユダヤ教である。
だからこそ、「異質な他者への理解を促進すること」を目的のひとつに掲げるagoraで取り上げるには相応しいテーマであろう。
ずっと適任の講師役を探していたが、なかなか「これは」と思う方が見つからなかった。
キリスト教を解説してくれる宗教学者は大勢いる。
キリストの教えを説き聞かせてくれる神父様や牧師様も多い。
でも、もっとニュートラルな立場で、わたし達の抱く「なんでだろう?」という素朴な疑問に寄り添って話してくれる人がいないだろうか。
そんな欲張りな思いで探していた。
「それなら、阿刀田先生がピッタリですよ」
私の問いに間髪いれずに答えてくれたのが、光文社出版局長の古谷俊勝氏であった。
彼には、昨年から折りにふれてagoraの企画を相談させていただいていた。
不覚にも私は知らなかったが、阿刀田さんには、『旧約聖書を知っていますか』『新約聖書を知っていますか』というベストセラーがあるという。
早速読んでみると、これが面白い。
冒頭の書き出しからしてユニークである。
まず胸一杯に空気を吸い込み、
「アイヤー、ヨッ」
と叫んで欲しい
「アイヤー、ヨッ」の合言葉を頭に入れれば、旧約聖書の世界が一気に開けるのだという。実際に、その言葉で聖書の重い扉がスーッと軽くなるから不思議である。
(種明かしは、本を読んでお確かめください)
阿刀田さんは、キリスト教信者ではないが、若き日に西洋文学に傾倒し、西洋を理解するツールとして聖書を読んだという。
教典としてではなく、欧米の文化、思考、行動原理を理解するための教養として聖書を学ぶには、最高の導き役と言えるのではないか。
・ユダヤ人は、拠るべき国家のない2000年もの年月を、なぜ乗り越えることが出来たのか。
・アダムとイブが口にした禁断の果実とは何だったのか。
・モーゼに預言を与えたという「在って在り続ける者」とは何なのか
・土と石に覆うわれた不毛の大地で生まれた宗教は、如何にして西洋世界を席捲したのか。
・彼らの信ずる全智全能の神とは、いったいどのような存在なのか。
・ユダヤ教、イスラム教、キリスト教は、いつ生まれ、どうやって共存し、如何にして戦ってきたのか。
欧米人のモノの見方・考え方の根底を知るために、聞いてみたい、考えてみたいテーマはいくつもあろうかと思う。
英語社内公用語化もいいけれど、言葉だけでなく背景にある歴史・文化・価値観を理解することも、同じくらい、いやそれ以上に重要だと思うが如何であろうか。
阿刀田高さんと読み解く【旧約・新約聖書とキリスト教】
登録
人気の夕学講演紹介
2024年7月19日(金)18:30-20:30
不易流行の経営学を目指して
~稲盛経営哲学を出発点として~
劉 慶紅
慶應義塾大学大学院経営管理研究科 教授
日本経営倫理学会常任理事
稲盛経営哲学に学びながら、人間性を尊重し、利潤追求と社会貢献の統合をめざす経営学理論を構築する、新論が真論となり、不易流行の経営学として結実することを目指して。
人気の夕学講演紹介
2024年7月23日(火)18:30-20:30
『VIVANT』とテレビ局社員
福澤 克雄
(株)TBSテレビ コンテンツ制作局ドラマ制作部、演出家・映画監督
私にとっての道は、TBSにありました。『VIVANT』は、同じような夢を持つ若者たちの道標になってほしい、そんな思いも込めてチャレンジした作品です。日本のドラマ界、映画界を目指す皆様、夢はあるけど方法がわからない皆様の一助になればと願っております。
いつでも
どこでも
何度でも
お申し込みから7日間無料
夕学講演会のアーカイブ映像を中心としたウェブ学習サービスです。全コンテンツがオンデマンドで視聴可能です。
登録